『おむすび』写真提供=NHK

写真拡大

 9月30日より放送がスタートした、2024年度後期のNHK連続テレビ小説『おむすび』。第1話では、橋本環奈演じるヒロイン・米田結と、福島県糸島で農業を営む結の家族、結が入学したばかりの糸島東高校の友達などが紹介されつつ、人助けせずにはいられない結の人柄がよく分かるエピソードが描かれた。

参考:朝ドラ『おむすび』第2話、結(橋本環奈)が博多ギャル連合(ハギャレン)に勧誘される

 海に帽子を落としてしまって泣いている男の子を見過ごせず、制服のまま飛び込んだ結が、心の中で「何で飛び込んだっちゃろ。うちは朝ドラヒロインか?」と叫んでいて、思わず笑ってしまった。朝ドラのヒロインが海に落ちるのは定番ネタだが、今回は本人の意思で飛び込んでいるのが勇ましい。さらに、「人助けって……これ絶対、米田家の呪いやん」と、心の中で叫び続ける結。今後きっと、米田家の人々による数々の人助けが綴られていくのだろう。

 海で泳ぐことに慣れている結だが、彼女が溺れていると思ったのか、野球のユニホーム姿の少年も海に飛び込み、「つかまれ!」と手を差し出した。男の子の帽子を手に、何の問題もなく泳いで岸に戻ろうとしていた結は、野球少年の熱い“救助”を、むしろ迷惑気味に感じながらも、仕方なく一緒に岸へと泳いだ。

 佐野勇斗が演じるこの高校球児は、栃木県から福岡西高校に野球留学中の四ツ木翔也。公式サイトの紹介によると、四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれているそうだが、第1話では海から上がった後も眼鏡をかけている場面はなかった。

 「6歳の時から、ここの海で泳いでます」と言う結に対抗するように、「俺は3歳から地元の川、泳いでた。鬼怒川の河童って呼ばれてたんだかんな」と得意げに言い返す翔也だが、結は笑いながら、河童は妖怪だから褒め言葉ではなくバカにされているんだと指摘。「そうだったのか……」と、初めて気づく翔也の純朴さに好感が持てた。

 お互いの名前も紹介し合わないまま、翔也は去って行ってしまうが、彼が通う野球の練習場が糸島にあるため、その後も結と時々出くわすことになりそうだ。彼は、子どもに優しく接する結を笑顔で見ていたが、結は翔也を「河童」と呼び、「変なやつ」だという印象しか抱かなかった模様。結にとって、翔也の第一印象は“微妙”といったところだ。

 家の農業を手伝うため、高校の部活に入るつもりはない結。だが、公式サイトの予告編によると、今後登場する松本怜生演じる書道部の先輩・風見亮介から、素敵な笑顔で書道部にスカウトされた途端、「もしかして、うちの青春始まった?」とポーッとなってしまう様子が。結は、書道に興味を持つと同時に、亮介が憧れの存在になるようだ。

 野球部のエース・翔也と、書道のイメージを一新するような書家を志している亮介。ヒロインをめぐる恋愛要素に絡んできそうな2人を演じる佐野と松本は、両者ともオーディションではなくオファーによる朝ドラ初出演ということが発表されたとき、話題を呼んだ。

 2014年に5人組ボーカルダンスユニット・M!LKのメンバーとなり、2015年にCDでデビューした佐野は、同年に映画『くちびるに歌を』で俳優業も開始。その後は、『FAKE MOTION』(2020~2021年/日本テレビ系)や『真犯人フラグ』(2021年/日本テレビ系)、『トリリオンゲーム』(2023年/TBS系)などのドラマに立て続けに出演。映画『ちはやふる -結び-』(2018年)での演技が評価され、第28回日本映画批評家大賞の新人男優賞(南俊子賞)を受賞した。

 一方、大学生のときに、TikTokがきっかけで芸能界入りした松本は、2021年に朗読劇『でかける時はいつも』で初舞台を経験。2022年、配信バラエティ番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』(ABEMA)に出演し、注目を浴びた。同年、『不幸くんはキスするしかない!』(MBS)に出演したのを皮切りに、『パパとムスメの7日間』(2022年/TBS系)、『下剋上球児』(2023年/TBS系)、『降り積もれ孤独な死よ』(2024年/読売テレビ・日本テレビ系)など、ドラマ出演作を増やし続けている。

 公式サイトによると、翔也は真っ直ぐで嘘をつけない性格で、佐野は「嘘をつけないからこそ、周りにちょっと『こいつ、アホ』なんて言われたりとかするんですけど。そこが僕とめちゃくちゃ似てて、だから好きって言うと、なんか自分のこと好きみたいで嫌なんですけど、そこはすごい愛せるキャラクターだなと思って見ていますね」と分析している(※)。

 また、亮介について松本は、「カッコいいセリフが多いキャラなんですよ。(そんなこと)言います~!?(笑)。でもやっぱり、『風見だから言ってても普通だよね』って聞こえるように、表情や声を研究した覚えがあります」とコメント(※)。翔也とは正反対のキャラクターのようだ。

 高校生になったばかりの結の、恋の相手になりそうな翔也と亮介。筆者の予想では、結が一目惚れして憧れの先輩になる亮介よりも、第一印象が“微妙”だった翔也の方が、朝ドラ的に、結と恋愛を育んでいきそうな気がする。結の恋愛にも注目しながら、これからも『おむすび』を楽しんで観ていきたい。

参照※ https://www.nhk.jp/p/omusubi/ts/NJ1W7VQ6W9/movie/(文=清水久美子)