米民主党支持州7州、トランプ政権を提訴 洋上風力発電所建設しない対価の支払い巡り

(CNN)米民主党が多数派を占めるブルーステート(青い州)7州は2日、合同でトランプ政権を提訴した。同政権がフランス企業に対して税金から約10億ドル(約1600億円)を支払い、洋上風力発電所の建設計画を放棄するよう求めたことを受けての措置となる。
ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官が主導するこの訴訟では、今年に入り仏エネルギー大手トタルエナジーズとトランプ政権の間で締結されたこの合意が、各州から必要不可欠な電力供給を奪ったと主張。ニューイングランド地方と中部大西洋沿岸地域では電気料金が高騰する可能性があると訴えている。
3月、トランプ政権はトタルエナジーズに対し、バイデン政権下で取得したリース契約について払い戻しを行うと発表。税金から9億2800万ドルを支払うと明らかにしていた。契約はニューヨーク州とノースカロライナ州の沖合2カ所でのウィンドファーム(集合型風力発電所)開発を認める内容だった。この契約のうち7億9500万ドルは、ニューヨーク州のプロジェクト開発に充てられる予定だった。
これと引き換えに、トタルエナジーズは払い戻された資金を投じてテキサス州に新たな液化天然ガス(LNG)プラントを建設。米国産LNGの欧州への輸出を支援する見通しだ。パトリック・プヤンネ最高経営責任者(CEO)は当時の声明でそう述べていた。
4月にも政権は、さらに2社の風力発電開発業者に対し、ニューヨーク州とカリフォルニア州でのプロジェクトを停止する見返りに、約9億ドルを払い戻すと発表した。この4月の合意は今回の訴訟の対象ではない。
ジェームズ氏は声明の中で、3月の発表を「違法な合意」と呼んだ。
「裁判で何度も敗訴した後、この政権は外国のエネルギー企業に数億ドルもの税金を支払って洋上風力発電事業を放棄させ、代わりに石油とガスに投資させるという、見せかけの取引をでっち上げた」(ジェームズ氏)
この訴訟は首都ワシントンの連邦地方裁判所に提起された。ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネティカット州、メーン州、バーモント州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州の州司法長官は2日、政権が3月の取引を実行する際に法律に違反したと主張した。具体的には、法律で義務付けられている公聴会を開催しなかったことが違法行為に該当する。洋上風力発電のリース契約を維持することが「生命、財産、国家安全保障、または環境に重大な損害を与える公算が大きい」かどうか、公聴会で判断しなくてはならないという。
米司法省の報道官は、コメントの要請にすぐには応じなかった。内務省の報道官は、これらの合意は「任意」であり、「誰も署名を強制されたわけではない」と指摘した。
トランプ氏は洋上風力発電を個人的に嫌悪しており、政権は開発のあらゆる段階でプロジェクトに対する障害を多数設けてきた。裁判所がより進んだプロジェクトの建設阻止の試みを差し止めた後、政権は3月の発表を通じ新たな戦略を示唆。風力発電所の建設開始前に資金を払い戻してこれを阻止するという方法に踏み切った。
民主党が多数を占める州での今回の訴訟は、裁判所がこの戦術を阻止するために介入するかどうかの試金石となる。州司法長官らは裁判所に対し、当該の合意を無効とし、リース契約の解除を取り消すよう求めている。
