メトロールは越境ECの活用で約70カ国・地域で取引が増えている

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 国境を越えた電子商取引(越境EC)に関心が高まっている。少子高齢化が進み、内需が伸び悩む中で、日本企業の海外向けECサイトも増えて、取り組みやすくなっているからだ。とはいえ、中小企業・小規模事業者にとって越境ECはハードルが高い。そこで先進事例の取り組みを追った。(文=石掛善久)

 中小企業の越境ECチャレンジの先達企業といえるのが、メトロール(東京都立川市)。工業用センサーの専門メーカーで、工作機械などに組み込まれて輸出されていたこともあり、補修部品の海外市場開拓などに熱心だった。

 越境ECに取り組むきっかけは「米国の展示会に出品した時、社長が米国のユーザーから何とか安く部品が手に入らないのか」(松橋泰取締役)と対策を求められたことだった。「内外数社の代理店を経由することにより1個数万円のセンサーが30万円にもなっていた」(同)という。

 そこで「米国だとメールだけで取引が完了すると聞き、それなら日本にいても海外販売できると自社のホームページ(HP)を強化。主要言語への対応、他社との取引事例を掲載したメルマガの配信などに取り組んでいった」(同)。バブル崩壊前に、一応の体制を整えた効果も大きかったといえる。

 同社は元々間接輸出される自社製品にはHPのURLや2次元バーコードを記載することにより使用者とのつながりを取りやすくしていた。さらに海外への展示会出展にも熱心で、交換した名刺は一括管理しデータを蓄積していった。こうした活動が越境ECの取り組みに役立っている。

 現在の販売先は約70カ国・地域。民間物流会社を活用し、決済方法は基本的にクレジットカード主体。「直取引は2010年から年平均10%ずつ伸びている。昨年は大幅に伸びた。今後も伸ばしていきたい」とマーケティング部海外担当の責任者である松橋取締役は力を込める。「今は個人でも越境ECができる時代。だが、向いている商品と向いていない商品がある。例えば運賃の高い重量物は難しい。商品特性を考える必要がある。商品も現地で調達できる品質・価格レベルのものではだめだ。サイトの特徴も考えないといけない」と語った。

 すべてお任せ型の越境ECとしたのが東京都練馬区の洋菓子店、パティスリーカシュカシュ。客から「米国の娘に洋菓子を持っていきたい」と頼まれたのが取り組みのきっかけだ。一昨年のことだった。

 東京五輪・パラリンピックの開催が決まり、政府はインバウンド(訪日外国人)関係の支援にも積極的に取り組みだしていた。そんな中、飲食店情報を集めたウェブサイトを運営する「ぐるなび」が越境ECの取り組みを開始した。