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 【牧 元一の孤人焦点】6月19日公開の映画「免許返納!?」(河合勇人監督)に出演した俳優の西野七瀬(32)がインタビューに応じた。70歳の映画スター・南条弘(舘ひろし)が人生最大の危機に直面して右往左往するコメディー・ヒューマンドラマで、西野は南条のマネジャー・川奈舞役。舘が「西野くんがこの映画の生命線」と公言するほどの重要な役を演じ切った思いを聞いた。

 ──マネジャー役と聞いた時の心境を教えてください。

 「楽しそう!と思いました。マネジャーが重要な役割を果たす物語はあまりないような気がして」

 ──川奈舞という人物の役作りは?

 「本読みの時に定まりました。それまでは南条さんに振り回される感じだと思っていたのですが、舘さんから『冷たくしてください』とあったので、そっちの方向か!と。それからあまり迷いませんでした」

 ──川奈の外見については?

 「衣装合わせの時、洋服を買うことが仕事をするモチベーションになっているような、おしゃれ好きな人だと感じました。メガネは最近かける機会がなかったので、久しぶりでした。目立ちすぎず現場になじむ雰囲気を意識しました」

 ──演じてみてマネジャーは大変だと感じたことは?

 「南条さんのために日傘をさすのが大変でした。私自身はさしてもらうのが苦手なので、そういう場合は『大丈夫です』と断るか、自分で持つことが多いんです。誰かのためにさすとなると、重くて揺れて来ちゃう。本番中、腕がつらくてギリギリの感じでした」

 ──ほかには?

 「南条さんは自分の考えを発信したいと思う。でも、川奈はマネジャーとして、世間の反響を考えて止めようとする。とはいえ、規制し過ぎるのも良くない。マネジャーは大変な仕事だと思いました」

 ──西野さんのアイドル時代、マネジャーにその悩みはなかったでしょう!?

 「全くないですね。私は何も発信しないタイプだったので(笑)」

 ──映画の中で川奈が過去の自分の映像を見て思いにふけるシーンがありますが、西野さんも乃木坂46時代の映像を見て思いにふけることはありますか?

 「自分から探して見ることはないですが、偶然流れて来ることがあって『大変だったなあ』『よくやっていたなあ』『頑張っていたなあ』とは思います」

 ──2024年公開の映画「帰ってきた あぶない刑事」以来となる舘さんとの共演はどうでしたか?

 「楽しかったです。今回は役柄の関係性がより濃くて、お話もたくさんできました。この作品の中で川奈がいかに大事な人物なのかということを話して頂き、台本にない要素をどんどん足して頂きました。この作品は台本通り演じるのではなく、舘さんが考えるアイデアを混ぜ込んで、皆で作っていった感覚が強いです」

 ──舘さんに足してもらった要素を教えてください。

 「結構たくさんありますが、南条さんが物を蹴ろうとして転ぶシーンがそのひとつです。段取りでは、南条さんが転んだ時、川奈は心配そうに歩み寄る感じで、セリフもなかったのですが、舘さんが私に『一歩も動かなくていい』と。それで、南条さんが転ぶのを見た川奈が『空振り』とつぶやく場面が足されました。後半で、南条さんが半グレたちと争うシーンもそのひとつです。段取りでは、川奈は争いを見ているだけだったのですが、舘さんが『それではただ冷たい人物に見えてしまう』と。それで川奈が南条さんを守るために身をていする場面が加えられました」

 ──台本にはないアクションシーンが加わって大変だったのでは?

 「楽しかったです。当日、アクション指導の方も来ていて、受け身を教えてもらいました。川奈は戦えやしないのにとりあえず突っ込んでいく。その姿によって魅力的になったと思いますし、作品のポイントになるシーンになったと思います」

 ──川奈が車で並走して南条に文句を言い続けるシーンもとても印象的です。

 「あのシーンも楽しかったです。ああやって舘さんに物を言えることなんて普通はないので。台本には南条さんが窓を閉める場面はなかったのですが、舘さんのアイデアで、加わりました。南条さんが窓を閉めると川奈はムカッとして『閉めるな!』と怒鳴る。より面白いシーンになったと思います」

 ──映画とはいえ、大先輩の舘さんに鋭く突っ込みを入れ続けることに戸惑いを感じませんでしたか?

 「最初の頃はありましたが、すぐに慣れました。舘さんから『もっと冷たく!』『もっとばかにした感じで!』と言って頂いていたので、それに応えて、とことん言うことで振り切りました」

 ──でも、あの鋭い突っ込みは西野さん自身にない一面では?

 「自分から遠くはないです。誰にでも言うわけではありませんが、身内には言うので(笑)」

 ──ほかに印象に残るシーンは?

 「免許を返納しようとした南条さんがかつての教官に会って、川奈に『あいつ、年取ったなあ』とつぶやくと、川奈が『あなたも同じです』とバサッと冷静に返す。その時の南条さんの真顔がとてもよくて、舘さんのあんな表情はなかなか見られないと思います」

 ──映画を最後まで見ると、南条にとって川奈がいかに大事な人物であるかということがよく分かる構成になっています。

 「それを意識せずに演じていました。見ていて、重くなっていないと思います。お互いの思いを押しつけがましく出さない。その感じも良かったと思います」

 ──撮影全体を通しての感想は?

 「本当に楽しくやらせて頂きました。あまり悩んだりもしませんでした。日々『この映画は面白いな』と思いながらやっていたら、いいものができた。いちばん良い形だと思います。この作品は幅広い年齢層に楽しんで頂けると思います。コメディーと人間ドラマのバランスがほどよくて、グっとくる。南条さんをはじめ、かわいらしいキャラクターが多い。すてきな作品になりました」

 ──共演陣は宇崎竜童さん、吉田鋼太郎さん、大地真央さん、真矢ミキさんらで豪華ですが、そうした人たちの中にまざっても埋没しない確かな存在感を西野さんの芝居に感じました。

 「良かったです」

 ──最後にファンへのメッセージをお願いします。

 「今までの私と川奈とのギャップを感じる方もいるかと思うので、そこは新鮮な気持ちで楽しんで頂ければうれしいです。でも、実際、川奈と私はかけ離れていません。意外に近いです(笑)」

 ◇西野 七瀬(にしの・ななせ) 1994年5月25日生まれ、大阪府出身の32歳。2011年から乃木坂46の中心メンバーの一人として活躍し、18年にグループを卒業した後は俳優として活動。映画では「孤狼の血 LEVEL2」(21年)で第45回日本アカデミー賞優秀助演女優賞・新人俳優賞を受賞、「恋は光」(22年)、「シン・仮面ライダー」(23年)などに出演し、「少年と犬」(25年)に主演。さまざまな役柄に挑み、それぞれで充実した芝居を見せている。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。