日本最古の果物専門店と創立100周年を迎えた鉄道会社によるコラボが実現 観光列車“富士山ビュー特急”の車内で味わう「絶品プレミアム“フルーツ”プラン」
江戸時代の1834(天保5年)に創業し、今年で192年を迎えた日本橋「千疋屋〔せんびきや〕総本店」。この店名を聞いただけで、多くの人が高級フルーツを連想するのではないだろうか。その千疋屋が厳選した「山梨県産の桃」と「静岡県産のマスクメロン」などを味わうことができるリゾート特急が、この夏に期間限定で運行される。富士山に一番近い鉄道路線(富士急行線)を走る「富士山ビュー特急」と最高級フルーツとのコラボ。ひと味ちがった列車グルメが楽しめる”スイーツ列車”をご紹介することにしよう。
※トップ画像は、中央本線の大月駅(山梨県大月市)と河口湖駅(山梨県富士河口湖町)とを結ぶ観光列車「富士山ビュー特急」に連結される特別車両(1号車)の車内風景。この車内で「千疋屋フルーツプラン」などの“スイーツプラン”を味わうことができる=写真提供/富士山麓電気鉄道
創立100周年を迎えた富士山麓電気鉄道
1926(昭和元)年に開業したこの路線は、「富士山麓電気鉄道」として創設され、1960(昭和35)年に富士急行と社名を変更した。”富士急”といえば、冬季スポーツや、富士急ハイランドで知る人も多いことだろう。古くは、富士馬車鉄道と都留〔つる〕馬車鉄道を前身とする鉄道だ。2022(令和4)年からは、分社化によって鉄道部門は「富士山麓電気鉄道」と社名を原点回帰した鉄道事業者なのだ。現在の社紋も、初代のものを踏襲している。正式な社名に使われる「山」の異体字に特徴があることは、あまり知られていない。
車両は、古くは旧・国鉄や小田急電鉄の中古車を使用していたこともあったが、オリジナルの電車や乗り入れ先となる国鉄(現・JR)の仕様に合わせた気動車も保有していたこともあった。現在では、京王電鉄やJRの中古車両が多用され、東京駅発の中央線快速電車のほか、JR新宿駅からも直通特急「富士回遊」号が運行される。
路線は、大月線(大月駅〜富士山駅)と河口湖線(富士山駅〜河口湖駅)に分類されていることを、知る人は少ないだろう。古く富士急行を知る人にとっては、例えば富士山駅は2011(平成23)年に「富士吉田」から改称された駅名であり、いまの駅名に馴染まない方もおられるのではないだろうか。このように改称された駅には、地名に由来した「暮地〔くれち〕」駅が、”寿”〔ことぶき〕駅に改称された例など、駅名の変遷にも興味がそそられる。

富士急行のオリジナル5000形電車=1987年、富士急行線で

小田急電鉄から譲渡された5200形電車(元・小田急1900形の車体流用)=1987年、富士吉田駅

小田急電鉄から譲渡された5200形電車(元・小田急1900形の車体流用)=1987年、富士急行で

1996(平成8)年まで京王電鉄(当時は京王帝都電鉄)で活躍した5000系電車。その一部は富士急行(現・富士山麓電気鉄道)へと譲渡され、現在も活躍する=1996年、稲城市若葉台
日本最古の果物専門店がプロデュース
この夏、期間限定で登場する「千疋屋プレミアムフルーツプラン」は、2026(令和8年)年8月9日(日曜)〜16日(日曜)までのお盆休み期間(8日間)だけに運行される「特別な列車」だ。そのプランに使用される列車の内装は、木のぬくもりを感じることができるホテルのような空間で、贅沢なくつろぎの時間を楽しむことができる。
その名を「富士山ビュー特急」といい、元JR東海371系・特急電車をリニューアルした8500系車両を使用し、中央本線の大月駅(山梨県大月市)と河口湖駅(山梨県富士河口湖町)との間を46〜60分で結んでいる。その車窓からは、雄大な富士山をまぢかに望むことができる。
「千疋屋プレミアムフルーツプラン」では、富士山の清らかな水と豊かな日差しに育まれた日本有数の産地「山梨県産」のなかから、熟練の目利きによって選び抜いた桃を100%使用した極上のストレート果汁(ジュース)に、千疋屋総本店の代名詞である「マスクメロン」は、静岡県の温室で職人の手によって丁寧に育てられた美しい網目と芳醇な香りと甘さ、なめらかでとろける果肉をいただくことができる。
このほか、千疋屋特製の「こだわりのバナナアイスクリーム」と、ドリンクサービス(コーヒー、紅茶、緑茶等がフリーフロー) がセットになっている。食器類も、実際に「千疋屋総本店・日本橋本店」で使われているものを採用し、細部にまでこだわり抜いた演出により“フルーツパーラー”にいるかのような贅沢なひとときを過ごすことができる。

