鈴華ゆう子が、ソロデビュー10周年の幕開けを飾る<鈴華ゆう子 10th Anniversary Live 華まつり 〜十年大祝宴〜>を6月13日に東京・いちょうホールにて開催した。

鈴華ゆう子は2011年に詩吟の全国大会で優勝、そこから“和の魅力を幅広く伝えたい”という思いを持ち、2014年に和楽器バンドのボーカルとしてメジャーデビュー。その後、2016年にミニアルバム『CRADLE OF ETERNITY』でソロデビューも果たした。そこから2025年に詩吟の新流派「吟道鈴華流」の宗家にもなるなど、異例の活躍を見せてきた。そして今年がソロデビュー10周年の記念イヤー。私自身この10年近くで鈴華のことを見せてもらっているが、その活躍ぶりは年々パワフルになるようにも感じるし、どんどんと個の魅力を増し続けていると思っている。

そんな鈴華のすべてが詰め込まれていたのが、今回の<鈴華ゆう子 10th Anniversary Live 華まつり 〜十年大祝宴〜>(以下、華まつり)だった。彼女の歌はもちろん、カバー曲のクオリティの高さ、ルーツのひとつでもある剣詩舞など、すべてを一度に味わうことのできる絢爛豪華な大祝宴だった。

そんな宴の始まりは、和太鼓と笛の音による荘厳なSE、鈴華の詠唱から。ステージいっぱいに張り巡らされた紗幕に、今日のためだけに撮り下ろされた赤い衣装の袖をふわりとはためかせる鈴華の映像が映し出される。壮大で美しく、幻想的な映像だ。そこに<華まつり>のロゴが映し出され、紗幕が切って落とされた。その瞬間に鳴り始めたのは、6月にリリースされたばかりの「神代夜想曲」。鈴華のソロデビュー曲「永世のクレイドル」はじめ、数々のソロ曲を書き下ろしてきたボカロP・黒うさが、鈴華のソロ活動10周年を記念して制作した楽曲だ。始まりにこれほどふさわしい楽曲はない。

黒うさらしい、そして鈴華らしい和ロックが、匹田 大智(津軽三味線)、鳴風(G)、広田 圭美(Key)、わちゅ〜(B)、Yeongkwi Lee(Dr)の“華Band”による豪華なバンドサウンドで彩られ、幕開けにしてその場の空気が鈴華の世界に変わっていく。鈴華はMVの通り、女神のような姿で美しい。

「今日はこの記念すべき祭りを盛大にここにいるみんなで盛り上げていくぞ! ついてこい!」という力強いアジテーションからメタル曲「Incubation」へ。赤い上衣を脱いで太ももも露わに難曲を乗りこなしながら煽り、先程の姿とは一変。そして「ケサラバサラ」では《KESARA BASARA ニンジャラ ライラ》のフレーズを全員で唱え振り付けを一緒に踊るなど、一体感を生み出した。

すでに特盛りのオープニングを経て、鈴華は「みなさん集まってくれて本当にありがとうございます!」と大きな声で感謝を伝える。鈴華はこのライブが始まるまでファンが楽しみにしている様子を何週間もSNSでチェックしていたといい、コスプレ衣装を作ってくれたファンや海外から参戦してくれたファンなど、会場に集まった全員と楽しくコミュニケーション。ファンと鈴華、お互いが最高潮の状態でここにいるようだ。

「ずっと思い出に残る日を作っていきたいので、みんなの力を貸してください」と言って、ジャジーなリズムが艶っぽい「泥棒猫」から、歌唱力を堪能できるフェーズへ。森山直太朗作詞曲「カンパニュラ」は何度聴いても聴き惚れる。ピアノと鈴華の歌だけになるラストのロングトーンには思わず鳥肌が立つほど。ファンのペンライトが作りだす景色もカンパニュラの花畑のようで、その美しい光景も相まって涙腺が刺激されてしまう。これは個人的に鈴華のソロの中でも特に聴いてほしい曲だ。

そして鈴華の代表曲のひとつ「SAMURAI DIVA」も必聴。この歌には、自身が“うたいびと”として生きていく決意、そして“日本のかっこよさを世界に伝えていきたい”という彼女の使命、母になって改めて思う“未来と平和への祈り”が込められている。その強い信念に負けないサウンドを作り上げたのが作曲家・田中公平、そして雅楽師の東儀秀樹も参加。生で聴くときの迫力は言葉では言えない。今回は着席で聴くようアナウンスされており、それもこの壮大な世界観に没頭できるいい手法だったと思う。

