女性記者の活躍がめざましい(写真はイメージ)

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 テレビや新聞といった大手メディア警視庁担当記者といえば社会部の花形だが、ここにきて変化が生まれている。ある全国紙社会部記者は「今年7月の異動で、警視庁担当のうち二課四課担当の記者がほとんど女性記者になったのです。印象では、男性記者が全体の1〜2割くらいまで減ったように見える」と明かした。

 警視庁をはじめ各省庁など公的機関や、プロ野球や日本相撲協会のような各種業界団体を取材するために、大手新聞社やテレビ局が中心となって構成する「記者クラブ」があることはよく知られている。その1つ、警視庁記者クラブ内の二課四課担当とは、詐欺や贈収賄、税法違反などを扱う警視庁捜査二課と、暴力団などの反社会的勢力を扱う同庁捜査四課を取材する。通称「2・4(ニーヨン)担当」などといわれる。

 前出の全国紙記者は「近年は二課四課の事件が少なくて各社が記者数を減らしたこともありますが、それ以上に男性記者よりも女性記者のほうが根性があって、実際に結果も出す傾向があるのです。だから各社、女性記者を担当に据えているのではないでしょうか」と解説した。

 元読売新聞社警察担当OBで、ジャーナリストの大谷昭宏氏(75才)はこう話す。

「殺人や強盗事件を扱う捜査一課担当でも、女性記者が増えているそうですよ。新聞社の新卒採用でも、以前に比べて女性が多くなっていると聞きます」(以下、「」内は大谷氏)

 昔から、小説やドラマ、映画で「夜討ち朝駆け」の事件記者の多くは男性だったが、様変わりしたということか。

「我々の時代の花形は、政治部や外事ではなく社会部でした。元朝日新聞の筑紫哲也さん(享年73)や元読売新聞のノンフィクション作家の本田靖春さん(享年71)など、そうそうたるメンバーもいました。

 ただし、やっぱり社会部は“厳しすぎる”んですよ。だから、地方支局から本社転勤の希望を出す際にも、社会部は人気がない。そうした中で、最近では女性記者のほうが『社会部でも何でもやります』と前向きな人が多いそうです」

 現場の大きな変化についてベテラン男性記者からは「若い女性は、男性の取材対象者に気に入られやすいからな……」といったやっかみの声も聞こえてくるが、大谷氏は「女性であることを武器にスクープが取れるなんて、彼女たちも思っていない」と否定する。

 2018年に当時の福田淳一・財務事務次官がテレビ朝日女性記者に対し「おっぱい触らせて」「キスしたい」といったセクハラ発言が問題になったことは記憶に新しい。が、これは明らかに取材される側の品性の問題だ。

「かつては、自宅前に男性記者が何日も夜討ち朝駆けで待っていると、見かねた取材対象者が『外は寒いから、中に入って話しましょう』と自宅へ入れることもありました。しかし、女性記者相手だと誤解を招きかねません。だから今は、どの組織も記者への対応マニュアルを持っています」

 女性というだけでネタが取れるわけではないのだ。

「取材をかけた警察署でけんもほろろに追い返されても、我々の仕事はそこから、どうこじ開けていくかがスタートです。そういう厳しい取材の現場で、気骨ある男性記者が少なくなっているのではないでしょうか」

 大谷氏は苦笑いしながらそう解説する。たしかに、若い男性記者の中には「サツまわりは嫌だなぁ」と愚痴る人が増えてきているという。

 男性であろうが女性であろうが、記者クラブに座ってネタを待っているだけでは、メディアの醍醐味は得られない。