大手商社、ブラジルの穀物事業で苦戦。売却も視野
ブラジルの穀物事業のネックは物流だ。インフラ整備が追いついていないブラジルでは、生産コストは低いが、物流コストが高い。集荷の効率も悪く、港湾の稼働率も低いなど、競争力が上がらず、大手商社をはじめ、参入業者が持久戦を繰り広げる状態に陥っていた。安永社長は「参入当時は10社程度だったが、今は50社ほどいて、勝者がいない」と、厳しい状況にある。
大手商社が中国をはじめとした新興国の食料需要拡大を見越し、ブラジルの穀物事業に参入し始めたのは10年ごろから。三井物産は07年に出資したマルチグレインを11年に完全子会社化した。13年には丸紅が穀物大手の米ガビロンを買収し、双日も集荷事業などを展開するブラジルのCGGに出資した。
だが、物流などの構造的な問題や穀物市況、競争環境の悪化に苦しみ、丸紅は15年3月期に約500億円、双日も17年3月期に約82億円の損失を計上。三井物産は16年3月期にも85億円の損失を計上した。止血はしたものの、その後も干ばつによる不作などもあり、赤字と黒字を繰り返す状態にある。
今期は豊作だったものの、市況が低迷し、取り扱い量が減少。ガビロンは17年4―9月期に当期利益は17億円となったが、丸紅は食料部門の通期の当期利益見通しを期初から20億円引き下げた。
ただ、双日はブラジルの穀物市場としての重要性は変わらないとして、事業を継続する方針だ。丸紅も国分文也社長は構造改革に区切りがついたとして、「成長戦略に軸を移す」としている。
(文=高屋優理)
