テレワーク特需で伸びたインクジェットプリンタ、キヤノンがシェア拡大
例年は年賀状印刷需要が盛り上がる年末に売れるインクジェットプリンタ。昨年は10月の消費税増税を控えた9月、販売台数前年比が131.0%と駆け込み購入が発生し、売り上げが大幅に伸びた。逆に、年末商戦は11月で88.5%、12月で89.3%といずれも2桁減。駆け込み購入の反動減を引きずっていた。今年に入っても、3月までさえない展開が続いたものの、4月、5月と大幅増を記録した。
4月、5月はテレワークに移行し、急場しのぎの印刷環境を整備するため、比較的低価格のプリンタ需要が高まった。例年にない需要の発生で低価格製品から品薄状態になっていったことで、単価が上昇。台数の需要が収まってきた現在も、比較的単価が高い製品が引き続き買われている、という状況だ。プリンタ用のインクの需要はプリンタ本体ほど伸びておらず、押しなべて少量印刷の需要が一時的に伸びた状態といえそうだ。
メーカー別の動きを見ると、コロナ禍でプリンタの販売を伸ばしたのがキヤノンだ。今年に入って4月まではライバルエプソンと販売台数シェアでほぼ互角の40%台で競っていたが、5月に51.9%、6月に58.5%と6割に迫る勢いで販売を伸ばした。7月にはシェア差が縮まったものの、51.4%と過半を占めている。
売れ筋は、キヤノンの「PIXUS TS8330」だ。3月以降トップシェアを継続。5月以降は頭1つ抜けた状態でシェアを伸ばし、7月時点で17.8%で1位を維持している。平均単価(税別)は2万円台前半とやや高め。この人気が全体の平均単価(同)も押し上げている。また、4月発売のPIXUS TS3330は7月のシェアが3位。平均単価(同)5000円台の廉価モデルで特需をとらえたのもキヤノンのシェア拡大に寄与した。(BCN・道越一郎)
