いよいよ国会審議 「再審法の改正」ポイント整理【徳島】
(実況)
「今、無罪判決という判決が出ました。冨士茂子さんに無罪という判決が下されました」
徳島ラジオ商殺し事件で有罪となり、服役した冨士茂子さん。
1985年、再審でようやく無罪を勝ち取ったものの、逮捕から31年、亡くなってから6年の歳月が経っていました。
遅々として進んでこなかった、冤罪被害者の救済。
今、その仕組みが大きく動こうとしています。
❝4月6日 自民党法部部会❞
(自民党・稲田朋美 議員)
「ほとんどの議員が(検察官の)『抗告禁止』といっているにもかかわらず、全く無視をしている。法律を作るのは国会ですからね」
5月、再審法の改正案が閣議決定され、論戦の舞台はいよいよ国会へと移ります。
(森本アナウンサー)
「ここからは、『再審法の改正』について、徳島弁護士会のプロジェクトチームで座長を務める瀧誠司弁護士とお伝えします」
「お願いします」
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「お願いします」
(森本アナウンサー)
「法改正の議論の中でポイントとされているのが、『検察官の抗告』と『証拠開示』という2点です」
「まず『検察官の抗告』についてですが、これはどういった仕組みなんでしょうか」
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「『抗告』とは、『不服の申し立て』を意味します」
「現在の規定では、裁判所が『再審開始』を決めても検察が不服を申し立てられるため」
「再審の手続きが長期化する原因となってきました」
(森本アナウンサー)
「徳島ラジオ商殺し事件では、この抗告の棄却までに2年3か月、最近では静岡県の袴田事件でも、再審開始決定から抗告が棄却されるまでに9年もの歳月が費やされましたよね」
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「はい、裁判所が『再審開始』を決定をするということは、無罪を言い渡すべき明らかな新証拠が見つかった場合など、有罪判決に合理的な疑いが生じたということです」
「検察がそれを争うのであれば、再審公判で改めて有罪という主張を立証すればいいんです」
「しかし、現実には袴田事件の例もありますが、検察の抗告によって再審公判にたどり着くことさえできないというケースがあり、冤罪被害者の早期救済の妨げとなっています」
(森本アナウンサー)
「当初は『維持』の方針だったこの抗告ですが、自民党内での議論を経て、今月国会に提出された改正案では、『原則禁止』となりましたね。
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「はい、ただし改正案では『十分な根拠がある場合は例外的に抗告ができる』ということにされました」
「しかし、十分な根拠理由の有無を判断するのは、検察官なんです」
「ですので、これまで通り検察は抗告を続ける可能性があります」
「十分な根拠の中身を詳細に詰めていくことが今後の課題です」
(森本アナウンサー)
「もう一つのポイント、『証拠開示』ですが、現在の規定にはどんな問題があるんでしょうか」
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「現在の再審規定ではそもそも『証拠開示』の明文の規定がありません」
「ですので、弁護側が開示請求しても、検察側は証拠の存否を含めて応答する義務がないんです」
「そうすると、無罪につながる証拠、冤罪をはらすことができる証拠が隠されてしまう可能性があります」
(森本アナウンサー)
「袴田事件で無罪の決め手となった証拠が開示されたのも、最初の再審請求から29年後と長い年月がかかりましたよね」
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「証拠を開示するための『訴訟指揮』を行うかどうかは裁判官の裁量に委ねられ、えん罪を晴らせるかどうかが裁判官の『さじ加減』で決まるということもありました。しかも、その開示をめぐるやり取りだけで徒に時間が過ぎてしまうという問題点もありました」
(森本アナウンサー)
「一方、今回の改正案では裁判所が『再審請求の理由に関連する証拠』として必要と認めた場合、検察への証拠開示を命じるとしていますが、これは大きな前進ではないのですか」
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「はい。しかしこれは全面開示ではないんです。『関連する証拠』というのが曖昧、捉え方によっては、開示される範囲が現在よりも狭くなるおそれもあります。また、弁護側が『検察がそもそもどんな証拠を持っているかわからない』という状況は変わらないため、日弁連としても修正を求めています」
(森本アナウンサー)
「他にも、開示された証拠を支援者に見せたり報道したりできない『目的外使用の禁止』が追加されていますね」
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「再審手続きは非公開です。そのため、えん罪事件では、開示された証拠を支援者やメディアが分析・検証して問題点が明らかになるケースが少なくありません」
「使用範囲が厳しく制限されれば『市民や報道による検証』の力が削がれ、再審の透明性が損なわれるおそれもあります」
(森本アナウンサー)
「見直しによって大きく動いているという印象を受けたのですが、実際の運用にはまだ課題があると」
(徳島弁護士会・瀧誠司 弁護士)
「はい、そうです」
(森本アナウンサー)
「きょうはここまで再審法の改正について、瀧誠司弁護士とお伝えしました」
