増税に対応した施策が行われる!

 2019年10月から、いよいよ消費税が増税されます。その前に新車を購入しなければ! とアセっている自動車ファンの人たちも多いと思いますが、本当に、駆け込んで買ったほうがお得なのでしょうか?

 じつは、そうでもない場合があるのです。まず、注意したいのは、消費税は契約のタイミングではなく、登録した日の税率が適用されるということ。たとえば、9月20日に契約しても、登録が10月1日なら、消費税は10%。最近の人気車種だと、トヨタRAV4のように、工場出荷時期のめやすが2〜4カ月ということもあるので、これはもうあきらめるしかありません。

 しかし、10月1日以降に新車買う場合、じつは消費税増税分の2%がそのまま乗っかるわけではないのです。まず、2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用の乗用車(登録車)から、自動車税(種別割)の税率が引き下げられます(なお、軽自動車税(種別割)の税率は変更なし)。

 さらに、2019年10月1日以降は自動車取得税が廃止になり、新たに環境性能割が導入されます。環境性能割の税率は自動車の燃費性能等に応じて、自家用の登録車は0〜3%となるものの、2019年10月1日から2020年9月30日までの間に自家用の乗用車(登録車・軽自動車)を購入する場合、環境性能割の税率1%分が軽減されるのがポイント。

 つまり、増税後の新車購入の冷え込みに対応した施策が行われるということ。よって2%の増税分が、新車購入時の支払額にそのまま乗っからないのです。

環境性能割が適用するかも考慮して検討すべし!

 そして、環境性能割にはある法則があります。それは車種や環境性能によって、これまでの自動車取得税に対する環境性能割がグーンとお得になるというもの。

 ここではフォルクスワーゲンの新車を例に説明します。これまで自動車取得税が0円だった、環境性能にとくに優れたクルマは、消費税が2%UPするとともに、自動車税がほんの少し安くなるだけ。

 たとえば、車両本体価格577.9万円のクリーンディーゼルターボ搭載車のパサート オールトラックTDI 4MOTION Advanceは、消費税分が10万7000円高くなり、自動車税は3500円ダウンと気持ち程度に安くなりますが、もともと、自動車取得税は0円で、環境性能割も0円。結果、支払総額で約10万4000円も高くなってしまいます。

 一方、ガソリンターボエンジンのアルテオンR-Line 4Motion Advanceを見ると、自動車税が3500円安くなるだけでなく、これまで14万9700円だった自動車取得税が、新しい環境性能割の導入によって9万9800円になり、消費税分が11万900円高くなるにもかかわらず、支払総額では約5万8000円しか高くならないのです。

 そう、現時点で自動車取得税が0円のHVやクリーンディーゼルなどのクルマは、可能なら9月30日までに登録するとお得感は出るものの、自動車取得税がしっかりかかっていたクルマに関しては、10月1日以降の登録でも、むしろ環境性能割分の税率引き下げが大きい分、消費税増税後の総支払額で見れば、それほど大きくならないのです。

 またまたフォルクスワーゲンの新車で説明すると、車両本体価格267.9万円のPolo TSI Highlineの場合、車両本体価格は消費税増税分で4万9600円高くなるものの、自動車税で4500円。自動車取得税→環境性能割で2万2300円お得になり、結果、総支払額は約2万3000円しか高くならないというわけです。

 つまり、自動車取得税がかかっていたクルマに関しては、10月1日後の登録でも、消費税増税分をモロにかぶるということはなさそうです。今、あせってクルマ選びして急いで契約し、登録するよりも、少し様子をみて(10月以降に魅力的な新型車も登場します)、2020年になってから新車購入するのも手でしょう(環境性能割の税率1%分の軽減は2010年9月30日まで)。

 というのは、10月以降、新車需要が冷え込むことが予想され、販売店ではさまざまなキャンペーンが行なわれる可能性があると同時に、登録年式が2019年から2020年と1年新しくなり、売却、下取り時の査定額が有利になることもありうるのですから……。