繊細さと狂気入り混じる三島由紀夫の「美と執着のドラマ」熊本の劇団が挑む
30年以上にわたり活動を続ける熊本の劇団「ゼーロンの会」。役者3人が挑むのは、三島由紀夫の繊細なセリフで紡ぐ「美と執着のドラマ」です。
(稽古の様子)
(実子)
「そうまでして私は花子さんを手離すまいとした。それなのに!」
1955年に発表された三島由紀夫の戯曲「班女」の一幕です。上演に向けて稽古を続ける熊本市を拠点に活動する劇団ゼーロンの会。
「おそらく三島由紀夫は吐く息、吸う息まで想定して書いてると思うんですよ」
役者はセリフを一言一句、ゆるがせにせず、自分の役を立ち上げようとしていました。
(実子)
「私は花子さんを落籍せて東京へつれかえるとき、はっきり心に誓いました。この人を決してその不実な男に奪われてはならないと」
(花子)
「私、体の中が待つことでいっぱい。夕顔には夕闇が朝顔には朝が必ず来るのに」
熊本市を拠点に活動する劇団ゼーロンの会。次の舞台は三島由紀夫の戯曲「班女」です。室町時代につくられた能をベースに、愛する男との再会を待ちながら狂気に陥った美しい花子と、花子の美しさに惹かれ一緒にいることを願う実子。そして花子と再会しようと訪ねてくる吉雄の3人の物語です。
(吉雄・実子)
「花子さんに会わせて下さい」
「一体どなたなの」
「吉雄とおっしゃって下さればわかります」
実子が最も恐れていた吉雄の来訪。実子は花子と二人きりの暮らしが脅かされそうになります。そして吉雄はついに花子と再会。しかし吉雄も実子も思いもしない結末を迎えます。役者3人でつくる舞台。ゼーロンの会の上村清彦代表の演出のもと、三島由紀夫が紡いだセリフを手掛かりに、自分の役を立ち上げます。
■花子役・吉永遥香さん
「正常と狂っているところの微妙なラインを行き来している感じの狂い方」
■実子役・後藤あかりさん
「花子さんを見る実子の目というのは本当に本当に難しくて。(花子を)自分のものにしたいけれどもやっぱり触ってはいけないというか本当に宝石のような」
■吉雄役・中村朋世さん
「彼女(花子)がここまで異常になってしまったのって吉雄のせいじゃないですか。そこを誠実に演技してしまったらつまらないのかなと思い始めて」
演出の上村さんは、役者の演出だけでなく舞台上の人物の配置にも気を配ります。
■演出・上村清彦さん
「愛の牢獄の空間のどこに花子や実子や吉雄をおくか。どう動かすか。全くト書きにはないんですけど、僕が原作を読み取った上での空間処理にしているので、そこは創意だと思います」
公演の舞台は、熊本市西区島崎にある精神鍛錬の場として建てられた「三賢堂」。戦前に造られた鉄筋コンクリートの堂内は、天井が高く鉄格子の大きな窓があり、雰囲気のある舞台になりそうです。
■演出・上村清彦さん
「空間が美しんです。とても素敵な窓がはめ込まれているしこれは三島作品にはぴったりかなと」
三島由紀夫の美学が凝縮された戯曲「班女」。公演は4月26日午後2時に行われます。
「班女」の公演チケットは前売2000円、当日2500円。会場の三賢堂には専用の駐車場がありませんので、できるだけ公共交通をご利用ください。
