2千件超の行方不明届、終わらない身元確認…梨泰院転倒事故の悲しみに暮れる韓国

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韓国・梨泰院(イテウォン)で発生した大規模な転倒事故の余波はまだ収まらない。

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悲惨な事故によって数多くの行方不明届が出された。行方不明の通報をした家族や知人は急いで現場を訪れた。彼らは涙ぐみ、焦点を失った目でぼんやり立ちすくんでいた。

10月29日夜、ソウルの繁華街・梨泰院の中心にあるハミルトンホテル付近の下り坂になった幅4メートルの狭い路地で、大規模な転倒事故が発生した。

ソウル市は事故直後、漢南洞(ハンナムドン)住民センターで行方不明者受付状況室を設置し、訪問と電話を通じて行方不明者の申告を受け付けた。120ダサンコールセンターでも行方不明届の受付をしている。

警察の身元確認も終わらず…「できることがない」

 

30日午前、漢南洞住民センター3階には梨泰院転倒事故と関連し、家族や知人の行方不明を通報するための人々が途切れることなく訪れた。

事故後連絡が取れない知人を申告し、現在の状態を把握しようと現場受付をしに来た人が多かった。

知人が行方不明となり、行方不明届を出しにきたとある市民は、「叔母を迎えに梨泰院に行くと連絡したのが最後の連絡だった」とし、「以後は何も便りがなかったが、警察署に携帯電話があると聞いて訪ねてきた」と伝えた。

(写真提供=AP/アフロ)転倒事故が発生した梨泰院

しかし、警察の身元確認がまだ終わっておらず、現場受付センターでも行方不明者の状況を全て確認することは難しかった。

現場受付センターが電話や現場で受け取った行方不明受付情報を警察に渡せば、警察が身元を最終的に確認し、行方不明受付者に連絡を回す。現場受付センターでも、警察から贈られた身元の一部リストを持っており、申告受付者に現在の状況を伝えたりもしていた。

子どもと連絡が途絶え、心配で住民センターに訪れたとある市民は、「今の状況でできることがない。待つしかない」とし、「悲劇の便りを知らせる電話が来ないことだけを祈っている」と伝えた。

行方不明届を出しに漢南洞住民センターを訪れた家族・知人等関係者

10月30日12時時点で受け付けられた行方不明届件数は累積2642件(電話2562件、訪問80件)だ。

事故現場で所持品を紛失した人が多いだけでなく、それぞれ異なる病院に移送された場合が多いため、最終的な身元確認が遅れている。

家族を失った人々、家族を失う可能性もある人々は、行方不明届を出した後、頭を下げたまますすり泣いていた。突然の事故のニュースに茫然自失とした彼らの姿が、梨泰院の転倒事故の惨憺たるさを物語っていた。