この記事をまとめると

■1980年代の国産ホットハッチではイエローヘッドライトがスポーティな象徴となっていた

■しかし光量の低下や国際基準との統一により白色ヘッドライトのみとなった

■現在もフォグランプはイエローが認められている

1980年代の定番だったイエローヘッドライト

 多額の補助金が期待できるというタナボタ的な状況もあり、ホンダのハッチバックEV「スーパーワン」がスマッシュヒットを遂げている。1980年代のシティターボIIを彷彿とさせるスタイリングの魅力もあって、当時を知る50代以上のドライバーに選ばれているという話も聞こえてくる。

 1980年代のホットハッチといえば、ヘッドライトにイエローバルブが装着されているイメージがある。たとえば、スズキ・アルトワークス、トヨタ・スターレットターボあたりはイエローバルブの印象が強い。冒頭で触れたシティターボIIについては、角形フォグランプがイエローだったことがフロントマスクのアクセントとなっていた。

 なぜ1980年代にイエローバルブがスポーティなイメージとつながっていたのか、はっきりとしたソースやエビデンスはないが、個人的にも純正でイエローバルブを装備したスターレットGTを愛車として選んだ経験からいえば、欧州ホットハッチやラリーマシンをイエローバルブのヘッドライトが想起させたことがポジティブな印象につながっていた。

 当時、フランスではイエローバルブが法で定められていたし、ラリーマシンのランプはイエローであることが多かった。それは、イエローの光が雪や霧といった悪条件下において乱反射しにくいという特性をもっているため、白いヘッドライトよりも見やすいことから選ばれていた。

 ただし、個人的なエピソードをいえば、イエローバルブのスターレットGTに乗っていたとき、早々にヘッドライトをホワイトに変えた記憶がある。正確にいえば、ヘッドライト内のイエローカバーを外して、ハロゲンバルブの光がダイレクトに路面を照らすように改造した。なぜなら、イエローバルブは晴れた日のナイトドライブにおいては明るさが足りない印象があったからだ。ちなみに、当時の保安基準ではヘッドライトは白色か淡黄色となっており、イエローバルブをホワイトバルブに変えることはまったく問題なかった。

視認性では不利な面も

 このころのイエローバルブというのは、ハロゲンバルブに黄色いカバーをつけているものが主流だった。つまりイエローのフィルターをとおすわけで、そのぶん光量が落ちてしまっていた。霧のときには、イエローバルブのフォグランプを点灯すればいいので、ヘッドライトは明るいほうが、夜間の安全性は高まる。そんなこともあって、徐々にイエローのヘッドライトは減っていった印象もある。

 決定的になったのは2006年1月1日以降の生産車両に適用された保安基準改正だ。1990年代中盤にはフランスがイエローバルブのヘッドライトを禁止としたことで欧州では白色に統一されていた。そうした国際規格のトレンドに合わせて、日本でも「前照灯(ヘッドライト)は白色」となった。つまり、このときからイエローバルブのヘッドライトの新車を作ることは禁じられた。

 なお、いまでも2005年12月以前に製造された車両であれば、ヘッドライトにイエローバルブを装着することは合法的といえるが、LEDが主流となった昨今のクルマと比べると驚くほどヘッドライトが暗くなる。さらに、車検における前照灯の明るさについて厳しくなっている状況を考えると、イエローバルブのヘッドライトは実質的に壊滅状態だろう。

 一方、フォグランプについては白でもイエローでも、左右の色を揃えていれば、保安基準的な問題はない。冒頭で紹介したホンダ・スーパーワンにおいても、純正アクセサリーとして用意されているイエローのフォグランプ装着率はかなり高いという。

 ちなみに、この純正フォグランプはスイッチ操作でホワイトとイエローを切り替えることのできるLEDタイプ。ヘッドライトについても、多量のLEDセグメントを使い、さまざまな機能をもたせたものが増えていることを考えると、オーナーの好みに応じて、色味を変えることも技術的には可能だろう。ただし、保安基準で「前照灯は白色」と決まっているため、法律の壁が立ちはだかる。ヘッドライトのカラーチェンジ機能の実装は夢のまた夢といえそうだ。