「3泊5日・67万円」で大炎上!港区立中学校「シンガポール修学旅行」…増税の鬼「岸田政権」が日本の格差を広げている

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 セレブが集まる東京都港区が公立中学校の海外への修学旅行費用を公金から負担することが波紋を広げている。異文化を体験することを通じて国際人を育成するのが狙いで、国内実施時との差額分は港区が負担するものだ。単純計算で区負担は1人あたり約67万円に上るという。将来を担う子供たちへの“投資”と見れば安いのか、それとも高いのか―。

 経済アナリストの佐藤健太氏は「港区の一件を見ても、様々な“格差”が子供の時から存在している。岸田文雄政権はさらに『持てる者』と『持たざる者』の格差を広げようとしているように映る」と指摘する。

国民が岸田首相に白けているのは、首相の「言行不一致」が原因だ

 9月13日に実施された内閣改造から一夜明けた岸田文雄首相は「『明日は今日よりも良くなる』と誰もが感じられるような国を目指し、経済・社会、そして外交・安全保障の3つの柱のもと政策を進めていきたい」と意気込みを語った。だが、連立を組む公明党の山口那津男代表ですら「内向きで国民にアピールしきれなかった」と素っ気なかったように、国民の間には白けムードが漂う。

 その理由は、首相の「言行不一致」にあるのは間違いないだろう。首相は物価上昇に苦しむ国民生活を踏まえ、「経済最優先」と繰り返してきた。

 だが、改造内閣のメンバーを眺めれば派閥順送り人事であり、自民党内のバランスに腐心しただけのものに映る。首相が再選を目指す来年夏の自民党総裁選をにらみ、自らの勝利に有利に働くよう選択しただけに見えるのだ。経済再生担当相は、首相のライバルである自民党の茂木敏充幹事長に近い新藤義孝元総務相に交代させており、首相自らが強いリーダーシップを発揮して経済を上向かせようという気概は感じられない。

「令和版所得倍増計画」「異次元の少子化対策」などと威勢よく言っているだけで実際は何もしていない

 実際、新しい「岸田丸」は国民のウケが悪い。朝日新聞の世論調査(9月16、17日)によれば内閣改造人事を「評価しない」は57%に上り、内閣支持率は37%、不支持率は53%だった。この傾向は他の世論調査でも見られており、読売新聞の調査(9月13、14日)でも内閣改造・自民党役員人事を「評価する」は27%にとどまり、「評価しない」は50%に達している。内閣支持率は改造前の8月調査時と同じ35%で、首相が期待していた政権浮揚効果は見られなかった。

 なぜ、このように国民が厳しい評価を下すのかと言えば、岸田政権は「言っていること」と、「やっていること」に乖離があると映るためだ。その最たるものは「格差是正」だろう。たとえば、岸田首相は小泉純一郎政権時代からの新自由主義的政策が「格差と分断を生んだ」と語っており、岸田政権においては是正措置を講じられると受け止められてきた。しかし、政権発足から2年近く経過したが、現状はどうだろう。

 前回の自民党総裁選の際、岸田氏が目玉として掲げた「令和版所得倍増計画」は、いつの間にか言及することはなくなった。「子育て世帯の所得倍増」や「異次元の少子化対策」はどうだろうか。派手にぶち上げる数々のスローガンから具体的な動きを見せたといえるのは「資産所得倍増プラン」だけだ。

港区公立中のシンガポール修学旅行は岸田政権で格差が広がっている象徴だ

 ただ、プランの要となる少額投資非課税制度(NISA)の拡充・恒久化は、そもそも資産・所得に余裕がある人にとっては恩恵が大きいものの、「資産運用する余裕なんてない」という人にはほとんど関係がない。スタート時点に語っていた「所得倍増」ならば多くの人々が豊かさを感じることができるが、「資産所得」の倍増はそれが叶わないことはわかっていたはずだ。その意味では、かつて首相が批判した「持てる者と持たざる者の格差と分断」は、岸田政権でむしろ広がっていくことになる。

 その上で、港区が約5億1200万円の事業費を計上し、公立中学校の海外修学旅行を実施する事業を眺めればどうだろうか。2024年度は区立中学校3年生の生徒(特別支援学級を含む)の約760人が3泊5日の日程でシンガポールを訪問する予定といい、単純計算で区負担は1人当たり約67万円も税金から賄われる計算になる。港区の武井雅昭区長は「海外の方と現地で対話する経験を味わい、言語の重要性に対して認識を深める。異文化を直接体験し国際理解を深めることで国際人を育成する」と強調する。

 もちろん、中学生の時から海外で刺激を受けることのプラスはあるだろう。望んで私立校に通う子供との「差別」は否めないものの、税金を納めてサービスを受ける側の区民が納得するのであれば問題はないかもしれない。

 とはいえ、海外の経験・効果が大きければ大きいほど、他の自治体で生まれ育つ子供との「格差」は広がることを意味する。生まれた環境によって生じる、子供にとってはどうしようもない格差を是正するのは国家の責任ではないのか。だが、改造内閣から出てくる政策やスローガンを見ても是正に向かう気配は残念ながらみられない。

首都圏新築マンションの平均価格は過去最高の1億2962万円

 言うまでもなく、港区は全国トップクラスの「上級国民」が暮らすエリアだ。東京都が9月19日に公表した土地取引の指標となる基準地価(7月1日時点)を見ると、住宅地や商業地、工業地など全用途を合わせた平均変動率は前年比3.6%となり、11年連続で上昇している。平均変動率は住宅地で3.0%、商業地は4.5%だったが、港区は住宅地、商業地ともに5.0%の高さだった。ちなみに、全国の住宅地で最も地価が高かったのは港区赤坂1丁目で1平方メートルあたり524万円である。

 不動産経済研究所によると、8月発売の首都圏新築マンション1戸あたりの平均価格は7195万円で前年同月から17.9%、1093万円上昇している。東京23区は8597万円で、2023年上半期の平均価格は過去最高の1億2962万円というレベルだ。もはや、平均年収が443万円の国民が容易に買える状況ではない。さらに港区の三田に建設中の分譲マンション「三田ガーデンヒルズ」は平均坪単価が約1300万円とされ、公式サイトには超高級ホテルを思わせるエントランスや外観などが掲載されている。

 当然、すべての港区民が裕福なわけではないものの、親や祖父母の資産・所得で子供の教育格差が固まり、さらに広がっていくことには何ともやるせない気になる。給食費や授業料の無償化で自治体が知恵を絞る中、国は教育格差の是正にどのように動いてきたのか。将来の国家を担う子供たちを大切に育んでいくというのならば、まずは子供が「明日は今日よりも良くなる」と感じられるような施策を早急に実施することが求められる。