NYFW でパンツ登場率が33%に 愛される定番が顧客ロイヤルティを生む

記事のポイント
NYFWでパンツ登場率が33%に増え、ブランド戦略の中心に位置づけられている。
セオリーやカルメイヤーが新しいフィット感や素材で顧客ロイヤルティを高めている。
アリス+オリビアやジェニー・ケインがパンツを起点に収益とブランド成長を拡大している。
NYFWでパンツ登場率が33%に増え、ブランド戦略の中心に位置づけられている。
セオリーやカルメイヤーが新しいフィット感や素材で顧客ロイヤルティを高めている。
アリス+オリビアやジェニー・ケインがパンツを起点に収益とブランド成長を拡大している。
消費者行動の予測が難しくなるなか、NYファッションウィーク(New York Fashion Week、以下NYファッションウィーク)のデザイナーたちは、顧客に愛されるパンツを生み出すという、実績あるロイヤルティ戦略に注力している。
セオリーの顧客の声から生まれた新スタイル
この点について、セオリー(Theory)は、セクシーで遊び心があり、「着崩した」ような現代的なテーラードスーツに焦点を当てた2026年春夏コレクションの一環として、主に実店舗で収集した顧客のフィードバックをもとに複数の新しいパンツスタイルを発表した。
同ブランドのミートパッキング地区ショールームでGlossyの取材に応じたデザイン責任者デュシェーン・ノーブル氏は、「非常に女性らしく、脚を長く見せるカットのパンツを開発したかった」と語った。その結果生まれたのが、新スタイル「フルイド・フレア(Fluid Flare)」だ。
このスタイルは太ももの高い位置に「ブレイクポイント」を設けることで、脚のあいだに光を通し、より美しいシルエットを演出する。同ブランドの既存モデルであるデミトリアパンツ(Demitria pants)が誰にでも似合うわけではない、という顧客からの声に応えるかたちで開発されたものだ。
ノーブル氏は「あらゆる身長の顧客に合う、完璧なリラックスフィットのパンツを求めて探求を続けてきた」と述べ、「我々は店舗に寄せられる数多くの要望やリクエストに応えるために、多くの調査や研究を行っている」と強調した。
さらに新コレクションでは、ウエストをより強調し、「着飾りながらも複雑になりすぎない」という顧客の要望に応えるかたちで、着やすさと幅広いカラーバリエーションを取り入れた。
ノーブル氏は、春夏コレクションについて「セオリーらしい方法」で色を表現したと述べ、ライトパステルやナス色を帯びたブラウンを発表。特別な日に「楽に」履けるパンツを増やす目的で、サテンパンツも新たに加えた。
「我々には多くのリピーターがいて、あるパンツを気に入れば、毎シーズン戻ってきてくれることがわかっている。データからも、彼女たちが新しい色を求めて戻ってきていることが示されている」とノーブル氏は語る。
「昨年購入したものに合うパンツや、気に入ったモデルを改良したものを提供することが、常に我々の目標だ。人々は我々を『パンツのブランド』として認識している。そのため、コレクションを開発する際は常にその点を意識している」と締めくくった。
カルメイヤーのフィット感を重視したパンツ
9月にCFDAウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー(CFDA Womenswear Designer of the Year)の候補に指名されたデザイナー、ダニエラ・カルメイヤー氏も、13年前から展開する自身のブランドで人気を集めてきたパンツを、今シーズン向けにアップデートした。
カルメイヤー氏は取材で、「セクシーでスリムなパンツ」という新しいトレンドを取り入れつつも、「『これは奇跡のパンツだ』と思えるような素晴らしい生地」を使用していると語った。
カルメイヤー氏によれば、パンツは顧客がカルメイヤー(Kallmeyer)ブランドに足を踏み入れるきっかけになることが多く、その際にはベルトやTシャツといったアイテムも一緒に購入されるケースが多いという。
「我々は完璧なパンツで知られている」とカルメイヤー氏は述べた。「よいパンツは、いつでも戻ってこられて、本当に愛着を持てるものだ。我々のパンツはそれだけで際立ち、ワードローブに欠かせない存在だと感じてもらえる」。
さらに彼女は、そのパンツのフィット感こそが「秘密の調味料」だと強調した。
「それらのパンツには楽さがある。ちょうどよい位置に収まり、適度なボリューム感がある」と述べ、「服を着ているときに自然と身振り手振りができると感じるべきだ。本当によいパンツを履くと、無意識にポケットに手を入れたり、少しくだけた仕草をしたりして、自分自身の心地よさを変えてくれる。我々がデザインでもっとも重視しているのはまさにそこからはじまる」と付け加えた。
アリス+オリビアとジェニー・ケイン(Jenni Kayne)のパンツ戦略
アリス+オリビア(Alice+Olivia)の創業者であり、クリエイティブディレクター兼CEOでもあるステイシー・ベンデット氏は、完璧なパンツを求める探求こそが23年前にブランドを軌道に乗せたきっかけだったと語る。それ以来、彼女はブランドのパンツスタイルを繰り返し改良し続けてきた。
ベンデット氏はGlossyに対し、「我々の物語はパンツからはじまり、今もパンツは我々のスーパーパワーのひとつだ」と述べた。
「創業当初から、我々はフィット感を完璧にすることに夢中だった。なぜなら、女性が本当に自分に似合うパンツを見つけたとき、その顧客は一生あなたと共にいるからだ。それは否定しがたい顧客との絆であり、今日でもブランド成長の方法を決定づけている」。
同様に、ジェニー・ケイン(Jenni Kayne)のプレジデント、ケイト・ワッターズ氏も、パンツがブランドの大きな売上を牽引していると語った。同社は5年前の1億ドル(約150億円)から、2025年は1億4000万ドル(約210億円)の収益に達する見込みだ。今シーズン、ジェニー・ケインは14年ぶりにファッションウィークに復帰した。
ワッターズ氏は「ボトムスは、製品とカテゴリーの両面で、我々にとって非常にエキサイティングな成長分野だ。パンツは好調に推移している」と述べ、さらに「ジェニー・ケインのパンツは、着やすさと汎用性によって、リラックスしたカリフォルニアのライフスタイルを体現している」と付け加えた。
顧客のロイヤルティも高く、3000人以上が年間150ドル(約2万2500円)の会費を支払い、割引や特典を享受している。同ブランドはアパレルやアクセサリーに加え、美容や家庭用品にもカテゴリーを拡大している。
NYファッションウィーク全体で存在感を増すパンツとテーラリング
NYファッションウィークのトレンドをリアルタイムでデータ提供するタグウォーク(Tagwalk)によれば、NYファッションウィーク前半5日間に発表されたルックの33%にパンツが登場した。これは2025年春シーズンより9ポイント高く、2021年春シーズンより29ポイント高い数値だ。
一方、テーラリングはルックの18%でみられ、2025年春から38%増、2021年春からも9%増となった。
タグウォークの創業者兼CEOアレクサンドラ・ヴァン・ウッテ氏は、「NYファッションウィークは、トレンドというより、一生ものの投資や日常使いに適した、美しくカットされたシルエットを打ち出した」と語り、この傾向は米国特有の可能性が高いと指摘した。
「テーラリング、シンプルな色、流れるようなパンツはNYファッションウィークのランウェイで際立っていたが、ミラノやパリはよりトレンド志向が強い傾向にある」と述べた。
[原文:As perfect pants keep customers coming back, NYFW designers upped their focus on trousers]
Jill Manoff(翻訳、編集:藏西隆介)
