たい焼きは、街でよく見る鉄板にいくつも型が並んでいるものは一気に大量に作れることから「養殖物」、それとは逆に型が1尾1尾わかれているものは「天然物」と呼ばれます。この天然物のたい焼きを15年間作り続けている人物のムービーが海外フードメディア「Eater」から公開され、話題となっています。

How Taiyaki, One Of Tokyo's Favorite Street Foods, Is Made - First Person - YouTube

「一丁焼き」、別名「天然物のたい焼き」では、以下のように1つ1つ型の中にたい焼きの皮となる液が流し込まれていきます。



コンロに火を付け……



持ち手が伸びる型をその上に並べていきます。



この天然物のたい焼きを作るのが元祖浅草たい焼き屋「写楽」の吉野喜一郎さん。写楽は浅草の人気店で、「2つたい焼きを買って食べた人が戻ってきてもう2つ食べた」ということもあったそうです。



そっとたい焼きが型から外されます。



たい焼きは、あんこが表面から染み出すほどの薄皮でパリパリ。中のあんこはしっとりしているそうです。



店構えはこんな感じ。



店頭にはたい焼きがつるされています。



吉野さんが手に持っているのが一丁焼きの型。1つだいたい2kgだそうです。



パカッと開くとこんな感じ。この間に液やあんこを挟んでいきます。吉野さんが使っている型は新潟で作られたもので、手作業で作られるためたいの顔が型によって異なるとのこと。価格は1つあたり3万5000〜6万円ほど。



一丁焼きは、まず型の一方に液を注ぎ……



あんこをのせた後に再び液を入れて、型で挟んで焼くという作り方。



焼いている様子はこんな感じ。



あんこは北海道産の小豆と砂糖、そして少し塩を入れている、とのこと。実は小豆の価格が高騰し1年で倍になったため、一度は違う豆を使おうと思ったそうなのですが、「やはり北海道の豆にこだわりたい」と吉野さん。



3時間煮られた豆はこんな感じ。



「皮はアメリカ産の小麦粉を使って、少し重曹を入れています。あとは何も入れていません」



以前は中国人のお客さんが多かったそうですが、近年は欧米のお客さんも多く、「午前中はほとんど外国人のお客さん」だと吉野さんは語りました。外国だと「豆を甘く煮る」という食べ方があまりないため、写楽のたい焼きで初めてあんこを食べて気に入ってくれる人もいるのだとか。



「浅草には一丁焼きのたい焼き屋がない」ということで写楽がオープンしたのが2006年。それ以降、吉野さんは15年間たい焼きを焼き続けています。



「あと10年続けたいんですけど、もう70を過ぎているので体がね。5〜6年続ければいいなと思っています。できるだけ続けたいです」



「息子がやってたんだけど、やめちゃったから。継ぐ人がいればやれるけどね」



「やっぱり子どもさんが好きって言ってくれたり、今まで食べなかったお子さんが食べて好きになってくれる。それが一番うれしいですね」