国立大との予算格差訴えるが…私大連が抱える自己矛盾
日本の科学技術力停滞の一因に、高等教育機関への投資が小さい点が挙げられる。日本の公財政支出は2014年で学生1人当たり69万円。EU22カ国平均は125万円、OECD加盟国平均は111万円だ。これが高等教育に投資が少ない根拠とされてきた。
一方で、国費を受け取るために大学の経営を国に評価されることは望まない。私大連常務理事の田中優子法政大学総長は「画一的評価は私大の多様性を損ない、日本社会の柔軟性を損ないかねない」と危惧する。
広瀬克哉法政大常務理事も「大学が参画する地方創生予算は理系国立大向けに大型枠が設計されている。私大は小規模で多様な活動を展開している。国は政策評価の手間を削減するために、多様性を排除しているようにさえ受け取れてしまう」と指摘する。
国費はほしいが、大学経営に口を出さないでほしい。大学経営の多様性を認めてほしいが、多様性を評価する余裕のない国から予算がほしいという矛盾を抱える。私大連副会長の長谷山彰慶応義塾長は「二律背反はある」と自認する。
私大連がこうした矛盾を抱えたまま政策要望の声を強めるのは、近年の急な政策執行にある。東京23区内の学生定員数を規制した「23区規制」の問題では文科省との議論とは別に、内閣府主導で閣議決定された。文科省は「我々には私大の経営に踏み込む意思も権限もない」と突き放す。
鎌田会長は「政府検討会の議論では負けに負けてきた。役所への働きかけでは変わらない。社会に問いたい」という。国立大やノーベル賞受賞者を中心に、基礎研究や若手研究者への支援を求める声が大きくなっている。社会の関心も高まる中、私大連は国や社会を振り向かせられるか。正念場を迎えている。
(文=小寺貴之)
