ハザードランプを使ってさまざまな状況を伝えることができる

 令和元年は、全国で約118万人が新たに運転免許証を取得しました。そのうちどれぐらいの方がすぐに運転を始めているかはわかりませんが、コロナ禍の影響もあるのか、いつもより「若葉マーク」を貼ったクルマをたくさん見かける気がしています。外から見ていても、まだビクビクしながら緊張して運転している感じが伝わってくるクルマもあって、温かく見守りたい気持ちになりますね。

 そんな、免許を取って晴れて公道デビューしたビギナードライバーの皆さんには、ぜひ覚えて欲しいことがあるのです。それは、交通ルールとはまた別に、知っていると運転がよりラクになったり、周囲のドライバーとのコミュニケーションが取りやすくなり、トラブルのもとを減らすことにもつながる、教習所では教えてくれない運転マナーの数々です。自分ではまだ運転だけでいっぱいいっぱいで、サッとできるものではないかもしれませんが、周囲からのメッセージでもありますので、知っていて意味を理解するだけでも、スムースなドライブの助けになると思います。

1)サンキューハザード

 まず1つ目は、よく言われる「サンキューハザード」。合流や車線変更で道を譲ってもらった際などに、ハザードランプを2〜3回点滅させて「ありがとう」の気持ちを伝えるというものです。もちろん、合流地点で合流させてもらうことは当たり前の行為であり、厳密にはお礼を言う筋合いもないといえばないのですが、クルマを人に置き換えてみたときに、もし並んでいる列の途中に入れてもらったら、お礼の一言くらい伝えますよね?

 クルマも人が運転している以上、同じことではないでしょうか。合流させてもらったら、お礼の気持ちを伝える方が、どちらも気持ちよく運転できるというものです。ただ、安全運転が最優先なので、無理な状況で絶対にサンキューハザードをしなければいけないことはありません。できる範囲で、お互いが気持ちよく運転できるように心がけるのがマナーだと思います。

2)駐車中ハザード

 2つ目は、同じくハザードランプを使ったマナーですが、駐車場などで後続車に「ここに駐車しますよ」と合図する、駐車中ハザード。駐車したい枠を見つけたら素早くハザードランプを点灯すると、後ろから来たクルマは「あ、ここに入れたいんだな」とピンときて、距離を詰めずに待っていることができるのです。

 また歩行者や自転車にも、駐車するためにバックしてくることなどを知らせる合図にもなりますので、覚えておくといいでしょう。ただし、すべての人がこの合図を理解してくれるわけではないので、過信せずに周囲の安全確認は自分でしっかりと行いましょう。

3)渋滞を知らせるハザード

 3つ目は、もう1つハザードランプを使ったマナーとして、渋滞お知らせハザードがあります。これは高速道路などで渋滞の最後尾に近づいた時に、後続車に「この先は渋滞していますよ、速度を落としてくださいね」と注意を喚起するために点灯させるものです。これは最後尾のクルマがリレーのように、自分の後ろのクルマがハザードランプを点灯するまで、光らせておくのが暗黙の了解となっていることが多いです。

ライトやハイビームなどで意思表示することもある

4)パッシング

 4つ目は、ハイビームを素早く1〜2回点滅させる「パッシング」を使った意思表示です。たとえば交差点で右折待ちをしている時に、対向車線の直進車がパッシングをしてくれたら「曲がっていいよ」「お先にどうぞ」との意味。お礼に自分もパッシングを返して右折させてもらうといいでしょう。ただし、直進車がスピードを落とさずハイビームにしたまま近づいてくるような場合には、逆の意味合いになりますので要注意。「曲がってくるなよ」「こっちが優先だぞ」と言った意味です。無理な割り込みをされたときに「危ないぞ」と抗議する意味で使われることもありますので、覚えておきましょう。

 また、高速道路などの追い越し車線で後続車からパッシングをされた場合は、「道を譲ってくれ」というメッセージです。安全を確認して速やかに走行車線に戻りましょう。対向車からパッシングされた場合は、「ライトがハイビームになっているよ」「ライトが切れてるよ」などと知らせてくれている可能性もありますし、「その先で検問やスピード違反などの取り締まりをやっているよ」と教えてくれる場合もありますので、何かあるなと今一度自分のクルマに不備がないか点検したり、心の準備をしておくといいでしょう。

5)ライトの強弱

 5つ目は、ライトの強弱による意思表示や思いやりのマナーです。道を譲る時にパッシングをするのと同じように、夜間に道を譲る時は、スモールライトに切り替えることで「お先にどうぞ」と伝えることができます。また、駐車場などで自分のすぐ前にいるクルマが車庫入れをしている時には、スモールライトに切り替えてあげると、ドライバーが眩しい光に惑わされることなく、落ち着いて車庫入れしやすくなることが多いです。ちょっとした思いやりですね。

 ただし、夜間の交差点の赤信号で停車中にライトを消すことは、昔は「思いやり消灯」などと言われていましたが、じつは違反行為になります。道路交通法第52条で定められていますので、注意しましょう。違反というだけでなく、交差点で曲がってきた車両に「ここに停車車両がいますよ」と認識させるためにも、ライト点灯のまま停車が正解です。

6)ウインカー

 6つ目は、ウインカーでの意思表示です。もし山道など追い越し車線のない道路で、後続車が車間距離を詰めて煽ってくるような場合は、左ウインカーを出して左端に寄って停車し、後続車を先に行かせるといいですね。その際、カーブの前後に停車するのは危険ですので、直線区間で道を譲るようにしましょう。

 そして高速道路などで後続車が右ウインカーを出している場合は、パッシングと同じように「道を譲ってくれ」という合図です。安全を確認して、速やかに走行車線に戻るようにしたいですね。

7)スピードを落とす

 最後に7つ目は、スピードを落とすことで思いやりを表すマナーです。ガードレールのない道路で、歩行者や自転車を追い越す時には、細心の注意とともに極力スピードを落とすことで、「あなたの存在に気づいていますよ」という意思表示ができ、歩行者や自転車も安心するものです。雨の日なら水や泥がはねて歩行者にかかってしまうのを防ぐこともできますね。

 また雨の日は、晴れた日より視界が悪くなり、クルマのブレーキも利きにくくなっていますので、もし歩行者が確認できなくてもスピードは控えめにしたいものです。そして信号のない横断歩道では、もし歩行者が近づいてきていたら一時停止をして渡らせてあげるのがマナーです。クルマのほうが速いからと、スピードをあげて通過してしまうようなことのないよう、いつも「お先にどうぞ」と譲る気持ちを持って運転したいですね。

 さて、公道デビュー後すぐに必要な7つの運転マナーをご紹介しましたが、こうしたマナーの基本は、自分がされたら嬉しいこと、嫌なことを考えて行動することです。譲り合いの精神を忘れず、相手の立場を思いやる運転をみんなが心がければ、交通事故ももっと減るのだと思います。ビギナーの皆さんは、これから運転を続けていくうちに、「えっ」と驚くようなマナーの悪いドライバーにも遭遇するかもしれませんが、そこで「倍返しだ」などとは思わずに、「自分はあんな運転をしないようにしよう」と反面教師にして、ぜひグッドマナードライバーになってくださいね。