安保与党提言 抑止力強化へ財源論避けるな
中国、ロシア、北朝鮮が軍拡を進めて連携を強めている。
日本の防衛力はどうあるべきか、固定観念にとらわれることなく、実態に即して検討を進めてもらいたい。
政府が年末までに予定する、安全保障関連3文書の改定に向けて、自民党と日本維新の会が高市首相にそれぞれ提言を行った。
両党とも、ウクライナでの戦闘を踏まえて無人機(ドローン)やAI(人工知能)などによる「新しい戦い方」への対応を喫緊の課題と位置づけた。
自民は、長距離運用できるドローンの導入やAI活用の指揮統制システムの整備を求めた。維新は、宇宙やサイバーなどを統合した防衛力構想を提起した。
首相は「提言をしっかり受け止めたい」と語った。与党の提言の中には、実現に向けてハードルが高い内容も含まれているが、政府はしっかり吟味して、実現すべき施策を盛り込む必要がある。
2022年策定の現3文書は当初10年間の防衛指針とされたが、日本周辺の安保環境が急速に変化したため、前倒し改定となる。
両党はともに、弾薬や燃料など継戦能力確保のため、防衛産業の強化を急ぐよう求めた。どこから着手するか、政府は優先順位をつけて取り組まねばならない。
防衛費を巡り、自民は、欧州各国が国防費の支出目標を対GDP(国内総生産)比3・5%としていることを例示したものの、具体額は明示しなかった。
トランプ米大統領は、同盟国に対し「3・5%」の支出を求めている。増額は避けられないだろうが、外国から要求されて決めるものではない。政府は必要な経費を積み上げて算出すべきだ。
財源の具体的な確保策に両党とも言及しなかったことは、不十分だ。国債発行などに頼らない、防衛力強化の裏付けとなる安定財源を確保すべきだ。負担増の議論を避けるべきではない。
今回の提言は、与党としてすり合わせをせず別々に行われた。核政策を巡る見解が割れたためだ。自民・公明両党の連立政権下では、事前の調整が通例だった。
核抑止力を巡っては、維新が踏み込んだ。非核三原則の「持ち込ませず」の見直しを要請した。原子力潜水艦の導入も求めた。
原潜には長時間潜航できるといったメリットがある一方、原子力利用は平和目的に限る、とする原子力基本法との整合性など克服すべき課題も残る。法改正の是非も含めて議論を深めたい。