「千疋屋プレミアムフルーツプラン」で提供される食のイメージ=写真提供/富士山麓電気鉄道

上から静岡県産「マスクメロン」、山梨県産「桃」、千疋屋特製「こだわりのバナナアイスクリーム」=写真提供/富士山麓電気鉄道
申し込みは乗車日の7日前まで
乗車する列車の時刻は、2026(令和8年)年8月9日(日曜)〜16日(日曜)までの「富士山ビュー特急14号」河口湖駅13時2分発→大月駅13時51分着に限定される。他に運転される富士山ビュー特急(11・12・13号)では、「千疋屋プレミアムフルーツプラン」は実施されない。特別車両(1号車)には、カウンター席が4席のほか、テーブル席は2人掛け用が5卓と3〜4人掛け用が3卓用意され、車端部には売店も併設されている。
料金は、上記の飲食代金のほかに富士山ビュー特急の乗車料金(河口湖駅→大月駅間片道の運賃+特急料金〔400円〕、特別車両料金〔1000円〕を含む)と 、アテンダントによる車内での観光案内が付いて、大人ひとり7500円(税込み)子どもひとり6500円(税込み)。予約は、専用のサイトから乗車日の【7日前まで】に申し込みが必要となる。
なお、こども料金は「未就学児」には適用されないが、スイーツの提供を受ける場合や、座席を使用する場合には必要となる。※詳しくは、富士急トラベル(電話0555-22-8877)まで問い合わせください。

富士山ビュー特急の特別車両(1号車)の車内のようす。カウンター席が4席のほか、テーブル席が2人掛け用5卓と3〜4人掛け用が3卓用意されている。車端部には売店も併設される=資料提供/富士山麓電気鉄道

富士急行線へのアクセス案内=資料提供/富士山麓電気鉄道

車窓からは富士山を望むことができる「富士山ビュー特急」=写真提供/富士山麓電気鉄道
ほかにもあるスイーツプラン
富士山ビュー特急限定のスイーツプランは、期間限定の商品だけにとどまらない。「ハイランドリゾートホテル&スパ」のパティシエと、地元・富士吉田市に店を構える和菓子屋「東京屋製菓」の職人が手掛ける、地元食材や季節の味覚・意匠を取り入れたスイーツを平日、土日祝日のそれぞれに、富士山ビュー特急の車内で提供している。訪れる時季ならではのメニューは、四季折々の富士山の情景とともに、この列車でしか味わうことができない。そんな特別なひと時を、“おもてなし”の心で出迎えてくれる。
平日限定では、“和”のスイーツプランとして「こしあん豆腐」、「四季を彩る上生菓子」、「富士の名水わらびもち」が、土日祝日限定では、“洋”のスイーツプランとして「季節のFUJIYAMAショコラ〜夏〜」、「季節のゼリー」が提供されている。※いずれも2026(令和8)年6月からのメニュー。
料金は、和と洋で異なり、いずれもフリードリンク代(温=コーヒー、紅茶、ほうじ茶/冷=アイスコーヒー、アイスティー、オレンジ・アップルジュース、富士ミネラルウォーター)と、片道の富士山ビュー特急の運賃+特急料金、特別車両料金が含まれる。平日の“和”が大人ひとり5800円(税込み)、子どもひとり4800円(税込み)、土日祝日の“洋”が大人ひとり6000円(税込み)、子どもひとり5000円(税込み)。
乗車区間は、下り列車が大月駅から富士山駅または富士急ハイランド駅または河口湖駅、上り列車が河口湖駅から大月駅、富士急ハイランド駅から大月駅、富士山駅から大月駅に限定される。予約は、専用のサイトから乗車日の【14日前まで】に申し込む必要がある。※子どもの座席利用については、「千疋屋プレミアムフルーツプラン」に同じ。
この夏は、雄大な富士山の景観とともに、ラグジュアリーな観光列車でワンランク上の旅を味わってみてはいかがだろうか。

“和”のスイーツプランは平日限定。写真は2026年6月から提供されている「こしあん豆腐」、「四季を彩る上生菓子」、「富士の名水わらびもち」=写真提供/富士山麓電気鉄道

“洋”のスイーツプランは土日・祝日限定。写真は2026年6月から提供されている「季節のFUJIYAMAショコラ〜夏〜」、「季節のゼリー」=写真提供/富士山麓電気鉄道
※この記事にある運転日や運転時刻、運賃・料金、価格等は掲載時点のものです。情報内容については、ご利用になる前に鉄道事業者のホームページ等でご確認ください。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元・日本鉄道電気技術協会技術主幹、芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、NPS会員、鉄道友の会会員。
【列車グルメ画像】日本最古の果物専門店と創立100年の鉄道会社がコラボした「絶品プレミアム“フルーツ”プラン」(11枚)

