内需伸び悩みで海外開拓、「越境EC」成功への秘訣
中小企業の越境ECチャレンジの先達企業といえるのが、メトロール(東京都立川市)。工業用センサーの専門メーカーで、工作機械などに組み込まれて輸出されていたこともあり、補修部品の海外市場開拓などに熱心だった。
そこで「米国だとメールだけで取引が完了すると聞き、それなら日本にいても海外販売できると自社のホームページ(HP)を強化。主要言語への対応、他社との取引事例を掲載したメルマガの配信などに取り組んでいった」(同)。バブル崩壊前に、一応の体制を整えた効果も大きかったといえる。
同社は元々間接輸出される自社製品にはHPのURLや2次元バーコードを記載することにより使用者とのつながりを取りやすくしていた。さらに海外への展示会出展にも熱心で、交換した名刺は一括管理しデータを蓄積していった。こうした活動が越境ECの取り組みに役立っている。
現在の販売先は約70カ国・地域。民間物流会社を活用し、決済方法は基本的にクレジットカード主体。「直取引は2010年から年平均10%ずつ伸びている。昨年は大幅に伸びた。今後も伸ばしていきたい」とマーケティング部海外担当の責任者である松橋取締役は力を込める。「今は個人でも越境ECができる時代。だが、向いている商品と向いていない商品がある。例えば運賃の高い重量物は難しい。商品特性を考える必要がある。商品も現地で調達できる品質・価格レベルのものではだめだ。サイトの特徴も考えないといけない」と語った。
すべてお任せ型の越境ECとしたのが東京都練馬区の洋菓子店、パティスリーカシュカシュ。客から「米国の娘に洋菓子を持っていきたい」と頼まれたのが取り組みのきっかけだ。一昨年のことだった。
東京五輪・パラリンピックの開催が決まり、政府はインバウンド(訪日外国人)関係の支援にも積極的に取り組みだしていた。そんな中、飲食店情報を集めたウェブサイトを運営する「ぐるなび」が越境ECの取り組みを開始した。
3年前からHPを作成。米国や英国、ドイツ、中国、韓国など向けに焼き菓子の販売を始めていた。だが、1箱中に2、3個程度の壊れ菓子があれば返品されてしまう。「採算が合わない」と思ったが、「ゼリーなら常温で1カ月は持つ。壊れないし、いける」(江藤潤オーナーパティシエ)と判断した。
取り組みはぐるなびなどの購入代行会社のサイトに商品を掲載。注文が入れば代行会社の配送センターに商品を送る。「10数%からそれ以上の手数料を払うことになるが、手間がかからず、商品開発・製造・販売に力を注げる」と代行会社を使うメリットを挙げた。
海外向けの販売について「越境ECを始めて以来、まだ数年だが毎年倍増している。さらに増えてくれば独自のドメインを構築して当店のHPから直接購入していただけるようにしたい」と江藤氏は話した。
「外国の方は日本というブランドを信じている。当店では原料は日本産しか使わない。パッケージも一目で分かるよう和をイメージしたものにしている。そして、お客さまの国や地域の好みを記録し商品開発に役立てている」とし、「マーガリンなどは軽さが好まれることもあると思うが、日本以外では使用をやめた方がいい。私どもはまったく使っていない」と述べた。
