警視庁麻薬Gメンの実名・顔出し告白…「確度98%の攻防」違法薬物を使用している芸能人を逮捕せよ!

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米倉涼子「家宅捜索」の違和感六本木ドラッグパーティに参加したロッカー所轄の捜査を「邪魔」した捜査員「ローション風呂」に不動産会社の嘆き「パンツに大麻」で命拾いした美形タレントほか

薬物事案のなかで「所持」は最も速く確実に立証できます。現物が押収されている、成分鑑定も終わっている。発見場所、所持場所が特定されている。この時点で「証拠が揃った事実」となる。

単純所持は立証構造がシンプルで最も事件として犯罪事実を構築しやすい――はずなのですが、米倉涼子さん(50)の事件では所持が成立しませんでした。

自宅から違法薬物が押収され、鑑定結果も出ている。にもかかわらず逮捕に踏み切れなかった。なぜか。「違法薬物があった」ことと、その薬物を「誰が支配・管理」していたかは別の問題だからです。

元警視庁警部補の小比類巻文隆氏(52)は’93年に入庁。以来、30年にわたるキャリアのほとんどを組織犯罪、銃器対策、そして薬物事案の捜査に捧げてきた。最前線で重大事件と対峙し、幾人もの芸能人を挙げてきた小比類巻氏にとって、今回の米倉の薬物騒動には「違和感しかない」という。

マトリ(厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部)は刑法第60条「共同正犯」を適用した共同所持で挙げようとしたのでしょうが、それは単独所持より立証が難しい。「一緒に暮らしていた部屋に薬物があった」では足りない。「共同で薬物を支配・管理していた」という合理的な説明が必要なのです。

米倉さんの恋人とされるアルゼンチン人の供述が取れず、物的証拠との突き合わせができなかった時点で詰んでいました。たとえ米倉さんを逮捕しても、その後の補強捜査で共同所持を立証できるという見通しが立たなかった。

それでも、違法薬物が部屋から出たという事実はある。事件として終わらせねばならない。マトリと検察庁が協議を重ねた末の落としどころが、「書類送検」だったということでしょう。

社会的な反響が大きいので、芸能人の薬物事件に関しては基本的に警視庁本部が動きます。専門的に扱うスペシャリストの集団が捜査するのです。

我々の用語で「感を取る」と言うのですが、捜査で95%……いや、もっとですね。「98%有罪」というレベルまで証拠を固めてから逮捕しないといけない。そうしないと、「ただ、芸能人をいじめて終わり」になってしまう。

実際、米倉さんは不起訴になりましたが、テレビCMはストップしたままです。スポンサーの手前、テレビ局がドラマに起用するのも容易ではありません。

芸能人はイメージが大事です。命といってもいい。だからこそ芸能人の事案は、慎重に慎重を重ねて、捜査を尽くさねばならないのです。

捜査で掴んだネタ、タレコミ、噂程度の情報と捜査の始まりは様々だが、地道に証拠を積み上げ、検挙に至るというプロセスは同じだ。ある大物アーティストを逮捕したときは「愛車の停め方が鍵になった」という。

業界用語「シャブ停め」が意味する衝撃の事実とは

毎日、ターゲットの行動監視をしながら、顔色を見たり、立ち寄り先をチェックしたりしていると「いまだ!」という瞬間があります。明らかに様子が変わるときがあるのです。

我々の業界用語に「シャブ停め」という言葉があります。覚醒剤を使用した人特有の車の停め方なのですが――私が行動確認をしながら「今日はいつもと様子が違うぞ」と感じたその日に、アーティストがシャブ停めをしたんですよ。

捜査にかかわるので具体的には言えないのですが、確実に後続車に迷惑のかかる停め方です。自動車警ら隊の人たちは時折見かけるらしいのですが、話には聞いていても、私が見たのはそのときが初めてでした。

それ以降、何度かシャブ停めしている車を見かけて職務質問したことがあるんですが、やはり覚醒剤反応が出ましたね。大物アーティストの愛車からもハッキリと麻薬成分が検出されました。

件(くだん)のアーティストは逮捕され、世間を揺るがす大ニュースとなった。その一方で、証拠を固めてガサ入れしたものの、人為的ミスで大物芸能人を取り逃したこともあった。

私の現場ではないのですが、被疑者に尿検査を実施する際に、プライバシーに配慮したのか、相手に気後れしたのか、トイレで一人で採尿させてしまい「本当に被疑者の尿なのかどうか」証明できなくなってしまったのです。

大物芸能人を逮捕したのは所轄警察署だったので所轄が責められましたが、私が聞いたところ、よそから応援に来た捜査員が指揮を執っていたそうです。つまり、所轄のミスじゃなかったんですよ。

被疑者が尿をするところを現場で視認することに、人権侵害的な側面があるのは理解できます。教科書的に推奨できないのはわかるのですが、それで証拠隠滅されたら本末転倒です。「現場を知らない人のミスだな」と思いましたね。

採尿するところを確認しないと、お茶や、他人の尿とすり替えられるかもしれません。実際、他人の尿をコンドームに入れて持ち歩いていたヤクザを取り調べたことがあります。

私が隠し持っていた尿を見つけたことで、そのヤクザは尿検査の末に逮捕されたのですが、試しにコンドームに入っていた尿を検査したところ、そちらからも陽性反応が出ました。薬物案件でヤクザが署に連行される際、他人の尿を入れたコンドームを仲間がこっそり持たせることがあるんですが、そのヤクザは仲間に裏切られたのでしょうね。

話が逸(そ)れましたが、採尿場所は被疑者の自宅のトイレである必要はないわけです。私なら「申し訳ないですが、署まで来てください」と言いますね。署でやれば誤魔化しはきかないですから。

その後、何度も薬物事案で逮捕されることになる人気歌手は、交際相手が職質を受けて捕まったことが捜査の端緒となったという。

取調室で話を聞いていると、歌手との交際がうまくいっていないことがわかりました。どうも歌手のほうに別のステディな彼氏ができていたようで、色々と悩みを聞いているうちに「あいつも薬をやっていますよ」という話になった。そりゃ、彼氏としては面白くないですからね。他に男を作られたばかりか、自分だけ捕まるなんて。

『FRIDAY』2026年3月27・4月3日合併号より