曲終わりには荘厳なSEが流れ始め、そこに秒針の音が重なり、白く輝く着物を纏った鈴華が「巡り巡る」を歌い始める。間奏では入倉慶志郎(日本壮心流 東京支部長/入倉昭鳳)も加わり、鈴華と一緒にスモークの中で舞い、この曲で描かれる死生観をドラマティックに描写していく。歌と舞で楽曲を表現するという、鈴華ならではのステージだ。そのまま匹田の三味線と重いEDMビートにあわせ、入倉と鈴華の剣詩舞が始まった。鈴華は5歳から剣詩舞を嗜んでおり、そのルーツを感じられる一幕。だが詩吟にあわせた本当の剣詩舞ではなく、こうした楽曲とあわせて舞うのが鈴華流で面白い。剣詩舞と聞くと難しいもののようで敬遠されがちだが、EDMとの舞は誰が見てもかっこいいだろう。

鈴華の歌とルーツのひとつである舞を堪能することができ、次は何を見せてもらえるのかと思っていると、予想外に会場後方から太鼓の音が。振り返るとなんと、よさこいチーム・倭奏が和太鼓と笛を演奏しながら登場。小気味のいい音頭を繰り出しながら会場を練り歩き、ステージに上がると会場を巻き込んだリズム遊びで会場を盛り上げる。倭奏も今年10周年を迎え、その記念作品楽曲「響粋」を鈴華が歌唱したという縁から、今日の<華まつり>を祝うためにやってきたという。

「鈴華ゆう子 10周年おめでとう」「みんな大好き鈴華ゆう子」と太鼓のリズムに合わせて大きな声で叫んで会場のボルテージが上がりきったところで、鈴華も登場。よさこい旗がはためくステージに華Bandもインし、もちろん披露されるのは「響粋」だ。倭奏のいなせなパフォーマンスと、鈴華の力強い歌唱の相性も抜群。そのまま倭奏の面々も一緒に、「千本桜」へ。倭奏の衣装と踊りが目にも華やかだ。和楽器バンドでも鈴華のソロでも絶対に披露されてきたお馴染みの「千本桜」だが、こうして毎回違った演出で聴かせてくれるのは本当にすごい。高揚したファンの掛け声も熱く、ラスサビでの桜が降ってくる演出も素敵だった。

続いては、和楽器バンドを彷彿とさせるタームが始まる。鈴華の呼び込みで、ボカロP/ 和楽器バンドのベーシスト・亜沙が登場。亜沙が2025年にスタートした新プロジェクト「骸と伽藍堂」より、鈴華フィーチャリング曲「骸に歌えば」がデュエットで披露された。骸と伽藍堂は、“天上の使いである骸が各ボーカリストの歌声にのせ、人の生に関しての歌を奏でる”というコンセプトのプロジェクト。この曲でも独特の人生観を描いた歌詞と、ムーディーなサウンドに乗せた亜沙と鈴華の掛け合いが楽しい。久々のコラボに会場からは大歓声が上がる。

実はこの2人で何かをするということ自体がレアなこと。和楽器バンドが始動する前に、和太鼓の黒流がやっていたインディーズバンドを一緒に見に行き、待ち時間に2人でカラオケに行ったという思い出話がトークで明かされた。ちなみに和楽器バンド始動当初、上手く煽れなかった鈴華に亜沙とギターの町屋がレクチャーしていたそうで、久々にステージで鈴華の煽りをみた亜沙からは「懐かしい、これこれ」「外タレみたいだった」との言葉も。鈴華が会場に来ている自身の娘に、中性的なルックスの亜沙を「お兄ちゃんかお姉ちゃんかどっち?」と聞いたら、「お兄たん」と答えたというエピソードなど、昔と変わらぬ仲良しトークも嬉しい。

骸と伽藍堂のEPより、鈴華が「この曲があるから<華まつり>だって思ったぐらい好き」という、もうひとつのコラボ曲「金魚掬いと夢花火」も披露された。今回の<華まつり>グッズである10周年記念 舞扇子にも金魚と花火が描かれており、今日の日にぴったり。亜沙らしいノスタルジックな美メロが際立つ一曲で、夏の夜の儚い情景が浮かび上がる。そして期待通り「亜沙が来てるならこの曲やらないと!」と、和楽器バンドでもお馴染みだった亜沙の代表曲「吉原ラメント」も。和傘の中で背中あわせになって2人で歌う光景が懐かしい。

大きな拍手に送られ亜沙がステージからはけると、象徴的なイントロが。ソロアルバム『SAMURAI DIVA』にも収録された、陰陽座の「甲賀忍法帖」カバーが投下された。華Bandの豪華なサウンドと鈴華のロックな歌唱が本家に勝るとも劣らずとてもかっこいい。

