堤駿斗 WBA挑戦者決定戦で2回TKO勝ちし世界初挑戦へ前進 ゴング後に被弾も2回に2度のダウン奪う
◇プロボクシングWBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦10回戦 堤駿斗(志成)《TKO2回1分25秒》フェリックス・バティスタ(ドミニカ共和国)(2026年7月14日 東京・後楽園ホール)
WBA世界スーパーフェザー級4位の堤駿斗(27=志成)がWBA世界同級挑戦者決定戦で同級11位フェリックス・バティスタ(29=ドミニカ共和国)に2回TKO勝ちし世界初挑戦へ大きく前進した。戦績は堤が9勝6KO、バティスタが14勝10KO1敗。
約11カ月ぶりの白星を手にした堤は「後楽園ホールでの試合は久しぶりで、体重オーバーしたとき(24年4月)以来。いい場所として塗り替えられたし、久々にハラハラした相手と戦えて楽しかったです」と白い歯をこぼした。
当初はノンタイトル同級10回戦として対戦が行われる予定だったが、試合2日前に急きょ昇格した一戦は初回からアクシデントに見舞われた。立ち上がり上下へ攻撃を散らした堤だったが、終了間際に相手の右を被弾。一瞬ぐらついた堤を見たバティスタはゴングが鳴った後にもパンチを浴びせ、堤陣営は怒りの抗議を見せた。
それでも当の本人は冷静だった。「相手も必死。ゴングの前から“来るぞ”という感じだったので腹をくくった」。一転して2回は打ち合いを展開。相手の猛攻を冷静にブロックして受け流すと、強烈な左フックでダウンを奪取。再開後も再びダウンを奪うと、立ち上がった相手にロープを背負わせてメッタ打ちに。レフェリーストップに持ち込み、ド派手なガッツポーズを決めた。
戦前は中間距離からダメージを負わせ、相手が前に出てきたところにボディーを効かせて中盤に倒す展開を想定していたという。「この終わり方は想定していなかったので不完全燃焼」と苦笑いだったが「無駄に長引かせて勝てるほど甘い世界ではない。決めるところは決めないと。あそこでいかなかったら結果は分からなかったので」と昨年8月にサウジアラビアでカイス・アシュファク(英国)を3回TKOで下して以来、約11カ月ぶりの白星を手にし世界へのアピールに成功。「復帰できたのは応援してくれるみなさまのおかげ」と感謝を述べた。
昨年12月に世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(33=大橋)らが出場したサウジアラビアでの興行でWBA同級正規王者ジェームス・ディケンズ(英国)に挑戦予定だったが、試合2週間前のスパーリングで右眼窩(がんか)底を骨折。自身の負傷で無念の欠場となっていたが、「何としてでも大きな舞台に上り詰める気持ちはケガした次の日からポジティブな気持ちに切り替わっていた」と振り返る。
また5月2日に東京ドームで世界5階級制覇を狙った、同門の大先輩・井岡一翔(37)からも刺激を受けた。同一戦前には「俺がまず頑張るわ」とラインでメッセージを受け取ったといい「まだまだ自分も挑戦しないと。人生で挑戦する期間が後々青春になる」と大先輩の背中を見て、再起への思いを強くした。
復帰戦に向けては「最近はパワー頼りだった。世界で戦うテクニックを上積みする必要があった」と、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(33=大橋)らトップ選手の動画を見て打ち終わりのディフェンスの研究を重ねた。やや被弾も目立ったこの日は「持ち越しですね」と頭をかいたが、所属ジムの佐々木修平会長は「一戦一戦、確実に成長している。とにかく世界戦をやらせたい」と期待を込めた。
WBAは同級正規王者アンソニー・カカーチェ(37=アイルランド、25勝9KO1敗)と同級暫定王者エルヌル・サメドフ(32=ロシア、22勝11KO1敗)との団体内統一戦を指令している。堤の“標的”は現状、不透明ではあるものの「年内にカカーチェとやりたい。決まれば一発で獲る気持ち。今年必ずWBAのタイトルを獲って恩返ししたい」とすでに戦うイメージを膨らませている。
アマ9冠でWBA世界フェザー級14位の弟・麗斗は25日にサウジアラビア・ジッダでアルビノ・エレーラ(30=メキシコ、18勝11KO2分け)と対戦することが決定。同一戦に帯同し、帰国後から練習を再開することを明かし「弟のサポートしながら(アンソニー・)ジョシュアの試合を見て刺激をもらおうと思います」と視線を上げていた。

