《痛々しい包帯》「ブワーって壁材やらガレキがいっぱい飛んできて…」イオンモール熊本にいた60代男性“九死に一生”の体験を振り返る「大きな爆弾を落とされたような感じ」【熊本地震現地取材】
「突然です。ブワーって壁材やらガレキがいっぱい飛んできて、前が全然見えないぐらい真っ白になって。大きな爆弾を落とされたような感じでした」──大型商業施設「イオンモール熊本」の爆発事故に居合わせた60代男性が"九死に一生"の体験を振り返る。
【写真を見る】痛々しい包帯にグシャグシャになった車両…「イオンモール熊本」の爆発事故の甚大な被害
7月28日16時27分頃、熊本県熊本地方を最大震度7の地震が襲った。翌29日15時時点で、地震による死者は13人に上る。特に大きな被害が出た現場のひとつが、上益城郡嘉島町の「イオンモール熊本」だ。地震発生から約1時間後、同施設で爆発が発生した。
全国紙の社会部記者の解説。
「建物の一部が崩落し、多数の人が施設内に閉じ込められました。現在に至るまで救助活動が続いています。
翌29日夕方、イオンの吉田昭夫社長らが熊本市内で会見を開いた。会見の時点で、3人が死亡し、1人が心肺停止の状態であることが確認されているといいます。イオン側はガス漏れの可能性に言及しましたが、詳しい原因については調査中としています」
前出の60代男性は、イオン近くの薬局『共生薬局 嘉島店』で働いていた妻を迎えに行くため、愛犬を連れて嘉島方面へ車で走行中に被災した。「こりゃ大地震ばい」と慌てて駐車し待機していたが、日差しを避けようと、木陰のある「イオンモール熊本」の駐車場へと移動した。
17時半頃にイオンの駐車場に到着。冷房の効いた車内で地震のニュースをチェックしながら妻の仕事が終わるのを待っていたところ、突然、強い衝撃に襲われた。
「ブワァーって、目の前が真っ白になったんです。車の天井は潰れるしガラスは割れるし、壁材やらガレキが飛んできて、前が全然見えないぐらい真っ白になって。見たら手足に切り傷もできていた。
爆撃があったような感じです。こりゃ何事だと、『これ以上は死ぬんじゃないか』と思ったですよ」(60代男性、以下同)
後部座席を確認すると、愛犬はなんとか無事だった。男性は歪んだドアを必死に開けて、車外へ脱出。そこには瓦礫が一面に散乱する光景が広がっていた。隣接する国道に目をやると、瓦礫が直撃したトラックが潰れていた。また、負傷者が倒れている姿も目撃した。
その後、ようやく妻と合流できたが、自身の車はもうレッカーで移動するほかない状況だったため、妻と愛犬には知人の車で先に帰宅してもらった。警察から「敷地外に出てください」と指示された男性は、イオンのすぐ近くにある回転寿司チェーン「はま寿司」の駐車場へ移動し、ベンチで待機した。
「駐車場にいる間、救急車がどんどん来て、負傷者が運ばれていくのを目にしました。顔を切って血を流しているような人もいました。イオンの建物はすごい状態で、外壁がすべて吹き飛んで、中の骨組みや鉄筋が剥き出しになっていた。頭が追いつかなかった」
しばらくして、いったん自宅へ戻っていた妻が迎えに来たため、男性も無事帰宅できたという。手足には切り傷を負い、右足はまだ痛みが残っている。しかし男性は、「瓦礫がフロントガラスに直撃していたら、危なかったですよ」とむしろ安堵した様子で語る。
「まさに間一髪、九死に一生という思いですが、車が犠牲になり、私と愛犬を守ってくれたんだと思っています」
近隣住民の暮らしに寄り添ってきたショッピングモールが、一転して悲劇の現場となってしまった。なぜこれほど悲惨な事故は起きたのか。原因究明が待たれる。

