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ドライビングへの没入感を十分に得られるキャビン

2シーターの新型アルピーヌA110に続いて追加予定となる2+2バージョンのAPP(アルピーヌ・パフォーマンス・プラットフォーム)では、バッテリーはフロア下のホイールベース間に搭載されることになる。フロアは若干高めになり、それによってドライビングポジションも多少上昇することは避けられないが、それでもなお、ドライビングへの没入感を十分に得られるキャビンが設計されるだろう。

【画像】アルピーヌの研究開発センターで、新型A110などの技術説明を行うテックデイを開催!クラシックモデルも展示 全140枚

また、2シーターバージョンでは、デュアルリアeパワートレーンが搭載されるが、これはふたつのインペラ、ふたつの減速機、ふたつのインバーターをコンパクトに一体成型した新開発のもの。モーターの最高回転数は2万rpmで、ローターとステーターの両方にオイル冷却システムを導入するなど、耐久性を意識した対応にも万全の備えを見せている。


パリ近郊のギュイアンクールにある研究開発センターで開催された、技術説明を行うテックデイ。    アルピーヌ

一方2+2バージョンでは、さらにフロントにeパワートレーンが追加される。ちなみにこのモデルでアルピーヌが掲げたコンセプトは、BEVスポーツカー時代の新しいリーダーとなること。果たしてどのようなモデルが登場してくるのだろうか。

直面した技術的な課題とは

新型A110、そしてそれに続くスポーツカーを開発するにあたってまず直面した技術的な課題は何だったのか。それに対してアルピーヌのCEO、フィリップ・クリーフ氏はこのように答えている。

「主に3つの大きな技術的課題に直面しました。まずバッテリー搭載に伴う重量増加を最小限に抑えることと、それに関連する要素のサイズを最適化すること。そして車高を1.25m未満に抑えつつ、ドライバーを可能なかぎり低い位置に着席させ、真にスポーティなドライビングポジションを提供すること。そしてダイナミックな走りを演出するために、電動パワートレーンの音響特性とサウンドシグネチャーを洗練させることです」


テックデイでプレゼンを行うアルピーヌのCEO、フィリップ・クリーフ氏。    アルピーヌ

現在のA110が特別なスポーツカーとして評価されている理由は、極端なパワーや加速性能を追求していない点にある。その後継となるBEVが、単なる速いBEVに終わらないようにするためには、どのような工夫をしているのか。

「重視しているのはコーナリングの精度、シャシーのバランス、そしてドライビングフィールです。パフォーマンスは単に数値で測るものではなく、身体で感じられるものでなければならないというのがアルピーヌの哲学です」

その走りをより魅力的なものに導く

実際にAPPのフロントアクスルやリアアクスルの設計を見ると、アルピーヌがそれらを実現するために、いかにこだわりのあるエンジニアリングを展開しているかがよく理解できる。

リアアクスルはその多くのパートが新設計されており、鍛造のアルミニウム素材がコントロールアームや上下のウイッシュボーン、ホイールキャリア、サスペンションとロワウイッシュボーンを接続するフォークなどにも使用されている。


研究開発施設では、シミュレーターの様子も取材。    アルピーヌ

このロワウイッシュボーンは、コンフォートとパフォーマンスのトレードオフを解消するため直角にデザインされている。フロントではアンチロールバーがアッパーウイッシュボーンボーンに接続される設計になったことも、注目できるポイントのひとつといえるだろう。ステアリングは、電動アシストを備えた機械式が採用されるそうだ。

新型A110では、もちろん最新のトルクベクタリングやヨー制御など、様々な電子制御デバイスが常時ドライビングに介入し、その走りをより魅力的なものに導いてくれる。

そんなハードウエアとソフトウエアの両面で大きな進化を遂げたBEVスポーツとなる新型A110に対してアルピーヌは、それらが走りにどれだけの影響を与えていると考えているのだろうか。

「バッテリーレイアウトと重量配分、サスペンションデザインとジオメトリー、そして軽量化と剛性といった基本的なハードウエアの設計は、走りの基本を決定づける直接の要素です。一方でトルクベクタリングやヨー制御、シミュレーションを活用した介入の微調整などもまた、現代のスポーツカーにおいては必要不可欠な要素となります」

サイズよりもエネルギー密度を優先してバッテリーを開発

それではBEVとなった新型A110購入を考えるカスタマーにとって、最も重要なバッテリー搭載量をどのように決定するか、アルピーヌはどう考えているのだろうか。

「アルピーヌは、バッテリーサイズよりもエネルギー密度を優先してバッテリー開発を続けています。そしてコンパクトで軽量なアーキテクチャーを作ること、俊敏性と剛性を維持すること、WLTPの航続距離を最大化するためにドライビングの楽しさを犠牲にすることはありません。


グッドウッドで初走行を披露したA110フューチャー。すぐにやって来る、その未来に期待したい。    アルピーヌ

それは運動性能に関しても同様です。驚くほどのパワー向上や0→100km/h加速の競争は、アルピーヌのカスタマーが求めているものではないと確信しています。これはまさにこれまでのA110から学んだことです。

我々は適切なポジションを確立しなければなりませんが、ナンバーワンを目指しているわけではありません。繰り返しになりますが、アルピーヌが目指すのは最高の乗り心地とハンドリング性能、そしてドライビングの楽しさなのです」

新型A110誕生によって、まさに歴史的な変革期を迎えるアルピーヌというブランド。世界のアルピーヌ・ファンが、その大きく変貌する新型アルピーヌA110に期待を寄せているのは当然のことだろう。

願わくは内燃機関版のA110もラインナップに残してほしいと個人的には思うが、アルピーヌはその大胆なリクエストに対して、オフィシャルに完全否定はしていないのである。