新生活がスタートしたばかりなのに、自身や子どもが「朝起きられない」とお悩みの人も少なくないのでは? じつはそれ、鉄分不足が原因かもしれません。今回、自律神経との関係が深い起立性調節障害を専門とする小児科専門医で、Health&Cureクリニック赤坂の院長、山口里恵先生に、鉄分不足が引き起こす自律神経の乱れの関係性や改善のための食事のコツについて、教えてもらいました。

なぜ鉄分不足だと「朝起きられない」?

鉄は、体の中でエネルギーをつくるときに欠かせないミネラル。とくに、「ATP」というエネルギーのもとをつくる上では重要な役割だそう。

【実際の写真】鉄分補給に効果抜群の「特製チャーハン」も

「鉄が不足すると、ATPをうまく生み出せなくなります。逆に鉄がしっかりたりていると、取り込んだ糖を効率よく代謝して、エネルギーへと変えることができます」(山口先生、以下同)

そのため、鉄分不足だと、体に酸素を運ぶ力が弱くなり、全身が酸欠のような状態になって不調が出やすくなると言います。

「さらに鉄は、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質をつくるためにも必要な栄養素。そのため鉄が不足すると、神経の働きが乱れ、朝がつらいという自律神経の不調にもつながることがあるんです」

鉄分摂取は「動物性ヘム鉄」で

鉄分には、肉や魚に含まれるヘム鉄と野菜などに含まれる非ヘム鉄などがありますが、山口先生は「圧倒的に動物性のヘム鉄がおすすめ」だと語ります。

「野菜から摂ろうとすると、ホウレンソウをバケツいっぱい食べるなど、現実的ではない量になってしまいます。だから基本は、肉と魚をしっかり食べましょう」

鉄分を多く摂取できる「おすすめ料理」

ここでは、3人の子どもを育てるママでもある山口先生のおすすめ料理を紹介。

骨つき肉をコトコト煮込んでつくる「ボーンブロススープ」。とくにレシピはなく、骨つき肉をニンニクやタマネギ、セロリなどの冷蔵庫にある香味野菜と一緒に煮込むだけ。肉は、豚でも牛でも鶏でもなんでもOKだそう。

「うちでは、鉄分をさらにアップさせるために、鉄鍋で煮込んでいます」と山口先生。

もちろん、普通のお鍋で煮込むだけでもOK。お肉や骨から鉄分がしっかりしみ出た万能スープが手軽につくれます。

山口先生は時間があるときに煮込んでおいて、自宅の冷蔵庫にいつもストックしてあるそう。

「おだしとしてカレーに使ったり、忙しい朝も卵をといて卵スープにしておにぎりと一緒に食べたりしています」

鉄分の吸収率がアップする「食事のコツ」

鉄分の吸収には、ビタミンCを摂ると相性がいいといわれています。

「朝食のあとにフルーツを食べたり、焼肉をレモン汁でいただいたりするのは、じつは理にかなった食べ方なんですよ」

●鉄分の吸収を妨げてしまう「NG習慣」も

逆に、カフェインは鉄分の吸収をさまたげてしまいます。

「せっかく摂った鉄が吸収されなかったらもったいないので、自律神経による不調が気になる場合は、食後のコーヒーは避け、2時間程度は間をあけることをおすすめします」

日常生活に支障をきたす前に医師に相談を

「食事を整えたり、生活習慣を見直してみても、なかなか症状が改善しないときには、勇気をもって病院で貧血の検査をしてみてほしい」と山口先生は語ります。

「また、鉄の取りすぎは、肝臓や腎臓に負担をかけるという説もあります。もし、自身で鉄のサプリや市販薬を使う際でも、安全のために必ず採血結果をモニタリングしながら行うようにしてくださいね。最終的には食事から十分な鉄分が摂れるようになることがベストです」