「とにかく券売機が操作しづらい」「コメの味が変わった」…SNSで牛丼チェーン「松屋」に対する苦情が絶えないのはナゼか
牛丼チェーン店の大手である「松屋」。その「券売機」が使いにくいと、以前からSNSで議論が起こっている。その理由として、タッチパネルの画面が操作しづらく、目的のメニューにたどり着くまで時間がかかることが挙げられる。特に、混雑する昼時は大変だ。メニューに悩み、操作方法に苦戦していると瞬く間に列ができてしまうのである。【取材・文=宮原多可志】
【写真】「とにかく操作しづらい…」 欲しい商品に辿り着けない松屋の券売機を実際に使ってみた結果
なぜ券売機が使いにくいのか
実は、「吉野家」「松屋」「すき家」の3大牛丼チェーン店のなかで、松屋のみ券売機をメインで採用している。ほかの2社は、基本的にはそれぞれの席に設置されたタブレットを操作して注文するスタイルを取っているのだ。そのため、食後にレジで会計をする必要があるが、席で自分のペースでメニューを選べるのがメリットだ。

その点、松屋は券売機で事前に食券を購入するため、食後の会計が不要なのがメリットである。しかし、その券売機は以前から評判が芳しくない。最近、「マクドナルド」でも店頭に置かれている注文端末が使いにくいという話題がネットニュースになっていたが、松屋の場合はいったい何が原因なのか。常連である編集者A氏がこのように話す。
「とにかくメニューの数が多く、目当ての料理を探し出すのが難しいんですよ。松屋の場合、基本的にフェアの対象になっているメニューや新商品が最初に出てきます。定番メニューを注文するボタンまでは、いろいろと画面をタッチしないとたどりつけないのです。何より、“牛めし”が最初の画面の冒頭に出てこないのは困ります」
吉野家のウリは誰がどう考えても牛丼だと思われる。対する松屋は、牛めしよりも、定食を注文する人が多いのだろうか。冒頭に出てこないのは、そういったニーズの違いもあるのかもしれない。しかし、松屋はメニューの豊富さが魅力なのだが、そのせいで券売機が使いにくいとは。なんともいえない気持ちになる。
「牛焼肉定食」を注文してみた
今回、筆者がよく行く松屋で「牛焼肉定食・ライスセット」を注文してみた。まず、左側にある「牛めし/セット」「カレー」「どんぶり」「定食」「ロースかつ定食」「唐揚げ定食」「盛り合わせ定食」「その他定食」などのボタンのなかから「定食」をタッチするのだが、そもそもなぜ、こんなにも定食を選択するボタンが多いのか、謎である。
さて、「牛焼肉定食・ライスセット」のボタンが出てきたので、これを押す。すると、「お肉シングル」「お肉ダブル」「お肉シングル・生野菜無し」「お肉ダブル・生野菜無し」の4つのボタンが出てきた。もっとも標準的なものは、おそらく「お肉シングル」だろうと思ってこれを押すと、続いてライスの量を「小盛」「並」「大盛」「特盛」から選ぶ画面になる。なお、松屋はライスの大盛、特盛は無料だ。
筆者は「並」を押した。これで注文が終わったと思いきや、「ご一緒にいかがですか?」と「豆腐入りみそ汁変更」「ポテサラ」「コカ・コーラ」「ビール中瓶」「生ジョッキ缶」を勧められた。どれもいらないので、無視。会計を行う。しかし、その後も、「現金」「交通系電子マネー」「クレジット」「QRコード」「電子マネー」から支払方法を選ばされ、Suicaを使ってようやく決済完了。食券が発券された。
つまり、注文に至るまでに押さなければならないボタンが多すぎるのである。口頭であれば「牛焼肉定食、ライス並」と3秒で済むのだが、券売機は操作に時間がかかる。慣れていても、選択肢が立て続けに出てくるので煩わしい。今日は何を食べようか迷っていると、背後に列ができてしまい、無言の圧力を感じる。これが、不満につながっている最大の要因であろう。
松屋の米がまずくなった?
一方、昨今、SNS上で松屋に関して「米がまずい」という書き込みが増えている。松屋はかつて、米がおいしい定食屋・牛丼屋として評判が高かった。それが今では、Xに「松屋の米不味くて行かなくなった!」「相変わらずコメがまずい!なんとかなりませんか松屋さん!」などの不満が書き込まれる事態になっている。
一昔前、松屋は新米が出るシーズンには「新米フェア」というイベントを開催していた。ネット上には2017年の「新米フェア」の画面が残っていたが、“松屋のライスは、『国産米100%』を使用”とか、“この時期だからこそ味わえる「ふっくら」「ほんのり甘い」美味しい新米を是非お召し上がり下さい”という文言が並んでいる。
2019年に新米フェアを取材した記事を見ると、チラシには“あきたこまち100%”を強調し、“日本のお米はうまい!!”というキャッチコピーが並んでいた。そのうえでライス大盛が無料だったのである。おそらく、米のおいしさに魅力を感じ、松屋を選んでいたファンも多かったのではないだろうか。筆者もその一人である。
ところが、国産米にこだわっていた松屋は、昨年から価格高騰など様々な事情で、アメリカ産米の導入に踏み切った。一部、国産も使われているようだが、ここまでSNS上の評判が悪いことから推察すると、アメリカ産に当たることが多いのかもしれない。「元に戻して」などの悲痛な叫びを、SNS上ではたびたび目にすることができる。
米の産地の検索画面も使いにくい
松屋のホームページでは、店舗ごとに米の産地を検索できる。ところが、その画面も物凄く検索しづらく、使いにくいのは券売機だけではなかった。都道府県名から「東京都」を選ぶと、店舗名ではなく、「世田谷区三軒」「世田谷区北沢」「世田谷区南烏」……といった具合になぜか住所がズラッと出てくる。その中から「世田谷区三軒」を選ぶと、「松屋 三軒茶屋店」が表示された。
その画面を押すと、産地は「アメリカ・国産」と表示された。「おいおい、どっち産なんだよ!」と突っ込みたくなる。この店舗で食べた場合、アメリカ産か国産のどちらかの米が出てくるのか、それともアメリカ産と国産米のブレンド米なのかも、よくわからない。この産地表示機能は意味があるのか、首をかしげてしまう。ちなみに、国内有数の米どころとして知られる秋田県横手市の「松屋 横手店」の米は、「アメリカ」産だった。かつて、松屋はあきたこまちを使用していたことを思うと悲しい結果である。
個人的な希望で恐縮だが、松屋はせっかく料理がおいしいのだから、多少価格が高くなっても米は国産を使ってほしい。無理に「特盛」を無料にしなくてもいいと思う。定食屋は米の味がリピーターに直結すると思う。早く、米がおいしかった松屋に戻ってほしいと、ファンの一人として願っているのだが……。
ライター・宮原多可志
デイリー新潮編集部
