グーグル前のめり、トヨタ慎重。「自動運転」で違いのなぜ?
「MaaS市場」の覇権はどこが握る?
一方、その動きから少し距離を置くのがトヨタ自動車だ。人工知能(AI)開発子会社の米トヨタ・リサーチ・インスティテュートのギル・プラットCEOは、CESの報道陣向けイベントで「レベル4の実現には相当な時間がかかる」と発言。完全自動運転の開発は進めるものの、まずは近い将来の搭載が見込める高度安全運転支援システムに力を入れる姿勢を示した。
とはいえトヨタは18年にサービスとしての乗り物「MaaS(マース)」向け車両として、自動運転にも対応する電動車両「eパレット」を発表。同年10月にはソフトバンクと提携し、移動サービスを担う共同出資会社「モネテクノロジーズ」を設立すると明らかにした。eパレットを使ったサービスを20年代半ばにも始める見通しで、サービス基盤を担うプラットフォーマーへの意欲は捨てていない。
トヨタが慎重になる要素の一つが、自動運転の安全性についての懸念だ。国や地域によっても道路状況や天候などの条件は千差万別。異なる環境でも通用する安全性をいかに担保するかは、実用化の大きな課題だ。CESで開かれたコネクテッドカーをテーマにしたトークイベントでも、登壇者から「魅力的なモビリティーサービスは安全性があってこそ実現する」との発言が聞かれた。
先行技術を早期に投入しトップダウンでプラットフォームを押さえようとする欧米系の車メーカーと、より現実的な形で徐々に積み上げようとするトヨタ。「MaaS市場を押さえる」という共通の狙いに向け、攻防が始まっている。
(文=政年佐貴恵<米ラスベガス>)

