量子コンピューター時代が幕開けへ、20量子ビット商用マシンを年内クラウド提供
量子コンピューターは、現在のスーパーコンピューターでは計算に時間がかかって解けないような難しい問題を処理できる夢のマシンと言われる。9月にはIBMの科学者らが、分子そのものの挙動をシミュレーションできる効率的なアルゴリズムを英科学誌ネイチャーに発表。複雑な化学反応のシミュレーションや最適化を通して、医薬品や材料、エネルギー分野などでのいち早い応用が期待されている。
とりわけIBMが今回試作に成功した50量子ビットマシンは量子コンピューター研究の中でも画期的な成果といえるものだ。
というのも、量子コンピューターの実用化を進める米グーグルの研究者が、50量子ビットの量子コンピューターが従来型のスーパーコンピューターの性能を上回り、量子コンピューターの優位性を示す一つの目安になることを示しているためだ。ただ、回路の接続性やノイズ、エラーといった課題があり、「ことはそう単純ではない」という見方も多い。
これまでIBMは、2016年5月に試験的に量子コンピューターのオンライン提供を開始。「IBM Qエクスペリエンス」として、5量子ビット、および16量子ビットのプロセッサーを持つ試作機を一般顧客のメンバーがクラウド経由で利用できるようにした。続いて17年5月にはビジネスや科学向けの商用汎用量子コンピューターを実用化する「IBM Q」イニシアティブを立ち上げている。
「IBM Qエクスペリエンス」には、世界中から6万のユーザーがアカウントを登録。そこには1500校以上の大学、300の高校、300の民間企業が含まれる。これまでに量子コンピューターの機能が170万回使用され、量子コンピューティングの教育などに役立てられているほか、IBM以外で35本以上の研究論文につながっているという。
