「死球」「併殺」「盗塁」… “不適切”な野球用語をどう言い換えるべき? アメリカ、台湾での呼称を検証
“殺”“盗”“死”“犠”――これらを含む野球用語の表現を見直す検討委員会を宮城県高野連が設置する。
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“教育現場にふさわしくない”というのだが、新手の言葉狩りとの批判もある。
でも、ちょっと待て。そもそも本場アメリカではどうなっているのか。
例えば盗塁はsteal、犠打はsacrifice hit。いずれも直訳で、状況に変わりはない。
ところが、併殺はおなじみのdouble play。残忍な殺人者は登場しない。死球はhit-by-pitchで、ここにも死のにおいはない。ちなみに、かの国でデッドボールといえば、球がフィールドから出てプレー不能の状態、もしくはその球を指す。

野球が日本に渡来したのは明治初期の頃。中馬庚(ちゅうまかのえ)がBaseballを「野球」と訳し、正岡子規をはじめとした愛好者らが多くの野球用語を翻訳した。折しも日清戦争前後の“イケイケどんどん”な時代。そんな世相が戦争を想起させる物騒な訳語を生んだ――という側面は否定できないだろう。
サッカーではかつて“自殺点”という用語があったが、今は「オウンゴール」という名称に改められた。訳語が時代を色濃く反映したものならば、すっかり時代が変わった今、野球用語もふさわしい表現に改めてしかるべきではなかろうか。
何と言い換える?
ではどのように変えればよいか。宮城県高野連は昨年から意見を募集している。
さて、何と言い換えようか。漢字は中国が起源。そう、台湾というお手本があるではないか!
かの地に野球が伝わったのは日本統治時代。だから用語も同じだろうと思いきや、案外そうでもない。
そもそも野球は「棒球」と呼ばれている。死球は「觸身球」だとか。少し言いづらいが、よいではないか。二死満塁は「満塁、二出局」。これまたまだるっこしいが、少なくともお経は上げずに済む。ただ、盗塁は台湾でも「盜壘」、併殺は「雙殺」、犠打も「犧牲打」だった。
というわけで、全てでないにせよ、いくつかは変更してみてもいいのかも。
「週刊新潮」2026年7月23日号 掲載
