まるっと早わかり、ソニーの新中計
注力する半導体事業の営業利益目標は、20年度に最大で18年度計画比2倍の2000億円。画像センサーに加え、距離や位置などのセンシング領域でも世界シェア首位を目指す。一方、黒字転換が課題のスマホ事業は、20年度に営業利益200億―300億円を目指す。ソニーは17年度に営業利益で過去最高を達成。中計で好業績の継続を目指す。
コンテンツIPと、これらを活用しながらサービスなどで継続的に収益を稼ぐ「リカーリングビジネス」、規模よりも利益を重視したテレビやオーディオ、カメラなどの高付加価値製品の展開、画像センサーを核とした半導体事業への積極投資および収益拡大と、安定収益を生み出しつつ、稼ぎ頭を育てる基本路線を踏襲する。
事業の方向性は大きく変わらない中、打ち出したのは財務基盤を強化する方針だ。3年間で金融事業を除き、累計2兆円以上の営業キャッシュフロー創出、10%以上の株主資本利益率(ROE)の継続、40%以上の株主資本比率といった数値目標を並べた。
17年度はそれぞれ1兆4802億円、18%、15・6%だった。3年間の営業利益目標を掲げることもやめ、「利益成長よりも質を高めることに注力する」(吉田社長)。
次の軸「半導体」、自動運転普及で商機
利益の質向上に貢献するのは、コンテンツIPを活用したビジネス。音楽、映像、アニメ、ゲームの分野に注力する。中心となるのは吉田社長が「私の考えを言葉にした」と明かす「コミュニティー・オブ・インタレスト」という概念だ。
コンテンツIPを核に、クリエイターとユーザーによるコミュニティーを創出することで、継続的に利益を得る仕組みだ。これに対し、テレビやカメラ、オーディオなどの伝統事業は、基盤収益を担う「ブランデッドハードウエア」と位置づけた。「多額の投資が不要で、大きなキャッシュフローを担う」(吉田社長)。
19年3月期に150億円の営業赤字を見込むスマホ事業も、同分野に位置づけた。吉田社長は「調達、製造、販売の一連のサプライチェーンの中で、家電で最大の市場を抱えるスマホ事業を持つことが、長期的には安定につながる」と主張。「持続可能なキャッシュカウ(収益源)事業にしたい」とし、「事業売却は考えていない」と改めて断言した。
キャッシュ創出の一方で、次の事業のタネも仕込む。画像センサーを中心とした半導体事業は、20年以降の自動運転技術の普及も見据え、投資を加速。距離や位置といったセンシング領域でも、世界シェア1位を目指す。「イメージングとセンシング技術でモビリティーへの安全に貢献すべく、事業育成に取り組んでいる。この領域を20年代における社会貢献の柱にしたい」(吉田社長)。
イヌ型ロボット「aibo(アイボ)」や、高精細画像を強みとした4K内視鏡といった新規事業の育成も進める。「アイボについては介護施設や企業でのサービス提供など、実証試験を進めて事業ドメインを探る」(十時裕樹最高財務責任者)方針だ。
