負傷した野津田に代わってピッチに入った柴崎(写真)も、怪我で交代を余儀なくされた。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全3枚)

 オセアニア代表のオークランド・シティに2-0と勝利した広島だが、支払った代償は小さくなかった。

 先制後の11分、野津田が相手SBと接触し、右膝を痛めて柴崎と急きょ交代。その柴崎も48分に左膝を痛めて交代を余儀なくされると、右足首を痛めた清水は65分にピッチを退いた。広島は3人の負傷者を出したなか、森保監督は婉曲的ながら“過密日程”について語った。

「本当に心身ともにプレシャーのかかるなか、優勝を懸けてチャンピオンシップを戦った。その後は中4日で今日の試合を迎えたが、いろいろなイベントがあって、回復の時間がなかなか取れなかった」

 広島はチャンピオンシップ決勝の第1戦と第2戦を12月2日と5日に行ない、中4日で今回のオークランド・シティ戦に臨んだ。タイトルの懸かった決勝の2試合をたった4日間で消化し、移動やイベントが重なるなかで再び試合を迎えれば、その反動が身体に現われても不思議はなかった。疲労が蓄積するシーズン終盤の9日間で3試合は、選手への配慮不足と言わざるを得ない。

 チャンピオンシップに出場していない野津田は別として、柴崎と清水は同決勝で続けて先発し、タイトル獲得に大きく貢献している。いわば後者のふたりは、Jリーグが課した過密日程の犠牲者と言っても過言ではないだろう。

 実際、森保監督は「よりフレッシュな選手を出してゲームをモノにする」とメンバーの大幅な入れ替えを敢行。佐藤や柴崎、森粼和、ドウグラス、ミキッチの主力5人はベンチスタートだった。これまで、選手たちもJリーグの日程に関して苦言を呈しているが、今回の“負傷者続出”によって、改めて議論になりそうだ。

【PHOTOハイライト】広島 2‐0 オークランド・シティ
サンフレッチェ広島
森保 一(監督)
 
「今日の試合は、フィジカルの部分、球際の部分でタフな試合になると思っていた。オークランド・シティはポゼッションが上手いチームで、しっかりと守備しないといけない、球際の勝負をしっかりしないといけないと思って臨んだ。前半の良い時間帯に先制点を挙げ、怪我人で3枠の交代枠を使わないといけない事態になりましたが、それでも落ち着いて相手に得点を与えず、追加点をしっかり奪って勝ち切った。シーズン中もやってきた展開でやれました」
 
――広島が強い要因は?
「選手が良いポジションから守備のアプローチをかけるのと、あとは個々の局面で責任を持って粘り強く守備をする。それが我々の守備の良いところだと思っている。本当はもっと攻撃にも推進力を持たせていきたかったですが、怪我で交代枠を3つ使わなければいけなった。リードした展開のなかで相手の脅威になる攻撃が今日はできなかった。それでもしっかりゼロに抑えて、追加点を奪えましたし、これまでやってきたことが世界の舞台でも出せたと思っています」
 
――次の試合で戦うマゼンベは、どういうチームだと思いますか? また、怪我した選手も含めて、今日プレーした選手は次戦に出られると思いますか?
「怪我人の状況ですが、おそらく次の試合には3人とも出られないと思います。ふたりは膝の怪我、そしてひとりは足首の怪我。まだ詳細は分かっていませんが、歩いている姿を見ると、次の試合は難しいだろうなと。マゼンベの印象は、非常に個人の身体能力が高く、スピードとパワーを兼ね備えていると思います」
 
――リーグ戦からメンバーを代えた理由は?
「連戦の疲労を考慮して、選手を入れ替えて今シーズンは戦ってきた。今日もチームの総合力で勝って次のステージに行こうということで入れ替えました。チャンピオンシップ2試合は、本当に心身ともにプレシャーのかかるなか、優勝を懸けて戦った。その後は中4日で今日の試合を迎えましたが、いろいろなイベントがあって、回復の時間がなかなか取れなかった。よりフレッシュな選手を出してゲームをモノにする、次のステージに進むことを考えて選手起用をしました」
 
――これまで90分プレーしていなかった選手への評価は?
「クオリティの部分では、攻撃も守備も上げなければいけない。直近の試合から代えたメンバーについては、持っているものを出してくれたと思いますし、フィジカル的に90分試合してもまったく問題なかったと思います。みなさんは練習をあまり見られていないので、ちょっと不思議な部分はあると思いますけど、Jリーグの優勝争いをしている時に、今日の先発で言うと前線の3枚、皆川、野津田、浅野はレギュラー組と練習をしていたし、中2週間空いたなかで組み合わせも考えてきた。他の選手に関しても、シーズンのなかで結果を出している選手なので、そこは自信を持って送り出しました。今季を戦ううえで、Jリーグと天皇杯はすべて入れ替えてやってきましたけど、彼らが結果を出して天皇杯も勝ち進んできている。皆川に関しては、直近の公式戦で言うと4試合連続ゴールだと思いますし、チームとして自信を持って送り出しました」
 
