【権田修一が極める“変人力”】上司が帰るまで退社できない…それって意味ある? 言えないなら発想を変えればいい。みんなと同じが正解ではない
日本代表GKとして、カタールW杯で活躍した権田修一が、自身初の著書を出した。タイトルは『変人力』(ワニブックス刊)、帯に書かれた文言は「リスペクトを持って異分子であれ!」。チームメイトから「変わってる」と言われ続けてきた権田が、「常識を飛び越えて成功を掴む45の思考」を記した渾身の一冊だ。
昨季いっぱいで清水エスパルスを退団。現在は無所属で、海外移籍を目ざしている36歳の守護神に、著書を掘り下げる形で“変人”としての考え方、生き方を訊いた。
――タイトルの『変人力』は非常にインパクトがあります。このタイトルをつけた経緯、込めた意味を教えてください。
「僕のマネージャーと構成を担当したライターの木崎伸也さんがタイトルの候補を出してくれました。最初に聞いた時は正直、『ちょっとな…』と思ったんですけど、僕が信頼する2人が『このタイトルがいいんじゃないの?』ってことだったので、『だったらそのタイトルで』と。どちらかと言えば、『変人』をネガティブに捉る方が多いと思いますが、『変人とはどういう意味合いなのかをしっかり伝えていこう』って意味でも、こういうタイトルになりました」
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――自分は変人だなと感じますか?
「変わった人になろうという意識は全然ないです。結局、他人がどう思うかの世界ですし、『自分が他の人と感覚が違うな』と思った経験は、多分皆さんにもあるはずです。でも日本人はどちらかと言えば、『みんなと同じ方が正解』って捉え方をする人が多いので、そういう意味では、実は変人が多いけど、そこは隠している人が多いイメージがあります」
――変人はネガティブではなくて、むしろポジティブですよね。
「そうですね。日本人の中では、変わっていることは良くないとする風潮があると思います。人と違う感覚、違う意見を持っていることをしっかり評価してもらうじゃないですけど、それが別に悪いことじゃないんだよと、しっかり伝えられればいいなと思っています」
――権田選手の本を読んで、個人的に特に印象に残っているのは、「組織の中で『浮く』ではなく『輝く』」の項です。同調圧力を感じてしまう際の例として、「練習後にゴールポストをみんなで運ぶ」「上司が帰るまで退社できない」を挙げていますね。
「ゴールをみんなで片付けることは、監督によっては『みんなで運ぶことが大事』『みんなで同じことをやるのが大事』という意図を持っているので、それは全然否定しないです。帰る時間も、社風や上の人が決めることなので良いと思いますが、それが本当に効率的なのか。
ゴールを運ぶ時間で、例えばボールを片付けられますし、マーカーを片付けられます。上司が帰るまで帰れないので、その場でずっと座って何もせず、『やることないな。でも帰れないから座ってなきゃな』って理由のない時間を過ごすことが、もったいないなと思います。
人間には時間が限られていて、24時間365日しかありません。僕はしかも、ストレッチなど練習後に自分でやるケアが色々あるので、本当は人と同じじゃなくて、プラスアルファで時間を使わなければいけません。それを考えた時に、その時間をただ自分でプラスで取るのか、上手くやるのか。しっかり自分でマネジメントすることが大事です。
みんな分かっていると思うんですよ。『それって意味あるのかな』って。でも、終業時間の話でいえば、『僕早く帰りたいんですよ』と言えないのかもしれません。だとしたら発想を変えて、いなきゃいけないなら『何もやることがない』じゃなくて、やることを自分で探せばいいし、見つければいい。上司に『今、何やっているんだ?』って聞かれたら、『やることは終わったので、こっちをやっています』でいいじゃないですか。組織や上司にリスペクトを持ったうえでやるんだったら問題ないんじゃないかな。むしろそれが逆に、新たなプラスアルファを生むので、良いことなんじゃないかなと思います」
――ミーティングで積極的に発言することにも繋がりますね。
「ミーティングに関して言うと、監督が全て正しい、監督が全てオッケーで、ずっと勝ち続けられるチームだったらそれで良いと思います。だけど、過去のサッカー界を見ても、今ついにマンチェスター・シティもちょっと上手くいかなくなってきていますし、どのレベルであったとしても、ずっと1人の監督が務めることは中々難しいです。当然、監督をしながら、アップデートしていくサッカーについていくのも難しいですよね。
僕は昨年、秋葉(忠宏)監督が率いるJ2の清水エスパルスでプレーしていました。秋葉監督はサッカーをたくさん見ていますが、J1では監督経験がありません。なので『J1で優勝争いをするんだ』と言った際に、『ここまでこだわらなきゃいけないんだよ』というポイントがあったとしたら、僕は秋葉監督をリスペクトしたうえで、発言します。チームのためになることは言わないと後で困りますし、その時はJ2だから勝てたとしても、J1に行って苦労するんじゃないかなって感覚があったからです。
他の選手からしたら、『そんなに言って大丈夫なの?』みたいなこともあったかもしれません。だけど、僕の目的は秋葉監督を酷評することではなく、チームが勝ち続けること、エスパルスの育成でやっている子たちが憧れるトップチームであり続けることです。自分の中で目的意識がしっかりあったので、ブレずにいることができました」
取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)
