高い時給を求めて“越境”する人も…「最低賃金」引き上げ議論が活発化
求職者からすれば、少しでも時給の高い職場で働こうとするのは当然だ。最低賃金は都道府県ごとに異なるので、賃金水準の高い隣接自治体へ“越境”する動きが近年ますます注目されている。
定期昇給やベースアップが難しい中小企業、「第3の賃上げ」で手取りアップも
求人市場や意識調査(マイナビなどのレポート)によると、アルバイト就業者の6人に1人以上が、時給の高い地域へ移動して働く「越境バイト」を経験しているというデータもある。
移動時間がわずか数分であっても、県境という「線」を一つ越えるだけで時給が数十円~100円以上変わるケースがあり、東京近郊(千葉・埼玉など ⇒ 東京へ)では一般的な光景になっている。
東京抜きに関東だけで“ライバル”になっている地域もあり、テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト(WBS)」では群馬県と埼玉県の関係をレポート。一昨年は、埼玉県では最低賃金の1141円ぐらいの求人が多いのに対して、群馬県では1063円という最低賃金での募集が多かったため、群馬から埼玉への人材流出が起きていた。
群馬県は昨年度、最低賃金を過去最大の78円引き上げた。県の担当者は「経済状況で北関東3県にそれほど差がないが…」と話しつつ、人材流出への危機感をにじませた。
国は全国平均1500円の先延ばしを検討
そもそも、最低賃金はどうやって決まるのか。国が定めた目安を元に、各都道府県の審議会が改定額を決める仕組みになっている。国は昨年、群馬県に対して63円アップを示していたが、群馬県はそれを上回る78円にした。
昨年は全国39道府県で国の改定目安を上回った最低賃金引き上げが行われており、これは、自治体間の引き上げ競争が過熱していたことを示している。ただ、その結果、雇用主の準備が間に合わず、賃金への適用が遅れた自治体が続出した。群馬県では雇用主に支援金を給付するなどの独自の支援策を行っているという。
さて、今年も政府が掲げる最低賃金「全国平均1500円」の目標に向け、例年を上回る大幅な引き上げ(50~90円程度)が議論されている。
◯7月下旬~8月上旬:中央最低賃金審議会から都道府県ごとの引き上げ目安額が答申される
◯8月~9月:各都道府県の地方最低賃金審議会で審議が行われ、正式な金額と発効日が答申・公示される
◯10月1日以降:毎年10月1日を皮切りに、都道府県ごとに順次新しい最低賃金が適用・発効される
最低賃金引き上げをめぐっては、1つ気になる点がある。石破茂政権は昨年、全国平均時給1500円達成の時期について、「2020年代」と設定していた。ところが、政府が今夏まとめる「日本成長戦略」には、20年代の達成に向けて努力を続けるとしつつ、「遅くとも30年代前半のできる限り早期」を追記することを検討している。
達成時期目標の先送りは経済界の意向があるようだが、高市早苗政権はどちらを向いて政治をしているのか、国民はしっかり注視する必要がある。
文/横山渉 内外タイムス

