「Xperia 1」 を2か月使った感触。気になる持ちやすさ、電池持ちも問題ナシ


海外では5月下旬に、国内では6月14日に発売されたXperia 1。国内でも反響が大きく、ハイエンドモデルがなかなか売上を確保するのが難しい状況の中、順調に売上を確保しているようです。

世界初の4K OLED HDRに、アスペクト比21:9のディスプレイを採用。さらにはXperia初となるトリプルレンズカメラを搭載し、発売前から大きな期待を集めていました。

筆者も期待していた1台ですが、実際に製品を手にとる前には、期待に比例するかのように不安も高まっていました。2か月使ってみたところ、その不安はなくなり、期待以上の満足感が得られました。

違和感を感じない持ちやすさ。

アスペクト比21:9の縦長なディスプレイ「シネマワイドディスプレイ」を搭載しています。Xperia 1のコンセプトの1つは、コンテンツの魅力を最大限に活かすことです。その上で、シネマワイドは最適解だと思います。

ただ本体デザインにも影響が及んでおり、かなり縦長のデザインとなっています。ここで筆者が懸念したのは、持ちやすいのか。操作しやすいのかということです。

実際の製品に触れてみると「決して持ちづらくはない」という印象でした。



横幅が抑えられており、男性なら片手で問題なく片手で握りしめられる

直近のXperiaシリーズの本体サイズを比較すると以下のようになります。

横幅

厚さ

重さ

Xperia 1

72mm

8.2mm

178g

Xperia XZ3

73mm

9.9mm

193g

Xperia XZ2 Premium

80mm

11.9mm

236g

Xperia XZ2

72mm

11.1mm

198g

Xperia XZ1

73mm

7.4mm

156g


スペックを比較してみないと意外と気づかない点ですが、重さや本体の厚さは異なるものの、横幅はほぼ変わりません。つまり、歴代Xperiaユーザーが手に持っても、違和感なく使えるように幅を揃える配慮がなされているのでしょう。

筆者は直近で使用していたXperiaが他のXperiaよりも幅広で重いXperia XZ2 Premiumだったこともあり、Xperia 1はむしろ持ちやすく、かなり快適に感じました。

片手操作も非常に快適。

持ちやすいことが分かった上で、次に片手で操作しやすいのか。スマートフォンを使う上で一番動作として行うのが、「ロック解除」 「ホーム画面を開く」の流れです。Xperia 1は側面に指紋認証センサーを設けたことで、ストレスなく生体認証を行えます。

これがXperia XZ3のように背面に搭載されていれば、おそらく指紋認証は使いづらかっただろうと思います。Xperia 1は縦長になったことで、重心の場所が変わりやすいので、持ち方によってはかなり重く感じます。背面指紋認証のために持ち替える手間を省けるという意味でも、指紋認証を側面に設けたのは正解でしょう。



片手操作に大きく貢献しているのが指紋認証の搭載位置

そして片手操作に最も貢献しているのが、「サイドセンス」です。サイドセンスは画面端を使うインターフェイスで、側面のフレームとディスプレイの境目をタップやスライドするジェスチャーで、アプリランチャーの起動や、「戻る」や「ホーム」などのキー操作を行えます。

Xperia XZ3で初めて採用された機能が、筆者はXperia 1で初体験。その起動の操作は独特で、慣れないうちは最初は非常にストレスを感じるものでした。

ただ、これがサイドセンスは慣れてしまうと非常に快適に使えます。特に便利だったのがアプリを閉じる際や、ホーム画面に戻る操作が片手でできること。サイドセンスがない状態では、ディスプレイの一番下にあるホームボタンや、戻るボタンを押す度に本体を持ち替えていましたが、サイドセンスの導入によりこの持ち替えがなくなりました。

さらに、サイドセンスを起点とすることで、GalaxyやHUAWEIが対応しているジェスチャー操作を実現することもできます。


サイドセンスのカスタマイズが片手操作を快適にする上でのキモ

HUAWEIやGalaxy/iPhoneのように直感的なジェスチャー操作をすることは叶いませんが、しっかりとカスタマイズすることで、それに近い操作性を実現でき、さらに片手操作をより快適にしてくれます。

電池持ちはそこまで心配する必要はない。

各社のフラッグシップスマホのバッテリー容量の拡大が進んでいますが、Xperia 1のバッテリー容量は3330mAhと競合に比べて控えめ。バッテリーを消費するであろう4K OLEDでのHDR再生に対応していることからも、電池持ちは過去最低クラスになるのではないかと予想し、不安に感じていました。

ただ、実際手に使ってみると、そこまで電池持ちが悪いという印象はありません。一般的なユーザーの使い方であれば、1日はしっかりと電池が持つと思います。使い始めこそ電池持ちに不安を感じましたが、使っているうちに最適化されたのか、不安なく使えるようになりました。何よりこのバッテリー容量で、スタミナモードを使わなくて済むのがありがたい。

そして、Xperiaシリーズのバッテリーケアの機能は、バッテリーが少なめな機種でこそほしいもの。この技術は、ユーザーの生活リズムに合わせて、満充電にするタイミングを調節。過充電を防ぎ、バッテリーの劣化を予防するというものです。長く使うにも安心です。

そして意外に見落としがちなのが充電速度。Xperia 1では、Xperiaシリーズ最速の18Wの急速充電に対応しています。


ワイヤレス充電に対応していれば尚よかったが

競合となるHUAWEI P30 ProやGalaxy Note10+が最大で40W以上の充電速度に対応していることから、カタログスペックでの比較では見劣りしますが、Xperia 1の充電速度でも、短い時間での充電でも、問題なく使える性能があります。

まとめると、Xperia 1の電池持ちは、歴代Xperiaとして比較して劇的に電池持ちが改善しているわけではありませんが、少ないバッテリー容量かつ4K OLED HDRに対応しつつも、劣化しているわけでもありません。

そして充電速度が改善し、使えば使うほど電池持ちの不満もなくなります。バッテリーケアの効果もあり、長期に渡って使っても不満を感じることはなさそうです。

Cinema Proに固執する必要性はない。

初のトリプルレンズカメラを採用したXperia 1の背面カメラ。Xperia 1の画面にピッタリはまるアスペクト比21:9で撮影するには、純正カメラアプリではなくプリインストールされている「Cinema Pro」アプリで撮影する必要性があります。


カメラアプリで撮影した写真を表示すると、どうしても余白ができてしまう

もちろんユーザーにもよると思いますが、撮影した画像や動画をSNSなどでシェアすることも多いと思います。自分もそうです。そうなると、アスペクト比21:9で撮影するのではなく、従来の16:9画角などで撮影した方がシェアしやすい。新機能ということもあり、最初はCinema Proで撮る21:9の写真や動画の撮影に固執していましが、途中からカメラアプリでの撮影に切り替えました。

16:9や4:3画角の写真をXperia 1で表示する場合は、どうしても余白が生まれますが、他人と共有することを考えると、21:9を諦めた方が良さそうです。

カメラの画質に関しては、ソニーらしく、パリッとした仕上がりに。歴代Xperiaと比較すると、特に低照度における撮影で、その進化を実感することができます。発売前には、歪みやノイズなどが懸念されていましたが、実際に使用してみると特段気になるものではありませんでした。

今回は、購入前に特に不安に感じていたことの中で、実際に2か月使って、より満足度が高まった点を中心にまとめてみました。Xperia 1は歴代Xperiaの中でも、特に満足度が高い機種です。ソニーの強みを活かした上で、ユーザーの不満をできるだけ取り除いた、バランスのとれた良機種だと思います。

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