《学校は「危ない道」と認識していたのに…》集団登校中の6歳女児が車にはねられ死亡、「現場の危険性」をめぐり浮かび上がった「教育委員会と学校の齟齬」
夏休みを目前に控える7月15日の朝8時ごろ、愛知県小牧市の交差点で悲劇が起こった。集団登校で小学校へ向かっていた小学1年生の浅倉咲愛(えま)さん(6)が、乗用車にはねられたのだ。
【写真】事故現場は「スクールゾーン」への指定も検討されたが、実現していなかった
浅倉さんは病院へ搬送されたものの、死亡が確認された。警察は、乗用車を運転していた会社員の溝端宏隆容疑者(40)を過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕している。
「助けて!」 教頭のもとへと走った児童たち
事故現場となったのは、浅倉さんたちが通っていた小牧市立村中小学校からわずか200メートルほどの場所にある横断歩道。信号機はなかった。浅倉さんは班の最後尾として横断歩道を渡っていたさなか、事故に遭ったとみられる。
浅倉さんたちの班のすぐ後ろを歩いていた班の児童たちは、気が動転しながらも、すぐ近くの学校へ一目散に向かった。当時、校門には教頭が立っており、児童たちは「助けて!」と叫びながら助けを求めたという。すぐに現場へ駆けつけたところ、「浅倉さんはぐったりとした様子だったものの、その時点では意識があったように思えた」と教頭は語る。
学校も「危ない」と認識していた通学路
事故現場となった通学路をめぐっては、教育委員会と学校の間でもともと認識に差があったようだ。
小牧市教育委員会の担当者は次のように語っている。
「毎年通学路の点検は行われていました。ただ、他の交通量の多い大きな道路に歩道が確保されていない状況もある中で、当該の道路については『まだ安全な場所だ』と位置付けられていました」
一方、児童たちから助けを求められ現場に急行した教頭は、違った認識を口にした。
「学校としては、この通学路は『危ない』という認識はありました。抜け道として使われているのでスピードを出す車もおり、交通量も多い。以前、児童から『車が多くてびっくりした』という声を聞くこともありました。スクールゾーンの指定や信号機の設置を求める声はありましたが、さまざまな事情から実現しませんでした。具体的な対策が追いつかず、このような事故が起こってしまったことは大変残念です」
現場付近の会社の関係者も「抜け道として使う人が多く、飛ばす車もいる。横断歩道はあっても信号機がないから、歩行者は危ないだろうなという感覚はある」と話しており、現場の危険性は周囲でも認識されていたようだ。
普段はいたはずのパトロールも不在
危険性が指摘されていた事故現場だが、当日はさらに悪い条件が重なっていた。小牧市教育委員会の担当者が嘆く。
「普段なら、あの道には地域のパトロールボランティアの方がいたはずなんです。ですが、当日はなぜかいらっしゃらなかった。もしいたら、状況も違ったのかもしれないと思うと悔やまれます」
多くの子供たちの目の前で起こってしまった悲劇。目撃者となってしまった子供たちの動揺は計り知れない。通学路の安全確保がボランティア頼みになってしまっていいのか──その是非を含め、いま一度点検されるべきだろう。
