優勝したゆりやんレトリィバァ

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「完敗」の声も

「つまらない」、「ひどすぎる」、「グダグダ」……。3月7日に放送された「R-1グランプリ2021」(関西テレビ制作・フジテレビ系列)の内容に、視聴者は怒り心頭のようだ。

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 優勝は、ゆりやんレトリィバァ(30)、準優勝はZAZY(32)という結果だったが、平均視聴率は6・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、リアルタイム、世帯、以下同)。関東地区の最低視聴率を更新してしまった。

 これまでの最高視聴率は、2010年の14・3%だった。この大会では、あべこうじ(46)が優勝、エハラマサヒロ(38)が準優勝という結果だった。

 ライバル民放キー局で番組制作に携わるスタッフは、「フジテレビにとって、まさに由々しき事態でしょう」と言う。

優勝したゆりやんレトリィバァ

「昨年12月に放送された『M-1グランプリ』(ABCテレビ制作・テレビ朝日系列)は19・8%と、歴代3位の高視聴率を記録しました。

 この時、フジテレビ系列では裏番組として『「鬼滅の刃」柱合会議・蝶屋敷編』をぶつけたのですが、こちらは14・4%。M-1に完敗したのです」

 同じ12月に放送された「女芸人No.1決定戦 THE W」(日本テレビ系列)は10・1%。昨年9月に放送された「キングオブコント」(TBS系列)も11・1%と、共に2桁を維持した。

「色々と変えすぎ」

「曲がりなりにも日本一のピン芸人を決めようという大会であり、ゴールデンで放送される番組です。最低でも2桁の視聴率が求められます。

 8%台なら、まだ言い訳ができるかもしれません。しかし6%ではどうしようもありません。文字通りの完敗です」(同・スタッフ)

 ここ数年、関東地区では視聴率が不振だった。そのため今年のR-1は大きくリニューアルされた。

 マイナビニュースは昨年12月、「『R-1グランプリ』“芸歴10年以内”苦渋の大改革 エントリー活性化へ『このタイミングしかない』」の記事を配信した。

 記事は冒頭で《関東ではここ4年連続で世帯視聴率1ケタ》と指摘、カンテレのプロデューサーが取材に応じて《「何かを動かさないと数字は伸びていかないだろうなというのは、正直ありました」》と答えている。

 だが、前出のスタッフは「色々と変えすぎたのが失敗の原因でしょう」と分析する。

有吉弘行も苦笑

 そもそもタイトルを「R-1ぐらんぷり」から「R-1グランプリ」に変更した。だが、ひらがなをカタカナにすることに、どれほどの意味があったのだろうか。

「出場条件も芸歴不問から突然、10年以内と大幅に変えてしまいました。これで常連の出場者が消えてしまったのです。ガッカリした視聴者はいると思います。

 また、女優の広瀬アリスさん(26)をMCに起用したのは、M-1の上戸彩さん(35)を参考にしたのかもしれませんが、これも効果があったとは言えないでしょう」(同・スタッフ)

 ミスも散見された。審査員得点の集計が遅れた、視聴者投票の得点や音声が出ない──という具合だ。

「番組が放送されている間、有吉弘行さん(46)はFM番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系列)の生放送に出演していました。

 リスナーから相次ぐミスの報告に、とうとう『スタッフも10年以下なのかな?』と出場資格に引っかけたギャグを飛ばしたのです」(同・スタッフ)

