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アリエル・アトムなら可能かもしれない

バンジージャンプ級のスリルを、地上で味わうには? サーキットへ向かう必要はあるが、ボディパネルが殆どないアリエル・アトムなら可能かもしれない。 4RRなら特に。

【画像】バンジージャンプ級スリルを地上で アトム 4RRとM2 CS ベースのM2にノマドも 全134枚

美しく弧を描くスペースフレーム・シャシーがまとうモノといえば、最小限のノーズコーンと、アクリル製フロントスクリーン程度。高速走行するクルマへ空気と質量が与える影響を、これほど如実に体験できるクルマは珍しい。


イエローのアリエル・アトム 4RRと、ダーク・ブルーのBMW M2 CS    マックス・エドレストン(Max Edleston)

2018年登場のアトム4は、シンプルさを極限まで追求した、至高のドライバーズカーだと表現できる。しかも、すこぶる速い。ただし従来は、ある程度の速度域まで。

190km/h前後を過ぎると、加速力は突然衰えた。複雑な見た目が生み出す、空気抵抗が後ろへ引っ張るからだ。目には見えなくても、変化する音や手足の感覚として感じ取れた。実際には、徐々に速度は上昇していたとしても。

ホンダのK20Cユニットは532psへ

数世代に及ぶ進化で、アリエルはアトムの限界を更新してきた。その最新版となるのが、この4RRだ。その実力は高く、全力を開放するには安全で滑らかなコースが必要になる。英国最速を自称する、スラクストン・サーキットが好適だろう。

アトム 4RRがミドシップマウントするのは、ホンダのK20Cユニット。2.0L 4気筒ターボは、同社の技術者による100時間に及ぶ作業によって、532ps/8200rpmという驚異的なパワーが引き出されている。最大トルクは、56.0kg-mに達する。


アリエル・アトム 4RR(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

専用のシリンダーヘッドとシリンダースレーブに加えて、鍛造ピストンとコンロッド、1400ccの大容量インジェクター、1.7barのブースト圧を生むターボを採用。2023年のアトム 4Rから、3割も強化されたというから驚いてしまう。

オーリンズ社製ダンパーをインボードで実装

エンジン冷却用のサイドポンツーンは、4Rから拡大。ブレーキはAPレーシング社製で、フロントのディスク直径は310mmあり、ホイールに収まるギリギリだという。

サスペンション・スプリングは強化され、調整式のオーリンズ社製ダンパーをインボード構造で実装。ウイッシュボーンは断面がウイング状で気流を整え、アライメント調整が簡単なハブを結ぶ。


アリエル・アトム 4RR(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

数少ないボディパネルは、カーボンファイバー製。車重は、通常のアトム 4より50kg近く軽いそうだ。イエローとブラックのカラーリングが、警戒色で物々しい。前後のウイングは、他のモデルが刻んだラップタイムに対する、あからさまな挑戦状だろう。

実際、見た目通り揚力は減少しているのだろうか? ドラッグを減らし、ダウンフォースを生み、空力的なバランスも整えているのだろうか? 疑問は湧くが、このエアロキットは、通常のアトム4にも組むことができるらしい。

高速コーナーを安定してクリアするBMW M2 CS

アリエル社のトップ、ヘンリー・シーバート・サンダース氏へ、どの程度違うのか聞いてみると、「かなりイイですよ」と微笑んだ。具体的な数字は、示せないそうだが。「実際に確かめていただくのが、1番でしょうね」

AUTOCARは、スラクストン・サーキットを余り利用しない。それは、速度域が高すぎるから。200km/h超という速度域での操縦性を確かめても、現実的な運転体験を評価したことにはならないからだ。多くの量産モデルは、このコースには力不足でもある。


BMW M2 CS(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

しかし、比較相手として用意したBMWなら心配ご無用。多くのドライバーから恐れられる、高速コーナーを安定してクリアするであろう、M2 CSをお借りした。むしろ、秘めた走行性能を引き出せるのは、サーキットだといっても良い。

同コースでドライビング・インストラクターを務める、アンドリュー・フランクリン氏にレクチャーもお願いした。理想的なラインだけでなく、高速コーナーで避けるべきラインも示していただいた。多くの危険を目の当たりにしてきた、彼による冷静な説明で。

この続きは、アリエル・アトム 4RR x BMW M2 CS(2)にて。