――怪我で3人交代というのは、監督やってから初めてだと思うのですが、レフェリリングについて希望はありますか?
「初めてです。両方のチームがあってのことですけど、ちょっと『おやっ?』って思うような、疑問に思うようなレフェリングがあったと思います。まぁそこはいつもあることですし、あまり文句を言わずに。その時におかしいなと思ったことは正直に言わせてもらいますけど、しつこく食い下がるようなことはせず、レフェリーのことはリスペクトとしてやっていきたいと思います。怪我に関しては、レフェリングというよりコンディションのところ。チャンピオンシップの連戦を戦い、疲労が回復しないなかでも気持ちはあって、いつものタイミングでボールを奪いに行っているけど、少し遅れたり。そういう部分で自分のプレーのイメージと、実際の身体の動きが多少違うところもあって、疲労もひょっとしたら関係しているのかなと思います」
 
――ボールポゼッションで広島は33パーセント。監督はどのように見ますか?
「オークランド・シティが強いチームで、ボールポゼッションも上手かった。そこはある程度、仕方ないと思っています。我々も実際はボールを握って、試合を動かしたいといつも考えていますが、怪我人が出てしまった。先制後は特にボールを握りながら試合を進めたかったですが、上手くいかなかった。先制点を良い形で奪えたので、相手にある程度押し込まれたとしても、そこは逆に自分たちにとってはカウンターのチャンスだと受け止めて、攻撃を受けている時も選手たちは落ち着いて『守備から攻撃へ』の気持ちを持ちつつ戦ってくれた。ボールポゼッション率は相手が高かったかもしれませんが、怪我人が出ても、押し込まれてもどうやって勝つかという試合ができた。選手は良い判断をしながら、冷静に勝ち切ってくれたと思います」
■オークランド・シティ
ラモン・トゥリブリエッチ(監督)

――明確なゲームプランを持ち、展開も予測して実行したと思いますが、サイド攻撃の質が難しかったように思います。
「アタッキングサードを崩すのが難しかったです。広島のカウンターが強いのは分かっていたし、ウチがボールポゼッションしていたが、結局、勝つことはできなかった。ニュージーランドのクラブとして、この経験から学び、今後の勝利に結びつけられるかが大事になる」

――広島のどこを突こうとした?
「カウンターの際にスペースを突いてくるのは分かっていた。結局、我々は無失点で負けてしまったので、ここから学ばないといけない。最初のゴールが決まり、我々は立場が厳しくなって、逆に広島は楽になったと思う。ドウグラスが入ってから状況が厳しくなってしまったし、打つ手がなかったということ。広島を祝福したいと思いますし、結局は勝利がすべてです」

――広島は深い位置で守っていましたが、それに驚きましたか?
「いえ、今季はずっとそのようなやり方だったと思います。もう少しボールを持つかと思ったし、広島の裏にスペースができると期待していた。先制点によって、広島は完璧な試合運びをしていた。先週のチャンピオンシップ決勝を見て、両試合ともガンバ大阪のほうがボールポゼッション率は高かったですが、結局はカウンターで広島がタイトルを奪い取った。今日も同じような形だったと思います」

――オークランド・シティの良かった点は?
「忍耐強かった。早い段階で攻撃を仕掛けたいと思っていたが、広島のカウンターで危険な状況だった。最後のほうで疲れが出た時にゴールを決めたかったが、残念ながらそうはならなかった。ただ、人生とはそういうもの。グラウンド状態が悪すぎたし、スペースを上手く活かせなかった。ただ世界に対して、我々もボールポゼッションできるのを見せられた。66パーセントのボールポゼッション率は誇りに思いたい」

――クラブワールドカップが持つ意味は?
「ニュージーランドで強い相手と戦うのは、昔よりより良くなっているとはいえ、まだ難しい。1年間に1回、こういう舞台で強い相手と戦うことが非常に大事になる。私たちは努力し、経験を積んで、昔に比べたらチームは進化している。相手を追い込むことができたし、敵陣深くまで侵入することができた。ただあと2、3年で、広島のようなチームに勝つことはなかなか難しい。ニュージーランドに戻ったまたシーズンが始まるので、この経験をそこで活かしたい」