黒田監督はチームを立て直せるか。写真:永島裕基

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 サンフレッチェ広島との首位攻防戦は0-2と完敗。FC町田ゼルビアはストロングポイントであるインテンシティ、プレスバックでいずれも劣り、広島に明らかな力を見せつけられて敗れてしまった。

 組織立った守備をベースに洗練されたカウンターから首尾よくゴールを奪っていたシーズン前半戦ほどの緻密さが、後半戦の町田には欠けている印象だ。

 失速の一因は、FWオ・セフンの不調にある。シーズン前半戦はリーグMVP級の活躍でゴールを量産していた“ウルトラセフン”(「ウルトラセブン」にちなんで)が、まるでカラータイマーが切れたかのように沈黙。広島戦でもほとんど存在感を示せなかった。

 また、平河悠の退団(今夏にブリストル・シティへ)がやはり痛手。4-4-2システムで右に平河、左に藤本一輝を配置していた頃はプレスバックの質が極めて高く、サイドから崩されるケースはあまりなかった。

 それが今では容易く自陣サイドの深い位置に侵入され、攻略されるようになってしまった。直近の広島戦でクロスをきっかけに2失点したのは記憶に新しい。

 オ・セフンという前線の基準点が機能しないうえに、プレスバックの質が低下すればチーム全体のパフォーマンスも当然ながら落ちる。
 
 夏の新戦力で即戦力と期待された相馬勇紀は新天地にまだフィットしておらず、同じくニューフェイスの中山雄太は負傷中。清水エスパルスから電撃加入した白崎凌兵はプレー強度の部分で不足感があり、夏の補強がここまではいまひとつ効果的ではない。だからなおさら、平河の退団が痛手に映る。

 ここから巻き返すうえで鍵となるのは、次節。10月5日の川崎フロンターレ戦で勝利を収めてまずは広島戦での敗戦の傷を癒したい。仮にこのタイミングで今季初のリーグ連敗となれば、町田は致命的なダメージを負う恐れがある。その意味で、勝利が必須の戦いになるだろう。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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