「てんこ盛りでしょー」という鈴華の言葉通りの展開で、感無量。ソロデビュー曲「永世のクレイドル」が夜空のような照明の中で始まると大盛り上がりの会場からは大きな掛け声が上がり、こちらも同じく初期の「百年夜行」では扇子を使った振り付けがとても綺麗。その一方、最新サウンドの「The Battle of the Monkey and the Crab」では一緒になってラップをしてヘドバンするという場面も。この振り幅も鈴華の魅力で、それを難なく乗りこなすファンの団結も、改めて考えると驚異的だ。

続け様に「Step forward」でタオルを回して盛り上がり、ラストは「Dark spairal journey」。ギターと三味線の絡み合いが気持ちいいイントロから熱狂の渦が生まれ、ロックに気持ちを高揚させたまま「みんな最高でした、本当にありがとうございます! 今日ここで歌えて幸せでした」と本編が締めくくられる。

当然、本編だけでこの熱は収まらない。すぐさま起こったアンコールに応えて登場した鈴華は、「10年前の大切な曲をお聞きください」と言ってピアノにあわせ、こちらも黒うさによる「戦火の灯火」を美しく歌い上げた。

MCでは “歌う”という自分の生きる糧が、誰かの糧になっているというのを感じていると述べ、「みなさんの存在が私の生き甲斐」と語った鈴華。そして「15年、20年と、もっともっと濃くなった鈴華の音を皆さんに返していきたいと思っています。これからも絆を深めていきましょう。長いお付き合い、人生を捧げますのでよろしくお願いいたします」とのメッセージをファンに送り、その言葉が体現されたような「パピヨン」に繋げる。この曲で歌われる感謝をまっすぐに受け取ったファンも大きな声援と拍手で応え、10周年、そしてその先をも言祝ぐ。

オーラスは、和楽器バンドの「戦-ikusa-」。作詞作曲を手がけた亜沙を再びステージに呼び込み、さらにサプライズで和楽器バンドの尺八・神永大輔が登場。神永は当日開演前に急遽出演が決まったそうで、まさかのコラボに会場は大歓喜。華Bandの面々に2人が加わり、最高潮の盛り上がりで<華まつり>がフィナーレを迎えた。

「10周年はがむしゃらでしたが、これからは“どれだけ深く私にしかできないことを探求していくか”ということ、“唯一無二の世界を深めて次世代に繋げていくこと”が目標。進化し続ける鈴華ゆう子を支えてください。よろしくね」と語った鈴華。ここまでの10年の活躍を見て、必ずこの先も飛躍していくことは間違いない。それを見ることを楽しみに、彼女のことを今後も追っていきたいと思う。

このあと鈴華は<ソロデビュー10周年記念ツアー「万華の宴 ―10周年東名阪巡礼―」>、<衣装&写真展 万華の苑>を開催することが決定している。<華まつり>からの祝祭は、まだまだ続いていく。

取材・文◎服部容子
写真◎上溝恭香、笠野志緒里

セットリスト
1.神代夜想曲
2.Incubation
3.ケサラバサラ
4.泥棒猫
5.カンパニュラ
6.SAMURAI DIVA
7.巡り巡る
8.剣舞
9.よさこい太鼓performance
10.響粋
11.千本桜
12.骸に歌えば
13.金魚掬いと夢花火
14.吉原ラメント
15.甲賀忍法帖
16.永世のクレイドル
17.百年夜行
18.The Battle of the Monkey and the Crab
19.Step forward
20.Dark spairal journey

en1.戦火の灯火
en2.パピヨン
en3.戦-ikusa-

「神代夜想曲」
2026.06.07 Release
作詞・曲:黒うさ
編曲:倉内達矢
配信リンク:https://suzuhanayuko.lnk.to/KamishiroYasokyoku

<10周年記念特別展示会 衣装&写真展「万華の苑」>
【開催日程】
2026年11月21日(土)22日(日)23日(月・祝)
【会場】
東京・世田谷区 DDDART
〒155-0032 東京都世田谷区代沢4-41-12<アクセス>
【チケット】※詳細は後日公開いたします。
8月上旬よりFC先行販売開始予定

<鈴華ゆう子 ソロデビュー10周年記念ツアー「万華の宴 ―10周年東名阪巡礼―」>
大阪・TEMPO HARBOR THEATER
【日時】2026年11月28日(土)
【会場】TEMPO HARBOR THEATER(大阪府大阪市港区海岸通1丁目5−10)

名古屋・ボトムライン
【日時】2026年12月12日(土)
【会場】ボトムライン(愛知県名古屋市千種区今池4丁目7−11 メトロビル)

東京・日経ホール
【日時】2026年12月20日(日)
【会場】日経ホール(東京都千代田区大手町1丁目3−7 日経ビル 3階)

関連リンク
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