浦和GK西川周作【写真:高橋 学】

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FC東京戦のクリーンシートで曽ケ端準氏と並んでいた通算記録は単独トップへ

 浦和レッズの主将GK西川周作が、7月10日に行われたJ1リーグ第21節FC東京戦(3-0)の勝利により、J1通算170試合無失点の最多記録を達成した。

 元鹿島アントラーズのGK曽ケ端準氏と並んでいた記録から2試合の足踏みがあったが、ホームゲームでの達成に「楽になりましたね」と多少のプレッシャーを感じていたことも話した。

 西川は大分トリニータの下部組織から2005年にトップ昇格して5シーズン、サンフレッチェ広島に移籍して4シーズン、浦和では9シーズン目のプレーになる。昨季にはJ1通算500試合出場も達成するなど、長期離脱につながるような大きな負傷もなく試合出場を積み重ねてきた。

 このゲームは枠内に飛んできたシュートを弾き出す必要があった場面は少なかったが、逆に言えばチームの守備としては理想的なもの。それだけに、「今日はみんなの素晴らしい働きと、絶対にゼロで抑えて勝つんだという意識を前半から持ってくれていて、うしろから見ていても思い切って楽しんでやっていたんじゃないかと思う」と、躍動感のある試合を展開したチームメイトを称えた。

 それでも、新記録の懸かったここ2試合では、試合後に失点場面で自分にもできることがあったという思いを話していただけに、「ここ2試合は試合に集中していたし、自分ではあまり気にはしないようにしていたけど、チームもなかなか勝てない状況があってもどしかしかった。ゼロで抑えることにも集中してこだわってやってきた分、これで少し楽になるかなと。あとは突き進むだけと思う」と、肩の荷が下りたような思いを吐露した。

 西川は2014年、その前年に34試合のリーグ戦で56失点したチームの守備を改善する期待を受けて浦和にやってきた。当時のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が推し進める、最終ラインから次々に選手が前に出ていく攻撃サッカーを広島時代に2シーズン経験して熟知したうえで「失点を半分(28失点)に減らしたい」と誓った。それを聞いた当時の強化本部長は「いきなりは難しいと思う」と苦笑いしていたが、その数字は32失点まで改善された。それだけの影響力をGKとして発揮した。

ジョアン・ミレッGKコーチと出会い、GKとしてのプレーを抜本的に見直し

 そこから日本代表の正GKを務めた時期もあれば、そのメンバーから外れてパフォーマンスを落とした時期もあった。復活して2017年にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇を成し遂げたことも、2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)のメンバー入りを逃したこともあった。ペトロヴィッチ監督の契約解除から浦和が全体に迷走していくなかでもゴールマウスに立ち続け、昨季には若き至宝のGK鈴木彩艶に一時レギュラーを奪われることもあるなど、紆余曲折ある中でも積み上げてきた数字が形になった。

 今季から浦和にはジョアン・ミレッGKコーチが就任して、抜本的にGKとしてのプレーも見直されている。西川は「36歳になってもしっかりと学ぶことで、もっとシュートを楽に止められたり、メンタル的に落ち着いていることにつながっていたりすると思う。今までやってきたなかでのGKコーチにも本当にお世話になって感謝の気持ちでいっぱい。ジョアンが新しい風を自分の中に吹き込んでくれていて、またさらにサッカーをやっていて充実感を得ることができている」と笑顔を見せた。

 ミレッGKコーチ就任にあたり、西川とは「11月、まだ時間はあるぞ。チャレンジしてみるか? 自分の言っていることが1つ1つできるようになればチャンスがあるぞ」とカタール・ワールドカップ(W杯)へのメンバー選出を二人三脚で目標にしている。リカルド・ロドリゲス監督も「私は彼と2シーズン目だが、彼はその前から無失点を続けていて今に至る。このチームだけではなく日本のレジェンドになっていると思う。ただ、彼はまだ成長していく選手、まだ記録を伸ばしていく選手だと思う」と話した。

 Jリーグ歴代記録の単独トップに立った西川がどこまで記録を伸ばしていけるのか。それは、4年前のロシアW杯メンバー落選から誓ったカタールW杯でのメンバー入りを果たす逆転劇を見せられるのかにもつながるだろう。笑顔の守護神は、充実感のあふれる表情でスタジアムをあとにした。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)