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7月27日の通常国会開会を目前に控え、フィリピンの主要ビジネス団体が経済改革法案の早期成立に向けて動きを活発化させています。フィリピン輸出業者連合(Philexport)や米・英商工会議所などは、高コストな物流体制の是正や外資規制の撤廃、AI・デジタル経済の促進を盛り込んだ優先審議法案を相次いで提言。上位中所得国への脱皮を目指す同国にとって、投資環境の抜本改革は不可避の課題です。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクター・家村均氏が、通常国会開会を前に主要財界が求める優先法案のポイントと今後の経済展望について解説します。

通常国会開会を控えた主要ビジネス団体の経済改革法案要請

フィリピンの主要ビジネス団体が、輸出競争力の強化やデジタル経済の推進を図る経済改革法案の優先審議を国会に呼びかけています。7月27日の通常国会開会を前にこうした声が相次いでおり、経済成長を後押しする具体的な施策として、物流改革や中小企業支援、デジタル関連の制度整備などが挙げられています。これにより、企業活動の円滑化や投資環境の改善が期待されています。


フィリピン輸出業者連合(Philexport)は、輸出を「投資、雇用、外貨獲得、成長の強力な原動力」と位置づけ、政府の経済アジェンダの中心に据えるよう求めています。特に優先事項として訴えているのが「国際海上貿易競争力法案」の成立です。同法案は過度な輸送・物流料金の規制、透明性の向上、競争促進を目指すものですが、現在は上院公共サービス委員会で審議が保留されています。また、税関紛争の解決や自主遵守の促進、歳入確保、貿易業者の予測可能性向上につながる「通関恩赦法案」の可決も要請しており、同法案は昨年から下院歳入・財政委員会で審議待ちのままとなっています。


さらに、MSME(零細・中小企業)の資金調達改善、技術革新、デジタル化、国際市場開拓などの支援強化を盛り込んだ「MSMEマグナカルタ法(RA9501)改正案」の重要性も強調しており、複数の改正案が上下両院の委員会で審議を待つ状況です。


加えて、民間航空局(CAAP)およびフィリピン港湾局(PPA)の定款改正も優先事項に掲げています。CAAPの改正は航空物流の競争力強化を、PPAの改正は規制機能と商業機能の分離による**物流コスト削減**等を目指すもので、いずれも下院運輸委員会に付託されています。また、国際基準への適合を図る「国家品質インフラ法案」についても、上下両院の貿易委員会で審議が進められています。


アメリカ商工会議所(AmCham)は、AI利用規制、サイバーセキュリティ強化、デジタル経済支援に関する法案の成立を求めています。また、貿易書類を一元化する「国家シングルウィンドウ・システム法案」や「情報アクセス自由法案」の可決も支持しており、規制効率の改善や手続きの簡素化、投資の阻害要因となる規制の見直しを提言しています。

経済自由財団は、憲法に基づく外国資本制限のさらなる自由化措置を提言しています。一方、英国商工会議所フィリピン(BCCP)は、銀行間での安全なデータ共有を可能にする「Open Finance and Consumer Data Empowerment Act(下院銀行委員会で保留中)」の承認を強く訴えており、「上位中所得国へと移行しつつも銀行口座を持たない国民が多い中、同法案は金融アクセスを広げ、所得向上に貢献する」と強調しています。

BCCPはほかにも、デジタル決済法やサイバーセキュリティ法を後押ししています。
フィリピン小売業者協会は、非居住観光客向けVAT還付制度(RA12079:2024年12月署名)の実施規則・細則(IRR)の早期公布など、観光産業における公平な競争環境の整備を求めています。

施政方針演説(SONA)を見据えた今後の展望

一連の要請は、7月27日の国会開会時に行われるマルコス大統領の施政方針演説(SONA)を見据えた動きでもあります。大統領のSONAにおいて、事業コスト削減、物流・品質インフラの近代化、MSME強化などに向けた明確なロードマップが提示されることが期待されています。


フィリピン経済の持続的成長には、これらの改革法案の早期成立と実施が不可欠です。国会がビジネス団体の声を受け止め、実効性のある審議を進めることで、企業と国民双方に恩恵をもたらす政策が実現されるか、今後の動向が注目されます。