「アジアで戦ってみたい気持ちが強かった」、MF小林のプロ初得点で柏がACL8強決める

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[5.26 ACL決勝トーナメント1回戦第2戦 柏1-2水原三星 柏]

 起死回生のゴールだった。敵地での第1戦で勝利を奪いながら、柏レイソルはホームで先に2点を許していた。それでも1点を取ればアウェーゴール数の差で準々決勝進出が決まる状況で、MF小林祐介がネットを揺らす。

 後半20分、FWクリスティアーノからつながれたボールを、FWレアンドロがドリブルで中央に持ち込み、シュートを放つ。水原三星DFが体を投げ出して防ぐも、「こぼれてくるだろうなと前に行った」小林が右足で蹴り込む。2試合トータル4-4。アウェーで3点を重ねていた柏は、アドバンテージを持ったまま残りの25分を戦い抜いた。

 チームを危機から救う一発。しかもそれがプロ初ゴールという記録までついた。「ゴールそのものを取らないので(苦笑)。嬉しかったです」。20歳のヒーローは、控えめなコメントを残した。

 序盤から背番号25は躍動していた。前半13分、ペナルティーエリア内のFW工藤壮人にスルーパスを送る。これはオフサイドとなったが、その6分後には敵選手に競り勝つと、左サイドのDF輪湖直樹へ。輪湖のクロスからFWクリスティアーノが決定機を迎えた。いずれもゴールにはつながらなかったが、積極的に攻撃に絡んだ。 

 球際でも強さを発揮。172cmと上背はないが、水原三星の選手にも果敢にアタックし、中盤の守備でもチームを助けていた。「体を投げ出してくる」アジアを舞台としても、一歩も引けを取らなかったが「自分のなかでもっとできると思っているので、そこはまだまだ」と満足はしていない。

 2013年の柏はACLでベスト4に進出したが、ルーキーイヤーだった小林はスタンドからチームの躍進を見つめていた。「1回もベンチにも入らなかったので、アジアで戦ってみたい気持ちが強かった。自分が試合に入れていることがすごく嬉しい」。2年を経て、確かな戦力となった小林が、日本勢としても2年ぶりとなるACLベスト8に導いた。

(取材・文 奥山典幸)


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