Photo: Adobe Stock

写真拡大

「1日3食では、どうしても糖質オーバーになる」「やせるためには糖質制限が必要」…。しかし、本当にそうなのか? 自己流の糖質制限でかえって健康を害する人が増えている。若くて健康体の人であれば、糖質を気にしすぎる必要はない。むしろ健康のためには適度な脂肪が必要であるなど、健康の新常識を提案する『ケトン食の名医が教える 糖質制限はやらなくていい』(萩原圭祐著、ダイヤモンド社)。同書から一部抜粋・加筆してお届けする本連載では、病気にならない、老けない、寿命を延ばす食事や生活習慣などについて、「ケトン食療法」の名医がわかりやすく解説する。

毎朝パン食は、おすすめしない

 同じ糖質でも、体に与える影響はかなり違っています。

 特に糖尿病や、のちにがんになる危険性を考えれば、データを見る限りあまりおすすめできないのは「主食をパンにすること」です。

 実際に私は外来で、来院したがん患者さんに朝食の習慣を尋ねています。すると、みなさん判で押したように、ほとんどの方が「朝食はパン(精製された白いパン)」という生活を長年にわたって続けていることがわかりました。

 朝食に、ご飯(お米)とお味噌汁を食べている患者さんは、驚くほど少ないのです。

 日本では、朝にお味噌汁の香りで目を覚ますという習慣は、失われつつあります。

 私の外来のアシストをしてくれる事務員さんたちは、それを知って怖くなり、大好きだったパンをやめてしまうほどでした。

 ですから、朝ご飯を本来の和食中心に戻してしまえば、お米を何杯もお代わりしない限り、健康維持には十分な効果が得られるのではないかと思います。

 私は、がんの患者さんたちには、ケトン食を試す前に、まずは和食に戻すことをおすすめしています。

 実際に、多くの患者さんが実践されて、体調がよくなったとおっしゃいます。

 では、どうして、パン食がよくないのでしょうか? 答えは、どうも糖質ではなく、食物繊維と腸内細菌叢(腸内フローラ)にあるようなのです。

萩原圭祐(はぎはら・けいすけ)
大阪大学大学院医学系研究科 先進融合医学共同研究講座 特任教授(常勤)、医学博士
1994年広島大学医学部医学科卒業、2004年大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。1994年大阪大学医学部附属病院第三内科・関連病院で内科全般を研修。2000年大学院入学後より抗IL-6レセプター抗体の臨床開発および薬効の基礎解析を行う。2006年大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー内科助教、2011年漢方医学寄附講座准教授を経て2017年から現職。2022年京都大学教育学部特任教授兼任。現在は、先進医学と伝統医学を基にした新たな融合医学による少子超高齢社会の問題解決を目指している。
2013年より日本の基幹病院で初となる「がんケトン食療法」の臨床研究を進め、その成果を2020年に報告し国内外で反響。その方法が「癌における食事療法の開発」としてアメリカ・シンガポール・日本で特許取得。関連特許取得1件、関連特許出願6件。
日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)などの学会でがんケトン食療法の発表多数。日本内科学会総合内科専門医、内科指導医。日本リウマチ学会リウマチ指導医、日本東洋医学会漢方指導医。最新刊『ケトン食の名医が教える 糖質制限はやらなくていい』がダイヤモンド社より2023年3月1日に発売になる。