「暦年贈与」で毎年100万円ずつ子どもに渡していましたが、親が突然亡くなりました。亡くなる直前の贈与は「無効」になって相続税がかかるの?
亡くなる直前の暦年贈与は無効になる?
まず、亡くなる直前に行われた贈与だからといって、すぐに無効になるわけではありません。親が子どもに財産を渡す意思を持ち、子どもも受け取ることを理解していれば、贈与として成立する可能性があります。
ただし、贈与があったことを説明できない場合は注意が必要です。例えば、親が子ども名義の口座を作り、通帳や印鑑を親の手元で管理していた場合、子どもが自由に使える状態ではなかったと見られることがあります。このような資金は、実質的には親の財産と判断され、相続財産に含まれる可能性があります。
相続が起きたときに、税務署から「本当に子どもへ贈与された財産なのか」と確認されることがあります。そのため、贈与契約書を作る、銀行振込で記録を残す、子ども本人が口座を管理するなど、後から説明できる形にしておくと安心です。
毎年100万円の贈与でも相続税に加算される?
暦年贈与には、年間110万円まで贈与税がかからない基礎控除があります。そのため、毎年100万円ずつ渡していた場合、通常は贈与税の申告は不要です。
ただし、相続税では別のルールがあります。相続や遺言で財産を受け取った人が、亡くなった人から一定期間内に暦年贈与を受けていた場合、その贈与額を相続財産に加えて相続税を計算します。これを、「生前贈与加算」といいます。
相続税を確認するときは、100万円の贈与で贈与税がかかっていなくても、相続税の計算では加算される場合がある点に注意が必要です。基礎控除額110万円以下の贈与や死亡した年の贈与も、相続税の計算では加算対象になる場合があります。
加算対象期間は、相続が起きた時期によって変わります。2026年12月31日までに相続が起きた場合は、原則として相続開始前3年以内の贈与が対象です。2027年から2030年までに相続が起きた場合は、2024年1月1日以降の贈与が段階的に対象になります。
そして、2031年1月1日以降に相続が起きた場合は、加算対象期間が相続開始前7年以内まで広がります。
ただし、相続開始前3年を超え7年以内に受けた贈与については、その合計額から総額100万円までは加算対象から控除できるというルールが設けられています。7年分すべてがそのまま加算されるわけではないため、いつ、いくら贈与を受けたのかを整理しておくことが大切です。
つまり、毎年100万円ずつきちんと贈与していても、亡くなる前の一定期間に受け取った分は、相続税の計算に含める場合があります。ただし、これは贈与が無効になるという意味ではありません。あくまで相続税の計算するうえで、相続財産に近いものとして扱われるということです。
暦年贈与が認められるために確認したいこと
暦年贈与で大切なのは、「本当に親から子どもへ財産が移った」といえる状態にしておくことです。単に子ども名義の口座へ入金しているだけでは、不十分と見られる場合があります。
例えば、子どもが成人している場合は、本人が通帳やキャッシュカードを管理し、自分の判断で使える状態にしておくことが重要です。未成年の子どもに贈与する場合でも、親権者が子どものために管理していることを説明できるよう、記録を残しておくとよいでしょう。
また、毎年同じ日に同じ金額を渡していると、最初からまとまった金額を分けて渡す約束があったのではないかと疑われることがあります。
これを避けるには、年ごとに贈与契約書を作り、その年ごとに贈与の意思を確認しておく方法があります。
相続が起きた後は、過去の贈与を整理する必要があります。そのためには、通帳や振込明細、贈与契約書、親子間のやり取りなどを確認し、いつ、誰に、いくら渡されたのかをまとめておくことが大切です。相続税の申告が必要かどうか分からない場合は、早めに税理士や税務署に相談することをおすすめします。
亡くなる直前の暦年贈与は相続税の扱いを確認しよう
親が亡くなる直前に行った暦年贈与は、すぐに無効になるわけではありません。ただし、贈与として認められるには、子どもが自由に使える状態だったか、贈与の記録が残っているかは確認されることがあります。
また、贈与として有効でも、毎年100万円の贈与が相続税の計算に加算されるケースがあるため注意が必要です。
相続税の扱いを正しく判断するためにも、通帳や振込明細、贈与契約書などを整理し、必要に応じて税理士や税務署に相談しましょう。
出典
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

