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 第108回全国高校野球選手権大会(8月5日から18日間、甲子園)の出場49校を決める地方大会が各地で幕を開けており、近畿地区でも6月28日に兵庫大会が開会式を迎えた。今春選抜から導入された指名打者(DH)制が採用される、初めての夏。投打分業制の時代に入っても、高校野球の花形であり続けた「エース兼主砲」として活躍する球児はいる。そこで「大谷ルール」を活用するなど、投打二刀流として甲子園出場を目指すプロ注目の逸材に会いに行った。 (取材=河合 洋介)

 2年生に早くもプロ注目の二刀流がいる。甲子園出場が96年春のみの大院大高(大阪)でエースを張る林将輝だ。自己最速は153キロで、今春選抜優勝に導いた大阪桐蔭・川本晴大らを上回る世代トップ級に君臨する。さらに辻盛英一監督の「打者としてもチームで一番いい」との証言通り、高校通算9本塁打超の強打者でもある。

 逸材たるゆえんが説明不能なのだ。身長1メートル73。どのウエートトレ種目もチームの平均程度にとどまる。「体も硬いし…。150キロを投げられる理由が分からなくて…」。それならばと、打者としてのパワーの源を聞いても「何なんですかね」と苦笑いを浮かべるばかりだった。

 数字以外の部分に、才能の一端が垣間見える。現在の投球フォームは西武・隅田を参考にしている。自身と異なる左腕を「自分と似ている」と捉え、テイクバックなどをマネたと言うのだ。以前の投げ方はパドレス・ダルビッシュとうり二つだった。打撃も自身と反対の左打者を参考にする。映像を見ただけで技術を盗める感性は、一言で言えば「天才」なのだ。

 北海道出身で、あまたの甲子園常連校から勧誘を受けたものの、大阪に来た。「プロ入りを考えた時に最も成長できる高校だと思いましたし、大阪桐蔭を倒したいという気持ちもありました」。2年生ながら、投打両方で選抜王者を止める準備はできている。

 ◇林 将輝(はやし・しょうき)2009年(平21)12月17日生まれ、北海道新ひだか町出身の16歳。5歳から、みゆきフェニックスで野球を始めて投手と遊撃手。静内第三中では日高リトルシニアに所属し、U15W杯の中学日本代表として世界一を達成。大院大高では1年春から背番号18でベンチ入りし、2年春から背番号1。50メートル走6秒2。1メートル73、71キロ。右投げ右打ち。

 ▽大谷ルール 「投手兼DH」で先発出場した場合、投手として降板後もDHとして出場が可能になるルール。エンゼルス・大谷翔平(現ドジャース)の投打二刀流での活躍をきっかけに、22年からメジャーで採用。同年、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催する国際大会でも採用されている。NPBでも23年の野球規則改正(5・11(b))以降可能になった。今春からDH制が導入された高校野球でも採用されている。