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日本のウイスキーが世界的に評価される中、大分県内でウイスキー造りが広がりを見せています。かつて大分県日田市には「ニッカウヰスキー九州工場」が存在していましたが、1999年に閉鎖。以降、県内でのウイスキー造りは完全に途絶えていましたが、大分の豊かな風土を活かした新たな挑戦が始まっています。

【写真を見る】ウイスキー造り広がる 日本産は世界で争奪戦に…価格の高騰続く 世界に挑む酒蔵の新たな一手

世界が認めたシングルモルト

大分県竹田市久住町。豊かな自然に囲まれた「久住蒸溜所」では、貯蔵庫に820~830本もの樽が静かに眠っています。この蒸留所を2021年に開業したのは、地元の老舗酒屋4代目・宇戸田祥自さんです。

久住蒸溜所 宇戸田祥自社長:
「味わいの幅もあって、長い歴史もあり、すごく魅力を感じていました。それを久住でやれれば、未来に繋がるのかなと思っています」

久住蒸溜所で手がけるのは、1か所で大麦麦芽のみを使い、樽で3年以上熟成させる「シングルモルト」です。伝統的な製法にこだわり、木製の発酵槽や本場・スコットランドから導入した設備を使い、年間約500樽を製造しています。

その品質は世界最高峰の品評会でも高く評価され、今年5月には日本航空・国際線の機内販売に採用されました。

久住蒸溜所 宇戸田祥自社長:
「賞をもらったから胸を張れると思っていなくて、その賞に見合ういいものをもっと作らないといけないと感じています」

「純大分県産」へのこだわり

現在は「純大分県産」のウイスキー造りにも取り組んでいます。豊後大野市で収穫された大麦を使用し、仕込み水にはくじゅうの湧き水を活用して完成を目指しています。

久住蒸溜所 宇戸田祥自社長:
「蒸留所をやるからには、地元大麦は挑戦したかった。まだ育成過程で、明らかに他の大麦とは異なる個性がありますが、それがどう花開くかはこれから楽しみ」

創業から5年。すでにアメリカや中国などに輸出されていますが、宇戸田さんは「大分でもっと僕らのウイスキーに触れる方が増えればいいなというのが、次の大きな目標の一歩」と語ります。

今なぜ、ウイスキー造りが相次いでいるのでしょうか――。その背景には、世界的な“ジャパニーズ・ウイスキー”の需要の高まりがあります。

“ジャパニーズ・ウイスキー”世界的争奪戦

国税庁によりますと、日本産酒類の輸出額は、清酒やウイスキーの国際的な評価の高まりを背景に急増しており、近年は過去最高となる1390億円規模の高水準を維持しています。

輸出金額の品目別では1位が「ウイスキー(約436億円)」。2位の「清酒(約435億円)」とあわせた2品目だけで、日本の酒類総輸出額の6割以上(65.1%)を占め、世界的な争奪戦が繰り広げられているのです。

老舗酒蔵が挑戦…熟成前の原酒を商品化

こうした中、大分の伝統ある老舗酒蔵も動き出しています。

臼杵市野津町で、1872年(明治5年)創業の「藤居酒造」がこれまでにない新たな挑戦を始めています。開発したのは、熟成前のウイスキー原酒を商品化した「野津ニューポット」です。

藤居酒造 藤居徹社長:
「地元農産物をいかして海外で戦っていこうと思い、これまで日本酒を手掛けました。今度はウイスキーで世界に挑戦しようと考えました」

藤居酒造が注目したのは、地元のコメを主原料にしたウイスキーです。2021年から県産業科学技術センターと共同研究をスタートさせ、2024年に製造免許を取得しました。発酵や蒸留には、日本酒や焼酎の製造施設を活用。長年培った技術がありましたが、苦労の連続だったといいます。

藤居酒造 藤居徹社長:
「蒸留の仕方も焼酎と全く違うので、時間も大変かかりましたし、正直こんなに大変とは思わなかった」

試行錯誤を重ね、現在は3000リットルの原酒の製造に成功。創業当時から受け継がれてきた蔵で、じっくり熟成させます。

藤居酒造 藤居徹社長:
「うちのお酒は、穏やかで調和のとれた味わいで、できればウイスキーでも優しい香りでありながら、味わいと調和のとれたウイスキーができるといいなと思っています」

伝統の技術が紡ぎ出す、大分の新たなウイスキー造り。故郷への想いと情熱を胸に理想の味わいを求める挑戦が続きます。