放送日を知らない視聴者

 明石家さんま(65)も翌8日、関西のローカル情報番組「ちちんぷいぷい」(MBS制作・平日・13:55)に出演した際、“R-1ネタ”を披露した。

 この番組は間もなく終了し、後番組として「ゴゴスマ―GOGO!Smile!―」(CBCテレビ制作・TBS系列・平日・13:55)が放送されることが決まっている。

 さんまは放送終了の原因として「作りがちょっと甘かったり……」と揶揄。出演者からツッコミが入ると、「昨日のR-1よりマシ」と返してスタジオを爆笑させたのだ。

 有吉とさんまという大物芸人がネタにするほど、R-1のクオリティが低かったというわけだ。それにしても一体、何が原因だったのだろうか。

「まず、放送を知っている視聴者がどれだけいたのでしょうか。少なくとも関東地方での宣伝不足は明らかでした。

 午後8時台は、NHKの大河ドラマ『青天を衝け』や、日本テレビの『イッテQ!』がありますから、視聴率で敗れても仕方ありません。

 ところがテレビ朝日も『ノブナカなんなん?』の2時間スペシャルを午後6時半からぶつけてきて、視聴率でR-1を上回りました。もっと宣伝しておけば、テレ朝にこれほど負けることはなかったと思います」(同・スタッフ)

審査員の違い

 審査員の顔ぶれも問題だったという。ここでM-1の審査員と比較してみよう。ポイントは年齢の高さだ。

 M-1の場合、最年長がオール巨人(69)で、次が上沼恵美子(65)。3位は松本人志(57)と立川志らく(57)の2人だ。

 一方のR-1だが、陣内智則(47)、友近(47)ハリウッドザコシショウ(47)、古坂大魔王(47)の4人が最年長となっている。

「R-1の審査員から、これまで出演していた桂文枝さん(77)や関根勤さん(67)というベテランが姿を消しました。これは番組の魅力を減少させたと思います。

 M-1のように大御所の審査に、若手がビビりながら果敢に返すから面白いのです。ましてR-1の場合、マヂカルラブリーの野田クリスタルさん(34)は、いくら何でも審査員としては若すぎます」(同・スタッフ)

 出演者と審査員の年齢が近いと、「ライバルがライバルを選ぶ」ことになってしまう。嫉妬や敵意で審査の目が曇らないかという疑問を持たれても仕方がない。

「THE W」の二番煎じ

「大御所の審査員は“老害”と言われることもありますが、業界では確たる地位を築いているわけですからね。未来のスターが誕生しても、大御所の人気に影響を及ぼすようなことは、まずありません。

 だからこそ大御所は熱心に、かつ温かい目で、若手の芸を楽しみながら審査するものです。こうしたM-1とR-1の審査員の差は、はっきり現れていたと思います」(同・スタッフ)

 そもそも実際の放送では、審査員が寸評を披露する場面が少なかった。「審査員たちはなぜしゃべれなかったのか」(末尾:註1)という記事が配信されたほどなのだ。

「視聴率が低迷した要因として最後に挙げるべきは優勝者です。大会に筋書きはないわけですが、『THE W』では吉住(31)がゆりやんレトリィバァに勝って優勝し、今回はその逆になったわけです。

 これでは『今年のR-1はTHE Wの二番煎じ』と自ら宣言しているに等しいと思います。

 ゆりやんレトリィバァさんのネタはさすがでしたが、お笑いファンは、今さらR-1で2人の再戦を見たかったわけではないでしょう」(同・スタッフ)

フジテレビが逃走?

 視聴者が求めているのは、M-1のミルクボーイやマヂカルラブリーといった「彗星のように現れた新しいスター」だという。

「もしくはキングオブコントで優勝したジャルジャルのように、『どん底から這い上がった』サクセスストーリーでしょう」(同・スタッフ)

 ここで気になることがある。昨年までR-1は「カンテレとフジテレビの共同制作」とされていたのだが、今年は「カンテレ制作」としか書いていない記事が目立つのだ。

「実のところ、『フジテレビがR-1から逃げ、カンテレの単独制作になった』という話は聞いています。

 CMの売上は立ちますが、制作費もかかりますから利益が見込めない。そう判断して撤退したというのです。そのため関東地区では宣伝不足になったのかもしれません」(同・スタッフ)

註1:「ゆりやんレトリィバァ悲願の優勝『R-1グランプリ2021』採点徹底分析。審査員たちはなぜしゃべれなかったのか」(QJWeb:3月8日)

デイリー新潮取材班

2021年3月14日 掲載