シャープのロボホン

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 日本のプログラミング教育が立ち上がるか分水嶺(れい)にある。2020年度の小学校での必修化に向け教材市場は活況だ。教材会社に加えてロボットメーカーやパソコンメーカーなど、海外勢を含めて新規参入が相次いでいる。一方で学校のカリキュラム(授業案)開発は道半ばだ。早くも面白くない授業が広がり、児童や生徒の興味をそぐのではないかと危惧されている。学びの現場を追った。

 プログラミング教育などのIT教材の展示会では、中国・深圳のロボット教材ベンチャーが攻勢をかけている。「Mabot」、「DOBOT」、「mBot」。みな深圳のベンチャーの製品だ。電子機器受託製造(EMS)産業の集積を背景に、部品を安価に調達してロボットの価格を抑えて、世界に拡販している。

 世界的な人工知能(AI)ブームでハイクラス層の教育熱が高まっている。AI時代に残る仕事に子どもたちが就けるようにと、STEM(科学・技術・工学・数学)教育が注目された。ロボットプログラミングはプログラミング(ソフト)とモノづくり(ハード)の両方を学べる。

 メーカーにとっては電子部品や基板が剥き出しのままでも、モジュール売りで製品になるため参入障壁は高くない。そのため新規参入が急増した。深圳ベンチャーにとって、隣国日本のプログラミング教育必修化は大きなビジネスチャンスになる。代理店と組んで拡販に力を入れる。

 日本ではプログラミング教育の教材選定とカリキュラム開発は佳境を迎えている。文部科学省の白間竜一郎審議官は「20年度の授業開始に向けて、先生は19年度中には準備を終えている必要がある。18年の夏休みはできるだけ多くの先生にプログラミングに触れてほしい」と説明する。

 日本の教材各社も「この半年が勝負」と声をそろえる。この夏休みに教員向けの勉強会を開いて具体的な授業案をみせられないと、19年の夏休みに各教員が学校や生徒に合わせてカリキュラムを調整できなくなる。

 シード・プランニング(東京都文京区)はプログラミング教育関連市場が25年に231億円と16年比6倍に成長すると予想する。プログラミング学習ツールやロボット工作キットを使った授業が想定される。文科省はパソコンがなくてもプログラミング的思考が学べるようカリキュラム整備を急ぐ。教員にとっても教材各社にとっても、この夏は熱くなりそうだ。

教材各社先行、画面から実世界へ
 プログラミングのカリキュラム(授業案)開発では教材各社が先行する。小学校ではプログラミングという授業が増えるわけではなく、算数や理科など、現行の授業にプログラミング的思考を学ぶ要素が組み込まれるためだ。長年、教員と一緒に教材を改良してきた蓄積を生かして、現実的なカリキュラムに落とし込む。

 学研エデュケーショナル(東京都品川区)とアーテック(大阪府八尾市)は民間の学習塾向けに提供している「もののしくみ研究室」のカリキュラムを学校向けに展開する。学研エデュケーショナルが小学校、アーテックが中学校を担当する。学研エデュケーショナルの前原達也編集長は「学校からの引き合いが多く、公教育向けの開発を急いでいる」と説明する。教材はブロック感覚でモーターやセンサーを組み立てられ、自動ドアや信号機など身近な機械を作れる。前原編集長は「学んだ子の2人に1人は、集中力が上がった」と胸を張る。

 中学校プログラミング教材首位の山崎教育システム(東京都東村山市)は「プロッチ」を秋に発売する。1台3500円と低価格ながら、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発したプログラミング学習ツール「スクラッチ」に対応させた。プログラミングに加え、プロッチを介してパソコンをつないでチャットができる。暗号通信を体験でき、サイバーセキュリティーを学ぶ授業に利用できる。同社の神喰(かみじき)洋光主任は「学校のパソコンの多くはセキュリティーのためネットにつなげなかった」と説明する。現場で使える形と予算に落とし込んだ。