清水建設がトンネル工事の最難関区を突破した前例のない施工法
最大の工事の難所は、国道57号の代替ルート、県道北外輪山大津線(通称・ミルクロード)の地面下。ミルクロード下を横切って掘削するが、地面からトンネル頂部まで9メートルしかなく地盤が不安定。トンネル工事により、ミルクロードが陥没して不通になれば、地域交通に大きな支障が出る。現場を指揮する清水建設の金岡幹所長は「絶対に影響が出ないように慎重に行った」と話す。
このため5メートル掘進するごと、掘削面の上部から長さ12・5メートル、直径約11センチメートルの鋼管を8度の角度で打ち込み、鋼管に薬液を注入して地盤改良する工法を適用した。鋼管は二重に重なる長さで打ち込むため、薬液と合わせて地盤を補強できる。
掘り進むには鋼管の下部が邪魔になるため、下部だけを抜き取れる鋼管を採用した。通常は鋼管を破壊するが「破壊の振動で地盤沈下する可能性がある」(金岡氏)と採用を避けた。
地表面の影響を調べるため数十地点を細かく測定し、慎重に作業を進めた。これらの取り組みで、計画当初は道路交通に影響のない3センチメートルの地表面の沈下を想定していたが、2センチメートル以内に収まった。
金岡所長は「地面まで9メートルしかない場所で、断面積が100平方メートル以上、掘削幅が15メートルといった大きなトンネル工事で、これらの工法の適用は聞いたことがない」と強調する。
(文=村山茂樹)
