トースターは価格によってどんな違いがあるのか。ニトリの「フラッシュトースター」(7990円)とアラジンの「グラファイト グリル&トースター フラッグシップモデル」(3万9000円)を、家電プロレビュアーの石井和美さんが使って比べてみた――。

■価格差は約5倍、では性能は…

今年2月にニトリから登場したトースター「フラッシュトースター」が、7990円と手頃な価格ながら高火力で素早く焼き上げられることで注目を集めている。

トースターの定番として人気の高い3万9000円のアラジンの「グラファイト グリル&トースター フラッグシップモデル」とは価格差は5倍近くだが、トーストの味や使い勝手にどの程度違いがあるのだろうか。実際に焼き比べながら検証した。

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左がニトリ、右がアラジン - 筆者撮影

まずは仕様を比較してみよう。ニトリのフラッシュトースターは、幅32.5×奥行33.2×高さ22.2cm、重さは約3.2kg。比較的コンパクトで設置しやすく、付属品も必要最低限に抑えられている。価格を抑えながら、トーストを素早く焼くことに特化したシンプルな設計が特徴だ。

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ニトリは操作部もシンプル - 筆者撮影

一方、アラジンのグラファイト グリル&トースター フラッグシップモデルは、幅39.1×奥行き39.1×高さ27.6cmで重さは約7.1kgで、本体サイズがひと回り大きく、重さも2倍以上だ。グリルパンやすのこ、炊飯釜など多彩な付属品が同梱されており、トーストだけでなく、グリル料理や炊飯、蒸し料理など幅広い調理に対応する。オーブントースターというより、小型オーブンに近い存在といえる。

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アラジンは高機能でモードの種類も多いが、ダイヤルで直感的に選べる - 筆者撮影

■多機能性を重視し、付属品も多いアラジン

庫内容量や対応メニュー数を見ても、アラジンは多機能性を重視し、ニトリは日常的な使いやすさと価格を重視した設計であることが分かる。実際に並べると、アラジンはかなり存在感があり、付属品の多さも含めて調理の幅が広い。

アラジンのトースターは、炭素系素材(グラファイト)を発熱体として採用している。電気を流すと約0.2秒で発熱し、高温に達するのが特徴だ。

ヒーター構成は、上部に遠赤グラファイトヒーター1本、下部に石英管ヒーター3本。上部のグラファイトヒーターが強力な遠赤外線を放射してパン表面を素早く焼き上げ、下ヒーターが底面まで均一に加熱することで焼きムラを抑えている。

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アラジンは、上部にヒーターが1本 - 筆者撮影

一方のニトリは、上部にフラッシュヒーター2本、下部に石英管ヒーター2本を搭載。フラッシュヒーターも約0.2秒で発熱する。

上部ヒーターを比較すると、どちらもほぼ同時に明るくなるものの、発光の強さは大きく異なった。アラジンのほうがかなり明るかった。上部に1本しかないにもかかわらず、パワフルな印象を受けた。

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ニトリは、上部にヒーターが2本 - 筆者撮影

今回は同じ角食パンを2枚ずつ焼いて比較した。

■トースト専用機としては「ほぼ互角」

ニトリは100℃〜260℃から自分で選ぶ。何℃を選ぶのかが悩むところだが、説明書には食パンの場合は260℃と書いてあるのでその通りにした。ニトリは予熱を待たずに焼き色が付き、約3分弱で焼き上がった。表面はサクッとしているが、中はしっとり。噛むと生地が伸びるような弾力があり、口の中でほどけていく。

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ニトリ。アラジンと比較すると少々暗く感じる - 筆者撮影
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ニトリで焼いたトースト。しっかり焼き色はついている。左が表面、右が裏面 - 筆者撮影

一方のアラジンは、トーストモードで焼き色を5段階から選べるので、真ん中にして焼いてみた。わずか2分。それでもしっかりと焼き色が付いた。表面の香ばしさが際立ち、パン内部の水分を残しながら焼き上げる印象。好みが分かれそうだ。

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アラジン。加熱が始まるとかなり明るい - 筆者撮影
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アラジンで焼いたトースト。表面はかなりこんがり。左が表面、右が裏面 - 筆者撮影

食べ比べた正直な印象は、価格差はあるが、トースト専用機としては、想像していたほど差は大きくない。

トースト中心で使うなら、ニトリのコストパフォーマンスはかなり高い。一方、トースト以外の調理にも活用したいなら、アラジンの多機能性は大きな魅力だ。ただし、本体サイズも大きく付属品も多いため、設置スペースや活用頻度まで含めて選びたい。

■アラジン「クロワッサンモード」の実力

一方、表面が焦げやすく、中心まで温めるのが難しいクロワッサンでは違いが見られた。

アラジンはクロワッサンモードがあるのでおまかせだ。わざわざ取扱説明書などを確認する必要もないので、手軽に温められる。時間は約6分かかるものの、表面はサクッと軽く仕上がり、中の層もしっかり残る。バターの香りも引き立ち、焼き立てに近い味わいを楽しめた。

