「私の秘書がしっかりとした陳述書を作ります」

【画像】「記憶がない」を連発し…「陳述書」を提出した高市首相の秘書、木下剛志氏

 6月22日の衆院予算委員会。高市早苗首相がそう訴えたのは、自民党総裁選や衆院選で行った“中傷動画作戦”と暗号資産「サナエトークン」を巡る問題だ。件の秘書は、木下剛志・公設第一秘書である。

「近日中に提出する」とした答弁から1カ月。ようやく予算委に提出された陳述書。だがそれは、「記憶がない」を連発するお粗末な内容で――。


高市首相 ©時事通信

 この問題のキーマンは、サナエトークンの開発責任者を務めた松井健氏だ。昨年9月、総裁選前に知人の紹介で木下氏と出会い、中傷動画の作成などにも協力してきたと証言している。

「週刊文春」はまず、今年4月2日発売号でサナエトークンに関する松井氏の告白記事を掲載。昨年12月から木下氏に対して、トークンの説明を重ねてきたとする証言を紹介した。

 この取材過程で判明したのが、高市陣営の中傷動画問題だ。松井氏と木下氏は総裁選前の昨年9月25日、最初のZoom会議を実施。その場で木下氏から「すでに陣営でも切り抜き動画を業者に頼んでいるが、数字が伸び悩んでいる」「力を貸してほしい」と依頼され、小泉進次郎氏と林芳正氏を中傷する動画を投稿することで一致したという。

67通に及ぶ木下氏と松井氏のやりとり

 証言を裏付けるのが、67通に及ぶ木下氏とのショートメールやLINEのやり取り、会議の音声データなどだ。これらは全て、取材に同席した松井氏の顧問弁護士も確認のうえ、提供されたものである。

 しかし、高市氏は国会答弁などで一貫して中傷動画の作成・依頼を否定。松井氏について「私も秘書も面識がない」と語ってきた。

陳述書の第一のウソ

 では、今回の陳述書ではどんな説明を行ったのか。まず中傷動画問題については冒頭で、〈私を含め、高市事務所及び高市陣営においては、(略)他の候補者を誹謗中傷するような動画を作成・発信するようなことは行っておりません〉とした。

 これが第一のウソだ。「週刊文春」はこれまで、総裁選中に木下氏自ら中傷動画作戦に関与したことを報じてきた。それを示すのがTikTokアカウント「真実の政治」だ。

 対立候補を中傷する3本の動画を投稿。小泉氏を【カンペで炎上!無能で炎上!】と嘲弄し、林氏に対しては投票依頼文書を巡る真偽不明の疑惑について、【林くんルール破っちゃったー 文書送付投票依頼は完全アウト】と誹謗する内容だ。

匿名性の高いメッセージアプリで…

 木下氏は9月26日、シグナル(秘匿性の高いメッセージアプリ)を通じて松井氏に、投稿前だった林氏の動画データを送信。〈以上です。これからアップしてアカウントを送付致します〉として、「真実の政治」のリンクも送った。“予告”通り、林氏の動画は26日に公開されている。

 さらに言えば、「真実の政治」は今年4月23日、「週刊文春」が木下氏の関与を問う質問状を送った後、まもなく「永久停止」された。

 なお、小誌は松井氏側から提供を受けた動画の一部について、後に時系列上の齟齬が判明したため、電子版での公開を停止し、本文も修正した。だが、「真実の政治」はそれらの動画とは別アカウント。投稿された動画を小誌が独自に保存したもので、時系列上の疑義も生じていない。木下氏自身も動画の作成・発信に携わったことは明白だ。

《この続きでは、他の4つのウソを詳報。記事の全文は「週刊文春 電子版」で読むことができる》

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年8月6日号)