米国トランプ大統領の千秋楽観戦、平幕・朝乃山の優勝と話題が尽きない大相撲五月場所において、負けじと大きな話題となったのが阿武松審判部長の説明能力の低さでした。

11日目、佐田の海と朝乃山の取組で物言いがついた際には、「朝乃山のかかとが先に出ており、朝乃山の勝ち」というまったく意味の通らない説明を行なった阿武松審判部長。13日目、朝乃山と栃ノ心の取組でも「栃ノ心(西方力士)のかかとが先に出ており、西方力士の勝ち」として東と西を完全に取り違えるという誤った説明を行ないました。特に朝乃山と栃ノ心の取組は、誤審とも見られる内容であり、朝乃山の優勝を決定づける大きな一番であったため、悪い意味で非常に大きな注目を集めました。

さらに、大きな話題にはなっていませんが、千秋楽の十両での貴源治と剣翔との取組で協議結果の説明を行なった際にも、阿武松審判部長は説明能力の低さを露呈しています。手元のメモを見ながらの説明でありながら力士の四股名を言うべき場面で言葉に詰まり(結局「剣翔」の名前は呼ばずに説明を進行)、さらに勝敗の説明でも「(西方にあげた)行司軍配通り、東方力士の勝ち」と説明を行ない、正しくは「西方力士の勝ち」と言うべき場面でまたも方角を取り違えたのです。

四股名も出てこず、東と西を頻繁に取り違えるのでは、とてもお客様に対する説明能力を備えているとは言えません。貴源治と剣翔との取組での説明においては、手元のメモ帳を指差しながら隣に座る呼出しに対して問い掛けを行なうような姿も目撃されており、もはや勝負審判の任を担うこと自体に疑問符がつくような状況です。

このような阿武松親方の説明能力の低さが露呈するにあたり、平成の大横綱・貴乃花の相撲協会引退は本当に不可避だったのか、改めて疑問を抱かざるを得ません。貴乃花氏が相撲協会からの引退理由に挙げたのは、日本相撲協会が「すべての親方は一門のいずれかに所属しなければ部屋を持つことができない」と定めたうえで、貴乃花氏がいずれかの一門に入るには「内閣府に提出した告発状を事実無根の理由によるものと認める」ことを条件とされたため、というものでした。

しかし、一方で日本相撲協会側は「一応は、(2018年)9月の理事会までに所属する一門を決めてもらおうということになった。しかし、9月の理事会までに決まらなくても、それで師匠を辞めなくてはいけないなどということはまったくなかった」とし、貴乃花氏が言う「一門への所属義務」はなかったとしています。

両者の食い違う言い分とすれ違い。

実はその両者の仲立ちとなったひとりが、無所属の親方衆に一門への所属義務の件を説明する担当に任ぜられた阿武松親方でした。

「心から説得した」とコメントした阿武松親方と、「名前は控えるが、ある役員から話を聞いた」「有形無形の要請を受けた」と言葉を濁した貴乃花氏。両者のすれ違いは不可解なものでしたが、もし阿武松親方が「協議結果の説明もままならない説明能力」でこの重大事を貴乃花親方に伝達していたとすれば、両者の主張が大きく食い違ったことも道理が通るのではないでしょうか。想いがあっても伝える言葉が不足すれば事態がこじれることは、東と西、勝ちと負けすら満足に伝わらない協議結果の説明ひとつとっても明らかです。・文=フモフモ編集長