一方、ニトリは取扱説明書の推奨どおり100℃で約3分加熱した。全体はしっかり温まったものの、表面のサクサク感はそれほど感じられず、クロワッサン特有の軽やかな食感の再現という点ではアラジンに及ばなかった。

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左がニトリ、右がアラジン。香りも食感も、アラジンは文句なし。アラジンは食感がサクッとしており、香ばしさが際立つ。ニトリは表面はサクッとしており、中のふんわりしており、好みが分かれそう - 筆者撮影

時間はかかるものの、クロワッサンを焼き立てのように楽しみたいならアラジンの完成度は高い。温め直しまで含めたパンのおいしさを重視するなら、価格差に見合う価値を感じられるだろう。

ハンバーグの焼き具合は感動もの

アラジンのトースターには、グリルパンが付属している。グリルパン内部は最大320℃になり、高温かつ均一に食材を加熱、焼く、煮る、蒸す、低温料理など、トーストやパンのあたためだけでなく、多彩な調理を楽しめる。

個人的に毎回感動するのは、ハンバーグだ。フラッグシップモデルには「2ステップ調理」が搭載されている。まずは高温で素早く表面を焼き上げ、その後に低温でじっくり火を通すことで、肉汁を閉じ込めたふっくらジューシーなハンバーグに仕上がるのだ。

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ハンバーグをグリルパンに入れて加熱 - 筆者撮影

280℃で7分、200℃で5〜6分加熱してみた。1度に4個のハンバーグを調理できるのも、我が家のような4人家族にとってはうれしい。

仕上がったハンバーグは、中がとてもジューシーで肉汁があふれる。フライパンなどで調理するよりもはるかに食感が本格的で、家族も喜ぶ。トースターだが、調理家電としてもとても優秀だ。

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ふっくらと焼き上がっている - 筆者撮影
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中はジューシー。家族にも大好評 - 筆者撮影

■餅もチーズも落ちにくい焼き網設計

使い勝手の面では、焼き網の設計にも違いが見られた。

アラジンのグラファイト グリル&トースター フラッグシップモデルは、網目が細かく設計されているため、餅や小さな食材が落ちにくい。ピザトーストを焼く際も、溶けたチーズや具材が網の隙間から垂れにくく、扱いやすい印象だった。

一方、ニトリのフラッシュトースターは網目が比較的大きい。そのため、餅やピザトーストを焼く際には付属トレイの使用が基本となる。

日常的に使い分ける場合、その都度トレイをセットし、お手入れもしなければならないため、やや手間に感じた。通常のトーストを焼く用途では大きな問題はないが、餅やピザトーストを頻繁に調理する人にとっては、こうした細かな使い勝手の差も選ぶ際のポイントになりそうだ。

今回比較して感じたのは、トーストを焼くことを主な目的にするなら、ニトリのフラッシュトースターで十分満足できるということだ。立ち上がりが速く、短時間でふんわりと優しく焼き上げられるうえ、価格も手頃。トースト専用機として見ればコストパフォーマンスはかなり高く、毎朝の朝食を快適にしたい人には有力な選択肢といえる。

■しっかり調理したい人にはアラジン

一方で、パンのおいしさをさらに追求したい人や、クロワッサンなどの再加熱をよく行う人にはアラジンがおすすめだ。表面のサクッとした食感や香ばしさのバランスはさすがで、焼き立てに近い仕上がりを楽しめる。

さらに、ハンバーグなどのオーブン料理もおいしく調理でき、トースターの枠を超えた活躍が期待できる。さらに、グリルパンや炊飯釜など付属品が充実しており、グリル調理や蒸し料理、炊飯まで幅広く対応できるのも魅力だ。キッチン家電を増やさず、1台でさまざまな調理をこなしたい人には大きなメリットになるだろう。

ただし、アラジンはその分本体サイズは大きく、設置スペースも必要になる。付属品の収納場所も確保しなければならないため、購入前にはキッチン環境を確認しておきたい。

手軽にサクふわなトーストを楽しみたいならニトリ、香ばしいトーストと色々なパンを楽しみたい方、調理の幅まで求めるならアラジン。それぞれ目指している方向性が異なるため、価格だけでなく、自分がどこまで活用したいかを基準に選ぶのがおすすめだ。

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石井 和美(いしい・かずみ)
家電プロレビュアー
1972年生まれ。出版社の編集者を経てフリーランスに。日用品や家電のレビューを行うライターとして活動を始め、家電レビュー歴は15年以上。一戸建ての「家電ラボ」を開設し大型白物家電をはじめ生活家電の性能や使いやすさをテストしている。
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家電プロレビュアー 石井 和美)